大手アパレル企業のEC事業における決算発表が行われ、自社ECサイトのマーケットプレイス化が新たな成長戦略として注目されています。全体としては増収傾向にあるものの、2桁成長を達成した企業は少数派で、多くの企業がOMO(オンラインとオフラインの融合)戦略を通じて集客を強化しています。これらの取り組みは、消費者のニーズに応えるため、ますます多様化しています。

アダストリアの国内EC売上高は前期比5.7%増となっており、実店舗と連動したプロモーションやオープン化の拡大が功を奏したと言われています。自社ECサイトにおける流通総額(GMV)は403億円で、外部ブランドの販売比率は約3%です。アダストリアは中期経営計画を前倒しで発表し、2030年度にはGMVを1000億円に伸ばすことを目指しています。

「23区」などのブランドを展開するオンワードホールディングスは、2025年2月期のEC売上高が同9.2%増を記録しました。OMOサービス「クリック&トライ」の利用拡大が要因とされています。同社は2024年10月にカジュアルブランド「WEGO」を連結対象に加え、EC化率は約20%で、デジタルネイティブ層を顧客に持つため、今後の成長が期待されています。

パルホールディングスの国内EC売上高は自社ECサイト中心に伸長し、同9.9%増となりました。2028年度にはEC売上高1000億円を計画しており、2024年12月にはレディースブランド「NOLLEY’S(ノーリーズ)」を連結子会社化し、EC事業のさらなる拡大を計画しています。

TSIホールディングスの国内EC売上高は同3.0%減少しました。これは、自社ECサイトの費用対効果見直しや、リニューアルのためのクローズが影響し、在庫を実店舗に寄せる結果となりました。同社はリニューアルオープンから安定稼働に向けたテストランニングに取り組んでおり、今後は大型販促を打ち出す方針です。

しまむらの2025年2月期のEC売上高は、2期連続で70%台の高い増収率を維持しています。オンラインストア限定企画や人気商品の受注生産販売が増収に寄与しており、2026年2月期にはECサイトのモール化やBtoB向けサイトの立ち上げにも取り組む意向です。

ファーストリテイリングが運営するユニクロの中間期における国内EC売上高は前年同期比10.9%増を記録しました。ECサイトやアプリのユーザビリティ改善により、店舗とECの在庫の一元化も進行中です。加えて、海外市場では「店舗がメディア」となり、EC成長と顧客層の拡大が好循環を生んでいます。

企業ごとの戦略が多様化する中、自社ECサイトのマーケットプレイス化は競争力を高めるカギとなるでしょう。各社の取り組みがどのように成果を上げていくのか、今後の動向に注目です。

詳しくは「日本ネット経済新聞」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部海道

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 ユニクロ・しまむら・アダストリアが仕掛ける、次世代ECの勝ち筋とは?