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近年、日本の製造業は多くの変革の時期を迎えています。特に、新入社員の意識や価値観は、業界の将来を左右する重要な要素です。ALL DIFFERENT株式会社による2025年度入社の新入社員意識調査が実施され、製造業の新人たちの意識が報告されました。
製造業の新入社員の35.5%が「不安」と感じていることが明らかになりました。その中でも、特に「仕事についていけるのか」という懸念が最大の不安要素として挙げられました。具体的には、6割以上の新入社員が「仕事の難易度」に対する不安を抱えており、生活リズムや社会人としての考え方の習得も大きな課題とされています。このような不安は、内定中の準備不足やフォローの手薄さに起因している可能性があります。
製造業の新入社員は、内定時に受けた会社からのフォローが少なく、2割が「何も受けていない」と回答しています。これは、他業種と比べて高い割合であり、内定期間中に何らかのサポートを受けられた場合も「懇親会」程度であったとしています。こうしたフォローの不足が、新人の不安感を助長していると考えられます。
一方で、「できれば今の会社で働き続けたい」との意向は75.9%と、他業種よりも高い結果となっています。このことから、新入社員の中には、職場の人間関係や安定性を重視する傾向が見られます。働き続けるための条件として、「職場の人間関係が良い」という回答が最も多、次いで「高い給与・賞与」との回答が続きました。
新入社員の「仕事を通じて成し遂げたいこと」としては、「安定した生活を送りたい」と回答する割合が68.4%に達しています。これに対して「自己成長」を求める声が過去最低となっており、安定を重視する傾向が浮き彫りとなりました。これは、製造業に対する期待と不安のバランスが影響しているのかもしれません。
さらに、キャリアについての考え方が明確でない新入社員が多いことも特徴の一つです。半数以上の新入社員が「特に志向はない」とか「今後決めていく」と答え、7年間で最高の割合を記録しました。こうした漠然とした考え方は、製造業が現在直面している変化に対する適応力を示す上で、十分な意識改革が求められることを意味しています。
今回の調査結果から、製造業の新入社員は他業種と比べて多くの不安を抱えながらも、勤続意向は高いことが分かりました。しかし、安定性を重視する一方で自己成長に対する意欲やキャリアに対する考えが漠然としていることが、業界全体の変革にどのように寄与するのかが課題として残ります。企業側は、新入社員の不安を軽減し、キャリア形成を支援するための具体的な施策を検討する必要があります。
詳しくは「ALL DIFFERENT株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集小松