直接的な物言いを避け、遠回しの表現で相手に言いたいことを伝える「京言葉」。もしも京都で警察官が「はんなり捜査」をしたら……? そんなシチュエーションを描いた4コマ漫画がSNSで話題です。

 作者は昨年2月から4コマ漫画を描いているという、せのはつかさん。4コマ漫画のバトルトーナメント「ヨンバト」と、1時間で4コマ漫画を1本描いて見せ合う活動「1h4d」に触発されて作品を作るなか、今回の作品「いけず警察24時」が話題となりました。

 ストーリーは、いかつい格好をした強面の男性に「兄さん洒落たもの着てはりますわぁ」「こんな遅くにどないしはったん」と二人の警官が話しかける場面から始まります。男性は「御所に観光ですよ……」とはぐらかすものの、警官の“はんなり”とした追及は止まりません。

 やがて男性のもとからは、白い粉の入った小袋が。それを見た警官らは「よそさんはお塩なんか持ち歩いて気がききはるなぁ」「京は薄味やもんなぁ」とニヤリ。いつしかその手には手錠が握られ、「ウチ(警察)にいいお茶があるさかい、ゆっくり飲んでいきなはれ」「お友達も待ってんで」と男性を連行していくストーリーとなっています。(※投稿時より漫画の文言を一部変更しています)

 警官の言葉はやわらかく、直接何かを指摘しているわけではないものの、言葉とは裏腹にどんどん隙を突いて逃げ道を塞いでいく「はんなり捜査」がなんともリアルでクセになります。

 「京都の警察が、麻薬や逮捕という直接的な表現を使わずに京ことばで捜査していたらどんな感じだろうと思って描きました」と、せのさん。ご自身は北国の出身とのことで、執筆の際には関西弁のイメージが難しく、かなり苦労したそうです。

 「調べていくうちに、いけずは相手を思いやる気持ちから使うと知ったので、悪人にもマイルドに話しかける穏やかな警察官とも読めるようにセリフを調整しました」(せのはつかさん)

 ちなみに今回の漫画の中では、警察官が対象者に軽く触れる場面が描かれていたことから、「令状なしに対象者に触れるのは違法ではないか?」という指摘が届いたそうです。

 漫画の内容がフィクションであるのは言うまでもありませんが、警察官が対象者に軽く触れる行為自体には、状況によって「違法」「許容」の判断が異なります。よって本稿では指摘を紹介するにとどめ、結論は避けさせていただきます。

 繰り返しになりますが、今回のストーリーはあくまでフィクション。現実世界の法律やルールがそのまま反映されるとは限りません。

 でも万が一、リアルにこのような事態に直面した場合は、頭の片隅に入れておくと役に立つかも知れません。もっともそんなことがないのが一番ですが……。

 なお、「展開としては、持ち物が塩でも麻薬でもどっちでも読めるようにしています」と、せのさん。もしかすると本当に持っていたのはパッケージに入った塩だったのかもしれません。それも含めて読んでいくと、より楽しめそうです。

「寄せられたコメントでは、『他の地域では……』と話を広げて下さったり、更なる“いけず”を書いて下さったりして、とても楽しく読ませて頂きました」(せのはつかさん)

 今後は4コマ以外の漫画も描いてみたいという、せのさん。新たな展開が楽しみです。

https://x.com/seno20ka/status/1842394096570434028

<記事化協力>
せのはつかさん(@seno20ka

(天谷窓大)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 天谷窓大 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024100907.html
情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 京言葉で“はんなり”追い詰める警官 4コマ漫画「いけず警察24時」