狂犬病の原因



原因ウイルス



狂犬病の原因となる病原体は、ラブドウイルス科リッサウイルス属に属する狂犬病ウイルス(Rabies virus)です。


感染経路



狂犬病が感染する原因は、犬の咬傷が最も多いとされています。犬は原因のほとんどを占めていますが、猫、コウモリ、アライグマなどが原因になることもあり、咬傷や引っ掻き傷から感染動物の唾液を介してウイルスが侵入します。目や唇等の粘膜から舐められることで感染したり、感染コウモリが住む洞窟内での飛沫感染が原因になることもあります。


発症まで



狂犬病ウイルスが体内に入ると、神経細胞に入り込みその中で増殖します。この時神経細胞でネグリ小体と呼ばれる封入体が形成されますが、これが末梢神経を介して脳神経に達することで狂犬病を発症します。そのため、脳神経から離れた部位で感染するほど、潜伏期間は長くなります。人の場合、一般的な潜伏期間は1ヶ月から3ヶ月ですが、1年から2年になることもあります。犬の場合、潜伏期間は20日から80日ほどとされています。


狂犬病の症状



人



人の狂犬病の初期は風邪に似た症状が見られたり、咬傷部位は治癒しているのに痒みや違和感、熱感などの症状が現れたりします。



8割は恐水・神経症を特徴とする狂躁型となります。急性期に入り、神経症状が出始めるとまず助からないと言われています。不安感、恐水症、恐風症、興奮性、錯乱などの神経症状が現れ、腱反射や瞳孔反射の亢進も見られるようになります。喉が渇いていても水に恐怖を感じてしまいます。その後、脳神経や全身の筋肉が麻痺を起こして死に至ります。



2割は上行性麻痺を特徴とする麻痺型となります。この場合、典型的な恐水症状や脳炎症状が無く、最初から麻痺状態になります。意識は明瞭で、狂躁型よりも進行は遅く、経過は長いとされています。最終的に昏睡に至り、心肺停止により死亡します。


犬



犬の狂犬病の症状としましては、発熱、嚥下困難、流涎、歩行困難などが挙げられます。最終的には全身の麻痺により呼吸困難となって死亡します。



また、落ち着きがなくなって興奮して動き回るようになったり、地面をひっかき続ける、絶え間なく咆哮する、興奮していろいろなものに噛みつこうとする、存在しないハエを捕まえようと空中で噛もうとする、等の行動が見られます。光や音に過剰に反応し、暗くて静かな場所を探して隠れる事もあります。


狂犬病の治療



人



狂犬病を発症している犬に噛まれたら、すぐに洗浄・消毒し、なるべく早く医療機関で狂犬病ワクチン接種等の処置を受ける必要があります。一見狂犬病でないような動物に咬まれても狂犬病にかかるリスクは存在するため、感染の可能性がある限り、発症を予防するために狂犬病ワクチンが使用されます。WHOで推奨されているプログラムがあり、そのプログラムに則って治療が行われます。


犬



治療法は無く、発症してしまったら100%の致死率と言われているため、狂犬病ワクチンを受けていない犬が感染してしまった場合は、人間への感染を防ぐために安楽死が行われます。


予防



発症後の治療法が存在しないため、感染を予防することが最も重要です。

人は、狂犬病発生国への渡航前に狂犬病ワクチン接種をすることで発症を防ぐことが可能となります。

犬は、狂犬病予防法によって、市町村への登録および年1回狂犬病ワクチンを受けることが義務づけられています。


まとめ




現在、日本で狂犬病の発生は無いため、身近な病気ではないかもしれません。万が一狂犬病が国内で発生した場合には、発生の拡大と蔓延の防止が非常に重要となります。そのためには、飼い主さん一人一人が狂犬病に関して正しい知識を持ち、愛犬の登録と予防注射を確実に行うことが必要です。



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情報提供元: わんちゃんホンポ
記事名:「 【獣医師執筆】狂犬病|原因や症状から治療法まで解説 」