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DX導入率は7割超え──しかし、その裏で「IT業務の大半を内製できない」という日本企業の実情が明らかに。Gartner最新調査は、IT部門が背負う限界と、これからの“ソーシング戦略”の再構築を迫っています。DXが常識になった今、何が足りないのでしょうか?
Gartner(ガートナージャパン)が2025年3月に実施した調査によると、日本企業の7割以上が何らかのDXに取り組んでいることが判明しました。既存ビジネスの効率化から新規ビジネス創出まで、DXはもはや“当たり前”の取り組みとなりつつあります。
その一方で、DXの推進主体は依然として既存のIT部門が多く、特に「コスト削減」や「インフラ整備」分野ではその傾向が顕著でした。しかし今、IT部門は新たな役割を求められています。
Gartnerのアドバイザリーディレクター・中尾晃政氏によると、今後は「DXへの貢献」がIT部門の主戦場となることが期待されており、実際にそう答えた企業の割合も29%から45%に拡大しています。
ただし課題は山積です。最も深刻なのが人材の質と量の不足。調査では「IT業務をすべて内製化できている」と回答した企業はどの項目でも少数にとどまり、外部ベンダーやサービスへの依存が常態化していることが浮き彫りになりました。
特に「戦略立案」などの上流工程ですら、内製化できている企業は4割以下。これは日本企業が“自力で変革を担う”という点で、依然ハードルの高さを抱えていることを意味します。
中尾氏は「すべての業務をIT部門だけで担うのは非現実的」と述べ、イン・アウトソーシング戦略の再設計とともに、「生成AIやクラウドサービスの活用」「多様化するベンダーや外部人材のマネジメント力強化」の必要性を強調しています。
つまり今求められるのは、IT部門単独での完結ではなく、ビジネス目標に沿った“選択と統合”の判断力。そのためのガバナンスと教育、そして新たな体制構築こそが、次なるDXフェーズを支える鍵となりそうです。
詳しくは「Gartner(ガートナージャパン株式会社)」まで。
レポート/DXマガジン編集部 海道