- 週間ランキング
LINEと連携する電子コミックサービスとして2013年にスタートしたマンガアプリ。
単行本を購入できるストアサービスの他、毎日読める無料連載も展開。「インディーズ」という、ユーザーがコンテンツを投稿するサービスも。コンテンツはアニメ化・映画化された話題作から、LINEマンガ編集部が贈るオリジナル作品まで、多彩なラインナップが揃っている。
国内では現在1,800万ダウンロード、売上は単月10億円を超える規模に。BL・TLのようなセクシー系コンテンツの売上比率がとても低く、一般マンガの売上が大きいのが特徴。
▲LINE株式会社 マンガ事業部 LINEマンガ企画チーム マネージャー 平井 漠 氏
『LINEマンガ』を手掛けるLINE株式会社 平井氏は3つの視点から、「マンガ作品とのタッチポイント創出」について語られた。
まず1つ目はサービス・機能について。LINEならではの機能として、購入特典のLINEスタンププレゼントがある。
これは販売促進だけが目的ではない。スタンプが使われることで、マンガを購入したユーザーの友達にコンテンツを知ってもらう狙いがある。単行本の1巻無料キャンペーンのような取り組みとかけあわせることで、より多くの人に作品を知ってもらうきっかけが作れるという。
また作品とのタッチポイントを増やす施策として、無料連載が挙げられた。1話ごとに読めるため、短い時間で楽しめる手軽さが人気を集め、単月で数億話も読まれているそうだ。
無料のマンガ作品を読んだあとに、ユーザーはどんなアクションをとるのか。LINEの行ったインターネット調査結果が上のグラフ。次の更新を待つ人が最も多いのはもちろんだが、電子版コミックを購入、紙(新品)のコミックを購入するユーザーがその後に続いている。
また成功した機能の一方で、あまり使われなかった失敗事例も紹介された。それが2013年12月から2015年5月までやっていた「読んだ」機能。読んだボタンを押して、LINEの友達にどんなマンガを読んだか共有するものである。
いずれは「読んだ」機能を発展させて、マンガを友だちから借りるような機能も考えていたとのこと。しかし実際には中途半端な機能のまま運用してしまったことや、「読んでいるマンガを知られたくない」といった心理もあり、ユーザーのモチベーションを掴むことができなかったという。
2つ目に触れられたのが「UI」。コンテンツの表示について語られた。
上の円グラフはLINEが特定のアルゴリズムで、ユーザーの性別を推定し割り出した『LINEマンガ』におけるジャンル別の男女比率(男女比を1:1とした場合)。少女・女性マンガは男性の比率が極端に少ないのに対し、少年・青年マンガは比較的女性比率が高めであることがわかる。
しかし掘り下げていくと、同じ少年・青年マンガでも、ヤンキー・極道・麻雀といったジャンルは女性比率が極めて低くなる。当たり前だが男女比はコンテンツ次第であり、実態に合わせて施策を考えていくことが重要だと平井氏は語った。
『LINEマンガ』ではこのようなユーザーの推定情報をもとに、連載マンガの表示を変えている。全体のコンテンツ内容自体は同じだが、上の方にユーザーの購読傾向に合致した作品が並ぶようにしているという。
最後に「LINEアプリ連携」について語られた。その施策として挙げられたのが、LINEのアプリ内でマンガが読める『LINE版LINEマンガ』。
▲LINE内の「ニュース」や「メニュー」からマンガが読める。
この取り組みを始めた目的は、アプリをインストールする前のタッチポイントを作ること。
アプリを積極的に使ってもらうことは重要だが、その前にまずダウンロードしてもらわなければいけない。スマホ所有者が毎日使うアプリは数個というアンケート調査もあり、アプリをダウンロードしてもらうのはハードルが高い。
その点LINEは国内ユーザーの約84%が毎日使っているサービスであり、スマホユーザーの可処分時間をかなり持っている。この中でタッチポイントを作ることは、非常に意味のある取り組みであると説明する。
今後もよりアプリ外でのタッチポイントを増やしていくため、LINEのメッセンジャーとしての機能を活用し、こちらからもっとプッシュしていく取り組みも推進していきたいと語った。
24時間ごとに1話ずつ無料で読める、マンガのセレクトショップ。
