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みなさんは「子どもが生まれたら犬を飼いなさい」というイギリスの詩をご存知でしょうか?
古くからある作者不詳の詩ではありますが、犬が子どもに与えるメリットが詰め込まれたこの詩は、世界中でとても有名なものとなっています。詩の内容は次の通りです。
「子どもが生まれたら犬を飼いなさい。
子どもが赤ん坊の時、子どもの良き守り手となるでしょう。
子どもが幼年期の時、子どもの良き遊び相手となるでしょう。
子どもが少年期の時、子どもの良き理解者となるでしょう。
そして、子どもが青年になった時、
自らの死をもって子どもに命の尊さを教えるでしょう。」
この詩では、犬と子どもが一緒に暮らしている間はもちろん、旅立った後にも子どもにたくさんの大切なことを教えてくれる事実を詠っています。
先ほどの詩にもあったように、犬と暮らすことには子どもにとってもさまざまなメリットがあります。
筆者の自宅でも以前は犬と子どもを一緒に育てていました。
数年前に愛犬は亡くなってしまいましたが、愛犬からは本当にたくさんのことを子どもも私自身も教わったと今でも感謝しています。
とはいえ、やはり犬は私たち人間よりも繊細な部分も多いです。言葉が通じない分、ストレスを溜め込んでしまったり、子どもに対して噛みついてしまったり…という心配も否めません。
子どもにも犬にもできるだけ負担をかけないため、周囲の大人がきちんとポイントや注意点を抑えることが重要です。
ここからは、子どものいる家庭で犬を飼う際のポイントをお話します。今すでにワンちゃんがいるご家庭はもちろん、これから新たに迎える方もぜひ参考にしてみてくださいね!
私たち大人であれば、犬の習性や犬が嫌がることをある程度は把握できていますよね。しかし、子どもの場合には犬に関することをまだ理解していない部分も多いでしょう。
周囲の大人があらかじめ犬のことをきちんと説明して、「これをしてはダメだよ」とルールを決めておくことがオススメです!
ちなみに筆者宅では、子どもが生まれる前から愛犬がいたのですが、子どもがある程度物事を理解できるようになってからは次のようなルールを設けていました。
可愛い愛犬の目は大人でもついじっと見つめたくなるのですが、場合によっては犬が「威嚇されている」と感じてしまうこともあります。
トレーニングなどの際のアイコンタクトは大切ですが、普段は過度に見つめないように子どもにも教えました。
また、嗅覚が鋭いことで知られている犬ですが聴覚も優れているので、子どもの大きな声で驚いてしまうことも珍しくありません。
子どもを静かにさせるのは至難の業ですし、元気にはしゃげないのは子どもにとってストレスになってしまうかと思います。
無理に大人しくさせる必要はないとは思っていますが、我が家では「ワンちゃんがびっくりするから急に叫んだりするのはダメだよ」と伝えていましたよ。
こうしたルールは家庭環境によっても、どのようなものが必要なのかが変わってくるかと思います。
ぜひ、ご家族で話し合うなどして決めてみてくださいね。
子どもは、おもちゃなどで部屋を散らかすのが上手ですよね(笑)。子どもらしくて可愛さも感じる反面、そのままにしておくと犬がおもちゃを誤飲してしまう事故にもつながるので要注意です!
筆者は以前、動物病院で働いていたのですが、実際に「子どもが遊んでいたスーパーボールを犬が食べてしまった」「子どものフィギュアを飲み込んだ」など、誤飲で来院される方は多かったですよ。
「遊んだら片付ける」という約束を徹底し、誤飲事故につながるようなものを部屋に置いたままにしないように注意しましょう。
「子どもと愛犬に早く仲良くなってほしい」という親心はとてもよくわかるのですが、ずっと一緒にいさせては愛犬もなかなか気が休まりません。
さらに、構いすぎることによって犬が分離不安症などの精神疾患に陥るケースもあるので、子どもに限らず犬と人は適度な距離感を保つことが大切です。
普段はリビングなどで人と一緒に生活をさせている犬であっても、サークルなど「犬だけで過ごせる空間」をきちんと確保しましょう。
この時間はリビングで、この時間はサークルで…など、時間帯やシーンによって生活スペースを変えてみて、どちらの生活にも慣れさせてくださいね。
これから新たにワンちゃんを迎えるご家庭であれば、社交性がある子ども向けの犬種を選ぶのも一つの手です。
穏やかな性格だったり反対に活発だったり性格はさまざまですが、これらの犬種はどれも「子どもとの相性が良い」と言われている子たちです。
もちろん個体差はありますが、ご家族で犬種の性格なども調べながら、どの子がお子さんに合っているかを考えてみるのも良いかと思います。
子どもがいる家庭で犬を飼う際のポイントについてお話してきましたが、ここからは実際に筆者が犬と子どもを一緒に育てる上で必要だと感じた注意点をご紹介します。
先ほどお話したように、子どもと一緒に犬に関わる際のルールを決めることも重要ですが、犬のトレーニングをきちんと済ませることも同じくらい大切です。
犬のトレーニングが済んでいないまま子どもと触れ合わせると、犬が子どもに噛みついてしまうことも考えられますし、犬の中での立場の順位が確立しづらいため、その後の生活に支障が出ることもあり得ます。
お子さんの年齢にもよりますが、子どもも大人と一緒にお世話をしたりトレーニングをしたりすることで、子どもと犬の信頼関係を上手く築くことができますよ。
「早く遊ばせたい」という気持ちもわかりますが、まずはきちんと愛犬のトレーニングを行いましょう。
普段はどんなに大人しい性格のワンちゃんであっても、「危険を感じたら噛む」というのは本能として備わっています。
わざとではなかったとしても、子どもが犬に何か嫌なことをした拍子に噛みついてしまう…というケースも十分に考えられるのです。
犬と子どもを遊ばせる際には、必ず大人が近くで見守るようにしましょう。
このような様子が見られるときには、犬が嫌がってストレスを抱いている証拠です。
犬にこうしたサインが見られたり、子どもが犬の嫌がりそうなことをした場合には、きちんと子どもに注意して早めにやめさせることが大切です。
言うまでもありませんが、どのワンちゃんもみんな飼い主さんのことが大好きです。その大好きな飼い主さんがずっと子どもの面倒を見ていると、ヤキモチを妬いて子どもに意地悪をしてしまうこともあり得ます。
子どものいる家庭で犬を飼う場合、お子さんの面倒が最優先なのはもちろんですが、愛犬にも意識して愛情をかけてあげるようにしてください。
ただし、犬が「自分の方がこの子よりもえらい」と勘違いしてしまうと困りますよね。お子さんがある程度物事を理解できる年齢であれば、先ほどもお話したように、一緒にお世話をするなどして、犬の中での順位が狂ってしまわないように工夫しましょう。
「犬と子ども、双方が良い関係になれるかどうかは周囲の大人にかかっている」と言っても過言ではありません。
信頼関係をきちんと築くことができれば、冒頭にご紹介した詩の通り、犬はたくさんのことを子どもに教えてくれますよ。さまざまな工夫をしながら、子どもと愛犬との暮らしを楽しんでくださいね。
以前はトリマーとして従事していたが、愛犬の死をきっかけにペットロスカウンセラーへと転身。現在では、Rapport Cielの代表として、ペットロスカウンセラーやグリーフケアを行う一方で、Webライターとして動物に関する様々な記事の執筆を行う。
著書「ペットロスで悩んだときに読んでほしい愛犬の死がきっかけで平凡主婦がペットロスカウンセラーとなって起業した話: 「意外」と驚かれるペットロスとの向き合い方 (ラポールブックス)