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全国のJA(農協)通販サイト「かかしさんのJA」の公式X(Twitter)が、全国の利用者の中に「顔パス」ならぬ「名前パス」の人がいることを紹介。
投稿された写真に写る注文書の「ご氏名」欄には、「おばば」しか書かれていません。これで通じるんだ……。さらに公式Xの担当者に詳しくうかがうと、どうやらおばばさんはフォロワーの間でも有名人。
担当者の話では、毎月50万人にDMを送るかかし通販の中でも「おばばさん」は唯一の存在なのだとか。Xへの投稿でも「この人だけです。こんなの!!」とネタにしつつ、「毎月、ご注文ありがとうございます。おじじもありがとう」と、おばばさんの夫であるおじじさんにも感謝の言葉をコメントしています。
ちなみにXにポストすること自体、もちろんご本人(おばばさん)に許可を得て行われています。つまりそれほど、かかし通販との仲が深いということ。なんだか素敵な関係ですね。投稿を見ただけで心がほっこりして、羨ましくも感じます。このような関係を築くまでには、いったいどんな過程があったのでしょうか。
―― おばばさんが現在の注文スタイルになったきっかけなどを教えてください。
おばば様は、2013年に初めて「かかし通販」で買い物をしてくれました。そこから2023年3月までの間、1年に1回もしくは2年に1回の頻度でお買い物をしていただいていました。
―― もう10年以上になるんですね!
その後、弊社は2023年3月頃から公式Xアカウントの運用を開始。おばば様は、この頃からのフォロワー様です。フォローしてもらったことで、おばば様というお客様の存在を知りました。3月以降は、おばば様の手元に毎月DMが届くたびに、ほぼ毎月のように注文をくださるように。
4月頃には弊社Xアカウントのフォロワー間では、「おばば様はかかしのVIP」「富山のセレブ」「東京ドーム8個分の田んぼと同じくらいの畑をもつ」など、やり取りの中で有名になっていきました。
―― 富山のセレブ!?
おばば様自身の投稿でも、「思い付きで、今日、軽トラックを買った」とか「かかしが持っている模型の黄色いスーパーカブとおなじの買った(本物のバイク)」といった投稿が皆さんの目にとまり、「すげ~金持ち過ぎる」と話題になったこともあります。
―― たしかに、凄い……。
以前からもFAXでご注文いただいていたそうですが、Xで私とのやり取りが盛んになった2024年4月頃から「おばば」とだけ書いて注文してこられるようになりました。
ただ、初めてこのスタイルで注文された時は、FAXを受信したコールセンター内で「なにコレ?」「だれ?」と騒然となりました。
2回目以降は、「おばば様から注文きました~」とみんなで声を掛け合うまでに。弊社コールセンターのオペレーターは、全員「おばば様」を知っています。会ったことも話したこともありませんが(笑)。
―― 最初に「おばば」とFAXが送られてきた時の心境を教えてください。
コールセンター内が騒然となった後、それが私のところに来たことで「あれ!?フォロワーさんかな?え?そんなことする?ふつう……」と驚きながら、慌ててXのDMで本人確認をしたのを覚えています。
確認の結果はもちろん「私だよ!」という感じです。ご本人は、とても嬉しそうでした。もともと、農家さんですのでJAとの関係は親密なんです。そのJAの通信販売ですから、接し方にもフレンドリーであることを望まれていたのだと思います。
―― ちなみに、おばばさんの他にも変わった注文方法をする方はいますか?
お客様とJAの関係が親密なので、お客様が電話を受けるオペレーターのことを地元のJA職員の女性と思って話されることが多いです。色展開のある商品の注文で「色はあなたが決めて」と言われたり、「かかしさんが言うなら間違いないから、それにします!」と必ず言っていただけたりします。
―― 素敵な関係ですね。
そもそも、弊社の商品は高いんです。多分、ネット通販と比較したら高いものが多いはずです。
それでも「かかしさんで買うのが良い」というお客様だらけでありがたい話です。そのため注文時に多少のわがままを言われても聞きますし、「何年も前に売っていたあの商品ないの?」と聞かれると必死で取り寄せしちゃいます。
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通販というと事務的なやり取りが多い印象ですが、「かかしさんのJA(農協)通販」は温かくて優しい世界であふれていました。「おばば」で通用してしまうのもうなずけます。
<記事化協力>
かかしさんのJA(農協)通販公式X(@ja_kakasi)
(佐藤圭亮)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 佐藤圭亮