ホリエモンこと堀江貴文さん、サイバーエージェント藤田晋さん、女優の佐野ひなこさん、漫画家の東村アキコさんなど、多彩な著名人によって作品がレコメンドされているのが特徴です。
広告は入れておらず、マネタイズは1話ずつの購入がメインとのこと。
▲株式会社ナンバーナイン 取締役COO 荒井 健太郎 氏
『マンガトリガー』の株式会社ナンバーナイン 荒井氏が取り上げたのは、サービスのグロースについて。
指標にしているのはLTV(Life Time Value)、RR(Return Rate)、DAU(Daily Active Users)、ARPPU(Average Revenue Per Paid User)など。
『マンガトリガー』は1ヶ月単位・8つのステップで管理して、KPIを追っている。
▲グロースの8つのステップ。
しかしただKPIを追うだけでは、問題解決にはならないと語る。
数値を伸ばすために、ABテストを行ったりポップの文言を変えたり、様々な施策を実施。数値が伸びることももちろんあったが、再現性がなく次に繋げることができなかったという。
荒井氏は病気に例えて説明。「喉の痛み」を感じても、その原因となる病気はいくつもある。KPI分析も同じで、数字では問題の場所はわかるが原因までは突き止められない。
そこで原因究明のために始めたのがユーザーテスト。「夜寝る前に○○してください」といったシチュエーションとタスクをユーザーにお願いし、チェックしている。
またユーザーテストを行う際には、動画の撮影がおすすめとのこと。『マンガトリガー』ではインカムで表情を、後ろから手元を撮っている。
見つけた問題を言葉にすると、エンジニアやデザイナーに伝わりづらいこともある。その点動画は情報量が多く、ユーザーテストがより「お得」にできるという。
こうしたテストを通じて得られた課題は、「できない ・やりにくい」と「発生頻度」で分類。対応することで高い効果が得られる、かつ発生頻度が高い問題から解決して、KPIを上げるよう試行錯誤している。
その中で荒井氏が昨年後悔しているのが、細かいところに注力しすぎたことだという。ボタンの位置を変えたり、デザインを変更したり、1週間から1ヶ月で対応できる小さな施策では「やっている感」は得られるが、成果は得られなかった。
対応に数ヶ月かかるようなUXの根本的な課題にアプローチしないと、問題は解決しない。とにかく大きなところから手をつけるのが大切だと締めくくった。
ほとんどの作品がここでしか読めないオリジナルマンガで、無料・無制限で全話が読めるマンガアプリ。代表作品は「リセット・ゲーム」「外れたみんなの頭のネジ」「花はみじかし、恋せよオトメ。」など。最近は自社でアニメも制作・配信している。
属性は10~20代のミレニアル世代が中心で、男性6・女性4くらいの比率。
▲コミックスマート株式会社 取締役 福西 祐樹 氏
コミックスマート株式会社 福西氏はまず広告のマネタイズについて、昨年の事例を紹介。取り上げたのは昨年公開された洋画タイトルのプロモーション。
描き下ろしのオリジナルキャラクターによる、映画の本編とは異なるサイドストーリーを4作公開。若い世代に向けて、映画への興味を喚起した。
完全オリジナルのサイドストーリーのマンガの読了率は高く、広告主にも高く評価されたという。
次に挙げたのはASO(App Store Optimization)に関する事例。
『GANMA!』のリリース当初のストア評価は「3.4」程度で、その後も下降気味だった。しかし、2016年1月からアプリストアの運用を開始。現在はApp Store・Google Play両OSのストアにおいて、「4.7」という高いユーザーレビュー評価を獲得している。
行ったのはユーザーレビューに対する返信。低評価・高評価に関わらず、全てに対して実施。定型文ではなく、ユーザーそれぞれに合った内容を書くことも大切だという。それが少しずつ効果を出したのではないかと語った。
また品質の重要性にも言及。Google Playにおける事例だが、ANRやクラッシュ率が高くなってしまったときに検索結果順位が下降。数値をモニタリングを見ながら修正していったところ、「漫画」「マンガ」「まんが」3キーワードで1位(2018年2月13日時点)に戻ったそうだ。
