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TikTokにて「おかんP」なるアカウントが注目を集めています。「ウチのオカンに3分で曲作らせたらヤバかった」と紹介文にあるように、どうやら投稿者の母が有名ゲーム”っぽい”楽曲を短時間で作る……という内容のようです。
しかしながら、楽曲のクオリティはどれも一級品で、いずれもそのままゲーム中で流れていても違和感のないほどの出来栄え。アカウント開設からわずか一か月弱で2万ものフォロワーを獲得したこのオカン……いったい何者?
「おかんP」がTikTokに初めて投稿を行ったのが6月29日。「おかん!ロックマンみたいな曲作れる?」と、晩ご飯をリクエストするかのごとく軽いノリでたずねる投稿者に対し「作れるけど……」「まあ5分くらいあったら作れんちゃう?」と、こちらも軽いノリで返事をするオカン。
その後、制作中の様子が早回しで再生され、「できたで!」と呼ばれて完成した楽曲のタイトルは「ソニックマン」。ノリのいいアップテンポの曲で、たしかにロックマンのステージ曲としてしっくりくる完成度です。なにより、これを短時間で作れてしまうことにびっくり……。
投稿当初より、コメント欄には「お母さん何者?」と、その正体に疑問の声が寄せられていましたが、これが明らかとなったのが7月22日。「ロックマン3 Dr.ワイリーの最期!?」や「ファイナルファイト」の楽曲担当として知られる藤田晴美さんが、自身のXアカウントでカミングアウトしました。
文字通りの”ご本人登場”にSNSは一時騒然。「本物かと思ったら本当に本物だった」「ロックマン3好きだからこれはたまらん」といった、驚きや絶賛のコメントが寄せられ、投稿には5万件を超えるいいねが付くなど、大きな反響を呼びました。
藤田晴美さんは、かつて「SNK」や「カプコン」といったゲーム会社に在籍し、現在はフリーの作曲家として活動中。ゲーム音楽のほか、ミュージカルなど舞台音楽も手掛けるなど、創作の幅を広げています。
今回の記事化にあたり、藤田さんに連絡を行ってみたところ、なんとインタビューに快諾。せっかくなので、いろいろ質問してみることにしました。
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―― この度はお忙しい中、インタビューにご協力いただき誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
―― TikTokにて「おかんP」としてアカウントを運用しているのは藤田さんの息子さんなのでしょうか?即興でゲーム音楽を作る、という活動を始めた経緯やきっかけについてお聞かせください。
活動を始めたのは息子がきっかけです。いつも作曲している様子を見ていた息子からの提案でやってみました。
―― おふたりの軽快な掛け合いはまさに親子ならではですね。動画を撮影している環境は、藤田さんが実際に作曲活動を行っている環境と同じなのでしょうか?
そうですね。自宅で、いつも作曲をしている環境で撮影しました。
―― 「〇〇みたいな曲を5分で作る」で大きな注目を集めている形となりますが、どのようなポイントをおさえて曲を制作されているのでしょうか?何か意識していることがあれば教えてください。
私は感性のみで作曲する作曲家なので、TikTokでも使用しているイラストを見たら勝手に手が動き出す感じです。
―― それでイメージピッタリの楽曲が作れるなんて驚きしかありません。今回Xでも大きな注目を集めたことで、今後さらにファンの期待が高まっていくと思います。これからも同じようにTikTokでの発信も継続していかれるご予定なのでしょうか?
継続していきます。見ていただける皆さんがすごく楽しんだり、喜んだりしてくれているようなので、引き続き続けたいと思っています。
―― ゲーム音楽ファンの一個人としても、藤田さんとおかんPの今後の活動を楽しみにしています。お忙しいところ、誠にありがとうございました!
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筆者自身は作曲をしたことはありませんが、「感性のみで作曲」という点には特に驚かされました。これこそが5分で作曲を行うコツであるのでしょうが、まさに数多くのゲーム音楽を手掛けてきた藤田さんだからこそなせる神業と言って過言ではないでしょう。
おかんPのTikTokには今回の動画のほか、「マリオカートみたいな曲」「スト2のオープニングみたいな曲」など、4つの動画が公開中。次はいったいどんな「○○っぽい曲」が投稿されるのか、今後さらに注目が集まりそうです。
<記事化協力>
藤田晴美さん(X:@soundfujita / TikTok(おかんP):@okanp2024)
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024072503.html