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近年、日本国内での労働力不足が深刻化しており、その解決策として海外人材の登用が注目されています。特に、ITエンジニアを中心とした外国籍人材の活用が進む中、育成プログラムの整備がカギとなります。本記事では、ヒューマンホールディングス株式会社が実施した調査結果をもとに、日本企業における外国籍人材の育成・定着支援の現状を探ります。
ヒューマンリソシア株式会社と他14社が共同で実施した調査によると、海外人材向けの育成プログラムが「整備されていた」と答えた企業は約5割にとどまり、半数以上の企業では育成体制が未整備であることが明らかになりました。また、支援内容は業務遂行のサポートに偏り、生活やキャリアへの支援は十分ではないことが指摘されています。
調査結果によると、入社時研修や日本のビジネスマナー・常識に関する教育が主なサポート内容となっています。具体的には、入社時研修が48%、日本のビジネスマナーが47%、日本語研修が41%という結果でした。これらは業務に直結する内容ですが、生活支援やキャリアパスに関する支援は「あまり整備されていない」との回答が多く見られました。実際、「仕事や生活に関する相談窓口」の整備が28%にとどまっています。
職場で適応については、82%の海外人材が上司や同僚から支援を受けたと回答しています。「業務のやり方を教えてくれた」という支援が72%で最も多く、次いで「温かく接することで安心感を与えてくれた」が44%、フィードバックや日常的なコミュニケーションが42%という結果でした。現場での支援が海外人材にとって重要な要素であることがわかります。
今回の調査結果から、企業が業務に必要サポートに力を入れていることが伺えますが、生活面やキャリア面での支援がまだ不足している現状が浮き彫りになりました。日本で長期的に活躍するためには、生活基盤の整備やキャリア支援を強化する必要があります。特にデジタル技術やリモートワークの領域において、これらの支援が適切に行われることが求められます。2024年10月時点で、日本で働く海外人材は約230万人に達すると予測されています。この人数は2070年頃までに日本の就業者の約1割を占める見通しです。したがって、企業には海外人材が安心して生活し、キャリアを築ける環境を提供することが求められています。具体的には、生活支援体制の充実や、デジタル技術を活用したキャリア形成支援に向けた取り組みが急務です。
調査結果から、日本企業における海外人材の育成・定着支援の現状は明らかになりました。業務に直結する育成プログラムが整備されている一方で、生活やキャリアへの支援が不十分であることが明らかです。今後、企業はこれらの点を改善することで、より多くの外国籍人材が活躍できる場を提供することが求められるでしょう。
詳しくは「ヒューマンホールディングス株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松