ジャックラッセルテリアはなぜ抜け毛が多い?

ジャックラッセルテリアは、上毛と下毛の二重構造(ダブルコート)を持つ犬種として知られており、そのため一般的に抜け毛が多くなる傾向があります。

ただし、抜け毛の理由はこの被毛構造だけでは説明しきれないほど複雑で、生物学的特性や歴史的背景、さらには健康状態が深く関係しています。

特殊な毛周期による常時の抜け毛

ジャックラッセルテリアの抜け毛の多さは、特にその毛の生え変わる周期(毛周期)に深い関係があります。一般的な犬よりも成長が止まり、抜ける準備段階にある毛(休止期)の割合が比較的高いと指摘されています。

このため、換毛期を問わず通年に渡って毛が抜け続けるのです。ただし、個体差があり、すべての犬が必ずしも同じ傾向を示すとは限りません。

猟犬として培われた抜けやすい毛質

ジャックラッセルテリアは元来、地中の狭い巣穴に潜り込んで狩りを行う猟犬でした。こうした猟犬の役割に適応するため、被毛が容易に抜ける性質を獲得していったと考えられています。

これは毛が茂みや地面に引っかかった場合に、皮膚が傷つくのを防ぐための自然な仕組みです。この特性は現在でも犬種特有の遺伝的特徴として受け継がれ、現代の家庭犬として暮らす彼らの抜け毛にも影響しています。

病気が関係する抜け毛の可能性

ジャックラッセルテリアに多い抜け毛は、時に健康問題とも深く関係しています。

例えば、甲状腺機能の異常やアレルギー性皮膚炎、さらには副腎皮質の疾患など、内科的な病気が原因となって抜け毛が増えるケースがあります。また、抜け毛が適切に管理されないと皮膚炎や感染症のリスクを高める可能性もあるため、異常な抜け毛に気づいた場合は、専門家のアドバイスを得ることが推奨されます。

ジャックラッセルテリアの被毛タイプ別抜け毛比較

ジャックラッセルテリアには大きく分けて「スムース」「ラフ」「ブロークン」の3タイプの被毛があります。

これらのタイプは基本的な抜けやすさこそ変わりませんが、その毛質や長さによって手入れの方法や掃除の負担感が大きく異なります。タイプごとの特徴を知ることで、より効率的で的確なケアが可能になるでしょう。

スムース|掃除が大変な短く硬い毛

スムースタイプの毛は短く硬く、光沢があり体に密着して生えています。この短く硬い毛は、衣類や布地の繊維に深く突き刺さりやすいため、掃除の難易度が高くなります。

ブラシでのケア自体は比較的簡単ですが、布に刺さった毛を取り除くには専用の道具や時間が必要となります。

ラフ|絡まりやすく毛玉ができやすい長毛

ラフタイプは長く粗い毛が特徴で、特に眉毛や顎ひげが目立ちます。長毛は毛玉になりやすく、適切なケアを怠ると皮膚を引っ張り痛みを引き起こします。

また、絡まりが進むと皮膚の通気が悪くなり、皮膚トラブルを引き起こすリスクがあります。専門的なブラッシングや定期的なケアが必要です。

ブロークン|複合的な特徴を持つ混合型の毛質

ブロークンタイプはスムースとラフの中間的な特徴を持つ混合毛で、部分的に長い毛が混じります。そのため、体の部位によって手入れの方法や使う道具を柔軟に変える必要があります。毛質が混ざっているため、観察力や丁寧さが求められるタイプです。

ジャックラッセルテリアの抜け毛対策|ブラッシング

ジャックラッセルテリアの抜け毛を効果的に抑えるためには、日々のブラッシングが欠かせません。ただ抜け毛を取り除くだけでなく、皮膚の健康維持や毛並みの美しさを保つためにも、正しい方法で丁寧に行うことが重要です。

ブラッシングの目的とその効果

ブラッシングは抜け毛を事前に取り除き、家の中に散らばる毛の量を減らすだけではありません。適度な刺激を与えることで皮膚の血行を促し、新しい健康な毛の成長を促進する効果があります。また、定期的に体に触れることで皮膚の異常や健康状態を早期に発見する機会にもなります。

被毛タイプに応じたブラシの選定

ジャックラッセルテリアの被毛タイプに合わせて適切なブラシを選ぶことが大切です。短毛で硬いスムースタイプには、皮膚に優しく静電気を起こしにくいラバーブラシが適しています。

一方、毛が長く絡まりやすいラフタイプやブロークンタイプには、柔軟性があり先端が丸く加工されたスリッカーブラシと金属製のコームを併用し、毛玉を防ぐため丁寧にブラッシングする必要があります。

毛質を保つ専門技法「ストリッピング」

特にラフとブロークンタイプでは、テリア独特の硬く健康的な毛質を保つために「ストリッピング」と呼ばれる専門的なケア方法があります。

ストリッピングは毛を刈り取るのではなく、不要な毛を手や専用器具で抜く技術です。技術的に難易度が高いため、専門的な知識を持ったトリマーに定期的に依頼すると安心です。

ジャックラッセルテリアの抜け毛対策|シャンプー

抜け毛をコントロールし皮膚の健康を保つためには、適切なシャンプーの選定と正しい洗い方を理解することが重要です。シャンプーは汚れを落とすだけではなく、皮膚を保護し、トラブルを予防するための重要なスキンケアの一環です。

