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夏の風物詩「花火」。2024年も各地で花火大会が開催され、夜空に綺麗な花火が打ち上げられています。ただし、様々な理由で見られない人も……。
そんな人のために本物に勝るとも劣らない幻想的な花火がX(Twitter)上に打ち上げられています。投稿したのは洗濯バサミフォトグラファーの岡本なうさん。これが洗濯バサミの作品とは思えない!
暗闇の中で青色に輝く洗濯バサミは、まさにアート。「洗濯バサミの花火を打ち上げた」というあまり聞いたことがない説明と共に投稿されたことなど、どうでも良くなるほど美しくて目を奪われます。
コメント欄にも「たまや~!」という声が飛び、まるで花火大会に来ているよう。花火大会に行けなかった人も、こんなに素晴らしい洗濯バサミの花火を見ることができれば、じゅうぶんに満足するのではないでしょうか。
―― 「隅田川花火大会にいけない僕は、洗濯バサミの花火を打ち上げた」として投稿されましたが、隅田川花火大会の思い出を聞かせてください
隅田川花火大会は子どもの頃にテレビで見ていた記憶が強くあり、憧れの花火大会という感じでしたね。会場までが遠いのもあり、実際に行ったことはないです。花火大会自体は、親戚が地元の花火大会が行われる会場の近くに住んでいるので、子どもの頃にはよく行っていました。
―― なんと、憧れの花火大会という位置づけだったんですね。隅田川花火大会の花火にも負けないほど幻想的で綺麗な作品は、どのようにして撮影されたのでしょうか?
洗濯バサミにはLEDライトを仕込んでいます。撮り方はカメラを三脚に固定して、シャッターが降りる瞬間に少し三脚のネジを緩め、カメラ自体をガクッと落とすんです。これで花火の細かい線のような火花を生み出し、花火の残像も残るので幻想的な感じがでます。
―― そんな風に撮っていたんですね。
さらに2024年は新しい試みの1つとして、使用しているカメラ(一眼レフカメラCanonのEOS 5D MarkⅣ)のカメラ内機能での多重露出撮影を行っています。
―― 撮影の際に大変だったことを教えてください。
設置のわずかな衝撃で苦労して作ったものが一瞬で壊れることですね。まさに花火のような儚さです。また洗濯バサミが落ちた時は暗い庭で草をかき分けて探すことになるので、本当に大変です。
他にも撮影のライトなどで数十匹の蚊や虫がやってくるので、夜の庭で洗濯バサミを撮りながら痒みにひたすら耐えるのも大変でした。虫除けスプレーも蚊取り線香も使用していましたが、靴下の上からでも蚊は刺してきますからね……。
―― 美しい作品の裏にそのような苦労があったとは……。大変な状況の中でも、こだわった部分を教えてください。
「今、持っているカメラ内にある機能をフルに使おう」、「今、持っているもので工夫してやってみよう」ということは、これまでの洗濯バサミフォト全体としても言えることですが、こだわっている部分です。
また今回1番強く思っていたこと、大事にしていたことは、花火大会に行けなかった子どもの頃の自分の経験です。今年の花火大会も様々な理由や事情で花火大会に行けない人、連れて行ってあげることができない人、見られない人がいらっしゃると思うんですよ。
―― たしかに、そうですね。
そこで花火大会に行きたくても行けなかった人が「あぁ~やっぱり、行きたかったな……残念だな、がっかりだな……」という気持ちになる1枚ではなく、「今の状況や気持ちに違う視点で寄り添える1枚になったらいいな」と思いながら洗濯バサミの花火を撮りました。
きっとこれが、僕が洗濯バサミの花火に対しての1番のこだわりだと思います。
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今回の投稿に集まった「いいね」の数は12万超。これは洗濯バサミの花火に込められた岡本さんの想いが多くの人に伝わった証ですね。
<記事化協力>
洗濯バサミフォトグラファー・岡本なうさん(@okaphotoart)
(佐藤圭亮)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 佐藤圭亮 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024080207.html