2025年度春季生活闘争(春闘)では、定期昇給込みで5%台の賃上げが2年連続で実現しています。しかし、勤労者がその報酬にどれほど満足しているのかは、依然として疑問を抱かせます。三井住友信託銀行の「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」が行った調査によれば、報酬に満足している勤労者は21.6%に過ぎないことが明らかになりました。この数字は、年齢や年収による影響があり、単なる金額の問題ではないことを示唆しています。

調査結果によると、勤労者の報酬満足度は全体で21.6%と低い数字にとどまりました。不満を抱えている勤労者は33.5%に達しています。特に、若年層(18~29歳)は「満足」と感じる割合が高く、年齢が上がるにつれて満足度は減少する傾向にあります。この結果は、単に給与だけでなく、評価制度や業務内容にも影響されていると考えられます。

若年層は報酬に比較的満足しているものの、他の年齢層は不満を持つ結果となっています。これは、企業内での評価やキャリアの成長に関連している可能性があります。報酬に対する満足度は、年収に依存する傾向があります。年収が1,000万円近くまで上昇すると、満足度も上昇することが確認されました。ただし、年収が1,000万円を超えると、満足度は頭打ちになることが分かりました。このことから、金銭的な報酬だけでは足りない要因が存在することが示唆されます。

報酬に対する満足度は、単に金額的な要因だけでなく、家計行動にも影響を及ぼします。報酬に満足している勤労者は、ライフプランをしっかりと立てている傾向があり、金融リテラシーにも高い自信を持っています。一方、不満を抱えている勤労者は、高年収でも家計管理が不十分であることが多いとされています。こうした金融リテラシーの向上は、デジタル技術を活用することで支援できます。アプリやオンラインプラットフォームを通じて、勤労者が自分の財政状況を把握し、効果的な家計管理を行える環境を整えることが鍵です。

企業が勤労者の報酬満足度を向上させるためには、賃上げだけでなく、金融教育や退職金の水準に対する理解も重要です。具体的には、職場での金融教育を受けた人は報酬満足度が高い傾向が見られ、年収が上がるほどこの差が顕著です。また、退職金の水準を理解している勤労者は、理解していない人に比べて満足度が高い結果が出ています。デジタルツールを活用し、退職金の将来価値を可視化することで、勤労者の満足度をさらに向上させることが可能です。

勤労者の報酬に対する満足度は、賃上げなどによる客観的な水準の向上だけでなく、従業員自身が金融リテラシーを身につけ、将来のライフプランを考えることが重要です。企業は、賃上げだけでなく、従業員が「この所得で十分に生活できる」と実感できるような取り組みを行う必要があります。得られた知見を活かし、適切なサポートを提供することで、勤労者の報酬満足度を高めることが期待されます。

詳しくは「三井住友信託銀行株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 金額だけでなく、家計行動にも影響する報酬満足度。満足している人はどれくらいいる?