スクウェア・エニックスとand factoryの共同事業。「鋼の錬金術師」「咲 -saki-」「アカメが斬る!」など、ガンガン系の名作を多数配信している。またアプリオリジナル作品も多数連載中。
2017年1月のリリースからダウンロード数280万。男性ユーザーが70%と割合が高く、10~20代が70~80%を占めている。
白泉社とand factoryの共同事業。「花とゆめ」「LaLa」「ヤングアニマル」「メロディ」など、白泉社の雑誌レーベル作品が多数読める。マンガだけでなく、人気声優陣によるオリジナルラジオも配信しているのが特徴的。
運営半年で約110万ダウンロードを達成。他のマンガアプリのユーザー層は男性がメインである中、本アプリは女性比率が約7割と非常に高い。
▲and factory株式会社 取締役 青木 倫治 氏
1つのマンガサービスに注力するところが多い中、『マンガUP!』と『マンガPark』の2サービスを運営しているand factory株式会社。青木氏は具体的な施策例の前に、基本的なKPIを紹介。
and factoryがチェックしているのはMAUとARPU。そしてメディアとしては、DAU・RRが伸びていくことが大切だという。またOrganicも媒体のパワーとしては重要。マンガサービスの広告出稿料が増えてきている中、自然流入の多いアプリは強いと語った。
流入において効果のあった施策が、YouTuber事務所のUUUMやVAZと組んだ「YouTuberコラボ」。
各社マンガアプリが似たような広告を多く出稿している中、違った視点から10~20代のユーザーを増やす目的で行われた。
3組のYouTuberに『マンガUP!』を宣伝してもらい、その動画に対して『マンガUP!』内でユーザー投票を実施。1位になったYouTuberは『マンガUP!』の作品内に、キャラクターとして出演できるという企画。
YouTuberを起用した広告は一般的に、商品を買ってみたという動画が多い。しかしマンガアプリにおいては、「これおもしろいよ」とただ紹介するだけでは響かないと判断し、こういった内容になった。
これは出版社ならではの取り組み。作家さんとのやり取りやストーリー構成など、出版社の尽力があったからこそできたと語った。
2つ目に取り上げたのは、唯一アプリ側からPRできる手段の「プッシュ通知」。ユーザーからは煩わしく思われることもあるだろうが、活用していくべきだと青木氏は説明した。
and factoryではReproのツールを使い、全配信とセグメント配信を使い分けてクリエイティブを配信。どれが最も効果が高いかを常に検証している。訴求次第で普段読まれない作品の読者数が、前週対比で13倍になったケースもあるという。
3つ目のトピックはアプリの利用時間と作品選定の関係について。
現状はマンガアプリ同士が、ユーザーの可処分時間を食い合っている状態。1回の起動につき利用時間は5分、長くとも10分未満という傾向にあるそう。その中で作品を読んでもらうには、1話の短い中で「引き」を作っていくことが大切。
そのためストーリー展開の早い作品は、アプリで好まれる傾向がある。雑誌や単行本で売れ行きの悪かったタイトルが、アプリで人気が出るパターンもあるそうだ。
▲『マンガUP!』では「アラクニド」が、「鋼の錬金術師」に並ぶほどの人気作品に。
こういった作品を売り出していくには、1話目を読んでもらうことが重要であるとも説明。
ユーザーはキャッチーなイラストやコピーに惹かれて、感覚的に入ってくる人が多い。そのためサムネイルにはこだわりっており、1作品につき複数作成して効果測定を行っているとのこと。
『マンガUP!』では広告で効果の高かった、コマをチラ見せするバナーをアプリTOPにも掲載。タップすると作品詳細ではなく、直接1話目のビューワーを起動することで読者数の増加に成功した。
また広告から入ってきたユーザーに、この作品だと見せて上げることで離脱の防止にもなっているという。
「Growth Hack Talks」はアプリのディレクター・マーケター・エンジニアなど、アプリの成長をミッションとする人たちがグロースハックのノウハウをシェアし合う、Repro株式会社が主催するイベント。
今後のイベント開催情報はこちら。