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そして、犬に咬まれた人は、痛みがあってもなくても驚いてしまうことでしょう。
しかし、犬に咬まれたとき「キャー!」「やだやだ!」「えー!!」などと騒いでしまうのはNGです。
咬まれた人が騒いだり笑ったりすると、犬はさらに興奮してしまったり相手も楽しんでいると勘違いしてしまったりすることがあります。
そのため、咬むことは楽しいことだと思い込んでしまい、その行動はどんどん増えてしまうのです。
犬が遊びながら咬んでくるとき、叱ってもやめない場合は他のことで気を逸らしてやめさせようとする飼い主さんは少なくありません。
しかし、おやつやおもちゃなど、犬が好きなものを見せてやめさせるのは避けた方がいいでしょう。
犬は自分の行動と直後に起きたことを結び付けて覚えるため、「咬むとおやつやおもちゃが出てくる」という望ましくない学習をしてしまいます。
咬む行動や「咬んでからやめた」という一連の行動に対する“ごほうび”をあたえることになってしまわないように、物と引き換えにやめさせることはできるだけ避けてください。
犬に本気で咬みつかれることは、あまりないと思いますが、もしも犬が腕や足に咬みついて離してくれないときは、絶対に腕や足を引かないようにしてください。
犬は咬んでつかまえたものが動くと、反射的により深く咬みついて逃がさないようにする傾向があります。
また、犬の歯が皮膚に刺さったり触れたりしている状態で引くと、皮膚が傷ついてしまうのでさらに深手を負う危険性があるので注意してください。
犬が咬みついて離してくれないときは、犬に水をかけたり大きな音を立てたりしましょう。そうすることで犬は驚き、瞬間的に口を開くのでその間に犬から離れてください。
犬が咬む行動を増やしたり、攻撃行動をより激しくしてしまったりするようなNG行動をここまで説明してきました。
それらの対応を避けたうえで大切なのは、犬が「咬むしかない」と思うような原因を作らないようにしたり、「咬みたい」という欲求を発散させたりすることです。
特に、犬が遊びのつもりで咬んだり、甘咬みをしたりしている場合は、「咬んでいいもの」を与えて咬みつきに対する本能的な欲求を満たしてあげなければなりません。
犬が物を咬みたいと思うのは、動物としてごく自然な欲求のため、それ自体を抑え込むことはむずかしいでしょう。必要なのは、犬にも人にも安全な方法でその欲求を発散させることなのです。
そのために、しっかり咬んでも壊れない“コング”などのおもちゃを与えたり、あえて「咬み壊す」という行動ができる食べ物や手製のおもちゃで遊ばせたりするといいでしょう。
また、ロープ上のおもちゃなどで引っ張りっこ遊びをして、狩猟本能を満たしてあげるとさらに満足度が上がると思います。
そうした形で咬むことへの欲求を満たせば、遊びやストレス発散のための咬みつきは減らすことができます。
本気で咬みついてくる犬の場合は、飼い主さんだけでは対処することはむずかしいかもしれません。ドッグトレーナーや獣医師にも相談して行動療法や薬物療法を取り入れて、危険のないように改善を図るようにしましょう。
動物である犬にとって、「咬む」という行動は意思表示やコミュニケーションの方法です。
そのため、可愛がっている愛犬やよく知っている犬であっても、何かのきっかけで咬まれてしまう可能性はあるということは決して忘れてはいけません。
そして、犬が咬んできたときの対応によって、その後の犬の行動や関係性が変わってくるため、適切な対処ができるようにしっかりと意識しておきましょう。