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10代の頃からいわゆるクラシック・ロックやらオールディーズ・ナンバーが好きなのです。そもそものきっかけは、とあるテレビドラマで、ピーター・ポール&マリーというフォーク・グループを気に入ったことでした。
ドラマ内で使われた歌詞入り音楽はピーター・ポール&マリーだけだったと記憶しています。そんな中でも、OPであった「Blowin’in the window(邦題:風に吹かれて)」と「Gone the rainbow(邦題:虹と共に消えた恋)」は、深く心に残りました。
「Blowin’in the window」は、ボブ・ディランが作った反戦歌で、あとから気が付けば大変に有名な曲でした。
ボブ・ディラン版は弾き語りに近い感じですが、ピーター・ポール&マリーはアコースティックギターと3人のハーモニーで上品かつメッセージを強く訴える仕上がりです。発表は1960年代前半。
「Blowin’in the window」を聴くためにドラマを見ていたこのころは10代、ようやくステレオのラジカセを買ってもらったところでした。
そして60年代~70年代代の音楽をエアチェックでテープに録りまくります。最新ヒットには目もくれず。
60年代~70年代頃の音楽の特集をチェックていますと、ビートルズ、ローリングストーンズ、キンクス、サイモン&ガーファンクル、ボブ・ディラン、キャロル・キング、ジャニス・ジョプリン、ニール・ヤングなどのビッグネームは頻繁にかかります。
しかし、一回聴いたっきり・録ったきりでなかなか二度目に当らない名前も出てきます。それも、各年のチャート(全米または全英)で一位を取っているというのに。
例えばこんな人たち……スール・スーリール、ジョン・フレッド&ヒズ・プレイボーイ・バンド、ニルソン、テリー・ジャックス、バリー・マクガイア、ゼーガー&エバンズ、等々……。
そんな「よくわからない」人たちの真実の姿を知るため、書店と図書館に通いました。そしてわかったことは、要するに彼らは「一発屋」だったのです。
その「一発屋っぷり」がすごい人は、それなりに雑誌やムックで記事を見つけることが出来ました。
ジョン・フレッド&ヒズ・プレイボーイ・バンドの「Judy In Disguise」は、ビートルズの「Lucy in the sky with diamonds」のパロディであること、ゼーガー&エバンズの「In The year 2525」は6週間もビルボード1位であったのに、その前にもその後にも全米チャートには名前が載ったことはないなど。
しかし最も耳に残ったテリー・ジャックスの「Seasons in the sun」は、本にも雑誌にもまったく登場せず、素性が全然わからない。
そんなあるとき、やや大きなレコード店で、店員さんにウォークマンのヘッドフォンを渡し、「この曲を知っていますか?」と聞いてみるという行動に出てしまいました。
店員さんは暫く聴いてから、「店長ならわかるかもしれません」と。
店長さんに話をしてくれ、店長さんはワタシに「テープ貸してもらえますか?店で掛ければだれかわかるでしょう」と、なんと店内に流したのです。
しかし、まっさきにわかったのは、その店長さんでした。「ああ、これはテリー・ジャックスのSeasons in the sunですね。よくご存知ですね」と。さすがレコード店店長。
これのCDかレコードが手に入るかと聴いてみると、CDはそもそもないかもしれないが、シングルレコードなら輸入できますよ、と。
これはっ!ということで、輸入をお願いしました。2週間ほどで入荷の電話があり、受け取りに行ったレコードは、「OLD GOLD」と書かれたジャケットに入っていました。要するに古きヒットソングを集めたレーベルのようでした。
しかしここで再度課題が。ジャケットは紙の袋だけで、歌詞カードがありません。まぁ洋楽ではありがちなこと……ということで、今度は勤務先のイギリス留学経験もあり、その後一時期通訳を仕事にしていたこともある英語堪能な会社の先輩女性に、一度聴いていただいた上で、歌詞を起こせませんか?とお願いし、OKをいただけました。
しかし数日後、この方をもってしても、「サビの後半が何言ってるのか断定できない」とのこと。
あまりしつこいのも申し訳ないので、あっさりあきらめました。
ここまで、6~7年くらいかかったでしょうか。
その後も時々発売されるオールディーズCDをチェックしていました。特に「Seasons in the sun」が含まれそうな1974年前後は念入りに見ていました。
そして遂に、「Seasons in the sun」が含まれたCDが発売されたのです。
最初に聴いてから既に10年以上経過していました。メジャーな会社ではなく、もちろんオムニバスでしたが、そんなことはどうでもいい。「Seasons in the sun」が入っているのが大事なのです。
そして、ちゃんと歌詞カードもありました。
この充実感(笑)。
歌詞カードは前述の先輩に(すでに会社をお辞めになっていたのに呼び出して)ごらん頂きましたよ。
こんな思い出のある「Seasons in the sun」ですが、いまでは簡単に歌詞を検索でき、CDもネット通販で入手できます。
そして不名誉なことに、アメリカのとあるサイトで「最悪のポップ・ソング」にとりあげられていました。そのときの記述は、「一度聞くと脳裏から離れない」。そう、まさにそのとおり。ワタシは10年以上、脳裏にあったのですから。
(残念ながら現在はそのページはなくなっているようです)
そんな「Seasons in the sun」。インターネットなどで視聴できるサイトもありますので興味があればお暇な時に検索してみてください。
【文:エドガー】
鉄道、萩尾望都作品、ポール・スミス、爬虫類から長門有希と興味あるものはどこまでも探求し、脳みその無駄遣いを楽しむ一市民。そのやたら数だけは豊富な脳みその無駄遣いの成果をご披露させていただきます。