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新しいチャレンジや夢に向かって走り続けている輝くビジネスパーソンに「運命を変えた出逢い」をお話いただく企画。
第一線を駆け抜ける彼らの出逢いのエピソードから、新しい人脈を作るヒントや、仕事のモチベーションアップのきっかけを探ります。
慶應義塾大学 大学院 理工学研究科卒。専門は画像処理、画像工学、VR。
学生時代から起業経験を持ち、新卒でベンチャー企業の社内新規事業責任者として、日本初のマンション向け電気自動車カーシェアリング事業の立ち上げと運営を行う。
その後、独立し、2014年7月に株式会社Bizcastを創業。2016年にはスタートアップ企業の登竜門である「IVS(Infinity Ventures Summit)」に出場。
小さなころからサッカーをやっていて、大学時代もサッカーでアマチュア日本一を目指す!という目標のもと、サッカー漬けの毎日を過ごしていました。
ですが、大学3年生のときに引退して、目指す目標がなくなってしまったんです。
引退後、周りは普通に就職活動をしていました。
一緒にサッカーをやっていた仲間は、みんな大手企業に就職する、それがすごいことなんだという考えでした。50年も続く伝統あるサッカーサークルだったので、先輩方も大手の一流企業と呼ばれる会社に在籍している方がほとんどでした。
でも僕自身はそのことにすごく違和感を感じてしまったんです。
どうして特に理由もなく、大手企業に就職することがすごいことと思うんだろう。どうして疑問を持たないんだろうって。
そこで時間もあるし、アルバイトをしよう、とも思ったのですが、どうせ働くなら自分でなにか事業をやってみようかな、そのほうが将来の自分のためにもなるかな、と思って、
大学の仲間(現Bizcast COO 原田さん、現Bizcast CTO 山下さん)と、ビジネスをスタートさせました。
ひとつは海外用の携帯電話のレンタルサービス、もうひとつはエリアに特化したポータルサイトの運営です。
ただ、そのときのビジネスはなかなかマネタイズがうまくいかずに撤退しました。
そんなとき、学生時代のメンターの方がもうひとつの出逢いのきっかけを与えてくださいました。
学生時代のメンターの方は、社会人をしながら、スタートアップの起業支援を行っているひとだったんです。
学生時代に行った事業を撤退したときにその方から「シリコンバレーに行って来い、価値観が変わるし、自分自身の視座が上がるよ」とアドバイスを受けて、わけもわからずに、とにかく行ってみました。
シリコンバレーでは、数多くの起業家や投資家の方々とお会いすることができました。
それぞれの方々が、何かの課題を自分たちのサービスで解決していくということを実現していて、
大きなビジョンを持っている。本当にすごいな、と思いました。
中でも特に影響を受けたのがイーロン・マスクですね。
地球規模での課題解決に取り組んでいて、電気自動車という新たな産業を生み出していることに感銘を受けました。
これが僕自身のファーストキャリアにつながっていきます。
就職活動をするときは、自分で起業をするか、もしくは自分の提案を受け入れてくれる企業で働くか、というどちらかで考えていました。マンション系のビジネスを行っているベンチャー企業に内定をいただいていたのですが、社長が新たなビジネスをやりたいと考えていたところだったんです。そこで「電気自動車、やりませんか?」と提案したところ、とても興味を持ってくれて。在学中からジョインして、サービスの立ち上げをやりました。
マンションの一角に電気自動車を設置して、住人の方が自由に利用できる、という、日本で初めての電気自動車のカーシェアリングサービスです。
日本の人口のうち、マンションに住んでいるのは約2割と、とても大きなマーケットなんです。既存のマンションへのソリューションとしての提案とともに、新規に建設するマンションと、両軸で行っていました。新規に建設する場合、土地の関係で駐車場100%確保、というのが謳えないことがあるんです。そういったときに、マンションに電気自動車・カーシェアリングを設置することで、マンションそのものの価値をあげていきましょう、と。
商社さんや自治体を絡めて、電気自動車だからこそできる「エコタウン」の提案も行っていました。
商社、メーカー、ディーラーとの折衝や、カーシェアリングのシステム開発もやっていました。
とにかく、電気自動車産業を日本に広めていくんだ、という想いで夢中でしたね。
仕事、というよりライフワーク、という感覚で取り組んでいました。
ですが、電気自動車産業は、ベンチャー企業が求めるほどのスケール感を出しづらい領域ということもあり、結局大手に事業を売却することになりました。
