放置厳禁な『犬の病気』2選 早期発見するために飼い主が日頃からできることまで
放置厳禁な「犬の病気」
「全ての病気が放置厳禁です!」と言いたいところなのですが、今回は、身近に潜む放置厳禁な「犬の病気」を解説します。
すでに発症している可能性が高いにも関わらず、症状があることを確認しているにも関わらず、痛いわけでも苦しいわけでもなく生活に支障はないから…と放置されている病気はありませんか?
1.歯周病
歯周病は、放置厳禁な犬の病気です。
歯周病は、歯肉炎・軽度の歯周炎・中度の歯周炎・重度の歯周炎の4つの段階に分けることができます。
歯垢や歯石がたまり、歯茎が赤く腫れたり、歯磨きのときに出血したりするのが「歯肉炎」です。その歯肉炎が進行し、歯茎の腫れが大きくなり、口臭が気になり始めるのが「軽度の歯周炎」です。
歯茎に膿がたまったり、歯茎がブヨブヨとし始めたり、より口臭が強まり始めるのが「中度の歯周炎」です。歯がグラグラと揺れることがあります。さらに、歯の根元が歯石で覆われ、歯茎にたまった膿が出たり、歯が自然と抜けたりすることがあるのが「重度の歯周炎」で、「歯槽膿漏」とも呼ばれます。
歯周病菌は、歯茎の炎症部から血管へと侵入し、血液と共に全身へと巡ります。心不全や腎不全などの病気に繋がる恐れがあり、持病を悪化させることもあります。
歯周病に伴い、細菌や細菌が分泌する毒素、炎症物質が歯肉から血液循環に侵入し、全身に影響を与えることが示唆されています。犬では、歯周病と腎疾患、腎疾患、心疾患の関連性が報告されています。歯周病は口の中の問題だけではなく全身にも影響をもたらします。
愛犬の歯周病の症状として飼い主が最も気づきやすいのが「口臭」です。口の中の嫌なニオイは、すでに歯周病であるサインと言えます。愛犬の口臭が気になるということは、歯周病を早期発見できているということです。適切な処置を受けることができれば、大切な歯を残すことができ、健康寿命を縮めずに済むでしょう。
そして、愛犬を歯周病から守るために日々できることは「歯磨き」です。犬にもできるだけ毎日の歯磨きが必要です。
2.僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は、放置厳禁な犬の病気です。
人間と同様、犬の死因で最も多いのが癌です。次ぐのが心臓病で、僧帽弁閉鎖不全症は最も罹患率が高いと言えます。
僧帽弁閉鎖不全症は、初期段階では特に症状が現れず発見しにくい病気です。
「A・B1・B2・C1・C2・D1・D2」の7つのステージに分けることができますが、症状が見られるようになるのはステージC1からであるということが分かっています。
見られるようになる症状には、「咳」「呼吸促拍」があります。お散歩を嫌がるようになるというのも症状としてよく見られます。
早期発見のために飼い主が日頃からできることは、「安静時の呼吸数を確認すること」「咳の確認」です。
くつろいでいるとき、眠っているとき、「1分間の呼吸数」を数えます。小型犬は20回以下、大型犬は15回以下で正常な呼吸数であると言えます。30回以上であると「多め」、40回以上で「異常」と判断することができます。
いずれにせよ、呼吸数が普段より多くなっていたら、かかりつけの動物病院で診察を受けましょう。「呼吸数が多いことが気になって…」と伝えるとよいと思います。
また、犬の咳は人の咳と異なり喉に何かが詰まって吐き出そうとする咳払いのような感じです。咳が出ていても食欲元気があり、毎日出ない場合は様子を見てしまいがちです。咳が出ていれば必ず動物病院を受診し心雑音がないか確認してもらいましょう。
まとめ
放置厳禁な犬の病気を2つ解説しました。
- 歯周病
- 僧帽弁閉鎖不全症
愛犬の口臭が気になっているのではありませんか。歯石もたまっていますよね。歯石除去は全身麻酔のリスクがあるからと、治療を受けることを躊躇っていませんか。
もしも歯周病菌が原因で心臓病を発症してしまうと、全身麻酔ができなくなってしまうかもしれません。そうなると、歯石除去の手術が受けられなくなるだけではなく、他の重篤な病気になったときにも適切な治療を受けることができなくなってしまう可能性があります。
嫌がるかもしれませんが、愛犬にも毎日の歯磨きをしましょう。お好きなタイミングで、1日1回でも構いません。練習と慣れが必要です。根気強く向き合いましょう。
(うちの子の心臓は大丈夫かな…?)と気になるときは、聴診を受けるだけでも良いと思います。心雑音の有無を診察してもらうだけでも安心できるのではないでしょうか。
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