皮膚に優しいシャンプー選びのポイント

ジャックラッセルテリアの皮膚は敏感で乾燥しやすいため、皮膚を刺激しにくい低刺激な洗浄成分(アミノ酸系、ベタイン系)が配合されたシャンプーを選びましょう。

皮脂を過剰に取り去ってしまう硫酸系界面活性剤など、洗浄力が強すぎる製品は避けるべきです。また、皮膚の保湿や抗炎症作用のある成分が含まれていると、より理想的です。

効果的なシャンプー方法と徹底的なすすぎ

シャンプー前には必ずブラッシングを行い、毛のもつれや汚れを取り除いておくことが基本です。予洗いとして被毛を十分に濡らし、汚れが強い場合は二度洗いをすると効果的です。

特に重要なのがすすぎです。シャンプー成分が皮膚に残るとかゆみやフケ、炎症の原因となるため、すすぎには洗った時間の数倍をかけ、指の腹でぬめりがなくなるまで丁寧に洗い流してください。

生乾きを防ぐ乾かし方

シャンプー後は吸水性の高いタオルで優しく水分を取り除き、その後ドライヤーで完全に乾かします。ドライヤーは15〜20cm程度の距離を保ち、温風と冷風を使い分けながら常に動かすことで、皮膚へのダメージや生乾きを防ぎます。特に指の間や腹部など乾きにくい部分は意識して丁寧に乾かしましょう。

ジャックラッセルテリアの抜け毛対策|おすすめグッズ

ジャックラッセルテリアの抜け毛を完全にゼロにすることは難しいですが、適切なグッズを活用することで、掃除の負担を大幅に軽減できます。

家庭内の衛生状態を保ち、抜け毛によるアレルギーリスクを低下させるためにも、使い勝手の良い便利グッズを選ぶことが大切です。

掃除を効率化する便利グッズ

室内のカーペットやラグに絡まった抜け毛には、モーターブラシやタービンブラシを搭載した掃除機が効果的です。これらは回転するブラシが繊維の奥に入り込んだ毛をかき出し、取り除きやすくします。

また、フローリングやタイル床では、静電気を利用して毛を逃さずキャッチする化学モップが最適です。ソファや車内のシートに付着した毛の処理には、粘着ローラーよりも経済的で耐久性のあるゴム製の毛取りワイパーが重宝します。

空気中への抜け毛拡散防止グッズ

抜け毛が空気中に漂い、室内環境を悪化させることがあります。空気中の微細な毛やフケを取り除くためには、微粒子を効率よく捕えるHEPAフィルター搭載の空気清浄機を活用しましょう。HEPAフィルターは非常に細かな粒子まで捕集できるため、抜け毛によるアレルゲンの飛散を抑制する効果が期待できます。

また、洋服を着用させる場合は通気性がよく、肌に優しい素材のものを選ぶと良いでしょう。洗濯時にはペット用のランドリースポンジや専用ネットを使うことで、洗濯後の衣類への再付着を大幅に減らせます。

ジャックラッセルテリアの抜け毛対策|健康管理

ジャックラッセルテリアの抜け毛を抑えるためには、表面的なケアだけでなく、体の内側からの健康維持が必要不可欠です。

バランスのとれた食事、適切な運動、そして定期的な健康診断といった総合的なアプローチが、美しく健康的な被毛を保つ秘訣です。

被毛の健康を保つ栄養管理

ジャックラッセルテリアの皮膚や毛質を良好に保つためには、高品質なタンパク質を主成分とする食事が基本です。

特に皮膚の潤いと柔軟性を維持するために、オメガ3脂肪酸(EPAやDHAなど)やオメガ6脂肪酸が適切に配合されたフードを選ぶと良いでしょう。

亜鉛やビオチンなどの栄養素は、皮膚や毛の生成に重要な役割を果たすため、これらを適切に含む食材やサプリメントを取り入れるのもおすすめです。

ストレス軽減のための運動と遊び

ジャックラッセルテリアはエネルギッシュで知的な犬種です。そのため、運動不足やストレスが抜け毛の原因となることもあります。

散歩の時間を増やすだけではなく、犬の本能を刺激する遊びを取り入れるとより効果的です。家庭内でも実践しやすい方法としては、おもちゃを使った追いかけ遊びやノーズワーク(嗅覚を使った探索遊び)などがあります。これらはストレス発散だけでなく、精神的な満足感にもつながります。

病気の予防と定期的な健康チェック

甲状腺や副腎皮質の異常といった内分泌系の病気は、抜け毛を引き起こす原因となります。

特に中年期以降のジャックラッセルテリアでは、定期的な健康診断や血液検査を実施し、病気の早期発見と治療を心がけることが重要です。日々の健康状態をよく観察し、異常な抜け毛や体調の変化を感じた場合は、早めに専門家の診察を受けましょう。

まとめ

ジャックラッセルテリアの抜け毛は、その歴史や犬種特有の生物学的な特性に深く根ざしています。被毛タイプに応じて適切なブラッシングやシャンプー、専門的なケア技術を取り入れることが重要です。

また、掃除や衛生管理を効率化する便利なグッズを活用し、内側から健康を保つ食事や運動、定期的な健康診断を行うことで、抜け毛によるトラブルを軽減できます。抜け毛という特徴を正しく理解し、日々のケアや健康管理を適切に実践することで、愛犬とのより快適で幸せな生活が実現するでしょう。


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情報提供元: わんちゃんホンポ
記事名:「 ジャックラッセルテリアの抜け毛は多い!お手入れの基本と対策のコツまとめ