もう一度ゼロからスタートするなら、独立したいなという想いがありました。
30歳までに独立したいと考えていたこともあり、そこで立ち上げたのが「株式会社Bizcast」です。実は、「Bizcast」を立ち上げるまで、事業構想期間が1年ほどあったんですが、元々大学時代の研究対象が「動画」ということもあり、自分で動画制作したり、動画メディアを運営していたりしていたんです。
大学で実際に「動画」や「画像工学」、「VR」の原理・原則を学ぶにつれ、僕たちの実生活にどんなふうに役立っていくんだろう、ということに非常に興味を持っていきました。
自分で運営しているメディアには、YouTuberからコンテンツを提供してもらっていました。
その中に数人、友達もいて。そこでYouTuberたちが口を揃えていうのが「マネタイズが課題」ということだったんです。
動画の再生回数よりも、マネタイズに課題を抱えているYouTuberがとても多い。
友達のYouTuberにはクライアントを紹介して、マネタイズに協力していました。
ここで、視点をマクロに変えてみたときに、メディア産業の在り方が大きく変化していることに気が付いたんです。
以前は事務所に所属していないと、メディアに出ることはできない、個人とメディアが分断されている状況でした。
ですが今は個人がメディア化している、個人が発信したことがコンテンツ化される、という時代に変わってきていると。
そこで、さらにたくさんのYouTuberたちにヒアリングしてみたんです。
ヒアリングの結果、やはり「YouTuberのマネタイズを支援していく」ということに、かなりニーズがあるということがわかりました。
僕が大きなミッションとして置いていることは「新しい産業、新しい文化を生み出していく」ということなので、新しい「コンテンツ産業」という領域で、スタートアップとしてチャレンジしていけるのではないかと、考えたんです。
新しくネットのタレントが活躍できるようなインフラを作っていこうということで、YouTuberと企業とのマッチングプラットフォームである「BitStar」を立ち上げました。
「友達のYouTuberと企業を引き合わせる」という、とても身近な実体験と、新しい産業を生み出したいという想いが、シンクロした結果だと考えています。
「Bizcast」で一緒に仕事をしているメンバーは、原田をはじめ、学生時代の仲間が多く、
それ以降にジョインしたメンバーも、僕らのミッションや事業内容に共感してくれたひとたちばかりです。
よく学生さんから「学生時代にどんなことに取り組んだらよいですか?」と聞かれることがあるのですが、僕は「同じ志を持てる仲間づくりを積極的にするべきだ」と答えています。
数年経た後、自分に返ってくるというのはとても大きいなと感じています。
新しい産業や分野を作っていくということは、変わらず大きなミッションとしてやっていきたいですね。
僕は歴史がすごく好きなんです。歴史上の人物ってかっこいいじゃないですか。
この人物がこういうことを実現したから、今の僕たちがある。
僕も生まれてから死ぬまでの差分で、世の中や社会に対して、なにかを生み出したいという想いが強いです。
中長期的な視点では、既存の事業だけではくて、実際に社会の中でどういうものが必要とされているのか、その中で僕たちが新しい産業が作っていけるポジションでやっていけるのか、数年先を見据えてチャレンジを続けていきたいと考えています。
■Bizcastについて
インフルエンサーが自分らしく活動・活躍できる場所を作ることをミッションとして、
YouTuberと企業のマッチングプラットフォーム「BitStar」を運営しています。
BitStarは、チャンネルの収益化をはかりたいYouTuberと費用対効果の高い動画広告を配信したい企業様をマッチングするサービスです。
現在登録されているYouTuberの視聴者数は延べ5,000万人を超え、日本最大級のインフルエンサーネットワークを有しており、このインフルエンサーネットワークを活用した企画の立案や効果測定分析をご評価頂き、大手企業様を中心に数多くの企業に利用されています。
Bizcast : http://corp.bizcast.bz/
渡辺 拓(わたなべ たく)
慶應義塾大学大学院 理工学研究科卒。専門は動画像処理・画像工学・VR。
在学中は現Bizcast COO原田、現Bizcast CTO 山下と学生ベンチャーの立ち上げを行う。
また、在学中よりベンチャー企業の社内新規事業の責任者として、日本初のマンション向け電気自動車カーシェアリング事業の立ち上げとグロースに貢献。3年で大手企業に事業売却となり、2014年7月には自身の会社としてBizcastを創業。元々の研究対象だった動画分野、そして友人がYouTuberだったこともありBitStarの事業の立ち上げに至る。