近年、在宅勤務の普及などによって、家族が顔を合わせる時間は増えてきました。しかし、その一方で、夫婦やパートナー間のコミュニケーションの質はどうなっているのでしょうか。株式会社うるるが行った調査では、家族と過ごす時間が増える夏休みを前に、18歳未満の子どもを持つ20代〜50代の女性334名を対象に家庭内のコミュニケーションについての実態が明らかになりました。調査結果から浮かび上がったのは、「同じ家に暮らしていても、心の距離が開いている」という驚くべき実態です。以下に、調査結果を詳しく見てみましょう。

まず、パートナーとの日常会話の長さについて調査したところ、約3割(30%)が「30分未満」と回答しました。つまり、同じ空間にいるにも関わらず、心の距離は徐々に広がっている現実が浮かび上がります。このような状況では、家事や育児の情報共有に終始し、感情の共有が不足しています。

子育てにおいては、9割近く(88%)が「7割以上を自分が担っている」と感じていることも明らかになりました。両親の負担感は子育ての大きなストレス要因であり、結果的にコミュニケーションの障壁となっています。調査では、日々の生活に追われる中で、パートナーとの会話が少なくなる理由として「仕事や家事で忙しすぎる」との回答が64%、また「疲れていて話す余裕がない」が43%と続きました。このように、忙しや疲労がコミュニケーションの機会を奪っています。

顔を合わせている時間が増えたものの、精神的な余裕がないため、逆に心の距離は開いてしまうという、デジタル社会における矛盾も指摘されています。各家庭において、SNSやデジタルデバイスは存在するものの、対面でのコミュニケーションが疎かになっていることが見受けられます。約9割(86%)の親が、子どもに対して感情をうまくコントロールできなかった経験があると応答しています。このことは、家庭内のコミュニケーションの質に対する大きな懸念を示唆します。必要な時に感情を伝え合う場が不足していることが、多くの家庭で感じられているのです。コロナ禍を経た今、家庭内でのコミュニケーションの見直しが求められています。デジタルコミュニケーションが主流になりつつある現代においても、やはり「声を聞く」というアナログなコミュニケーションが重要です。

詳しくは「株式会社うるる」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 家族の時間が増えたのに、なぜ心はすれ違うのか? デジタル時代の静かな矛盾