連載企画「オンラインゲーム千夜一夜」へようこそ。ついに連載10回目です!

 数回連載記事を書いてそこで終わっちゃうケースとか、筆者は趣味でライトノベルを執筆しているのでありがちですが、飽きてエタる(永遠に完結しない)ものもよく見ております。節目となる10回目の記事を執筆できたことに編集部、読者様双方に感謝しております。

 いつも読んでいただいて本当にありがとうございます!できれば……編集部に「このアホの記事を読ませろ」と応援コメントを言って貰えるとさらに首がつながります(切実)。

■ 最近のトレンドから10回目のテーマを選ぶ……やっぱ「メタバース」かなぁ

 さて……記念する10回目の内容はどうしようかなあ……と思ったのですが、最近のゲーム業界事情というか必ず取り沙汰されているキーワードから内容をチョイスしようと思いまして、いくつかのキーワードを抽出してきました。

 「ブロックチェーン」「NFT」「VR」「メタバース」などなど……エンターテインメント業界では今この辺りのワードが持て囃されておりまして、内々に案件としてお話をいただくこともあり、割とアツいワードだったりもします。さてこの中から筆者が思い入れというか、経験した内容から出せるもの……これはメタバース一択となります。

 メタバースといえば、近ごろ諸外国含めて「メタバースや!メタバースがこれからくるんや!」とばかりに猫も杓子もメタバース。ついでに社名までmetaにしちゃった会社まであるわけですよ。

 ただ「メタバースってなんだよ?」と思われている方もいるかと思いますが、個人的には割と古典的なオンラインゲームの空間は広義の意味ではメタバースだと考えており、「ぶっちゃけMMOってメタバースですよ?」と真顔もしくは白目で返しちゃう自分がいるわけです。

 その辺りにツッコむと「お前はメタバースをわかってない」というメタバース警察に取り締まられてしまうわけですが……。大勢の人間を一つのオンライン上の空間に押し込んだもの、それってオンラインゲームがメタバースである証左でしかないんですけどねえ。

 なぜかこの論理で話したらある方から「違う」って言われたんで、どうやら最近のメタバースは違うものらしいです。よって、どなたか解説いただけると助かります(責任放棄)

 メタバースの定義については諸説ある状態ですが、メタバースという言葉が知られるようになったタイトルは一つしかありません。「Second Life」(以下:セカンドライフ)です。メタバースを語る上で、これほど避けられないタイトルはないと思います。

■ メタバースを語る上では欠かせない「Second Life」

 今回この記事を書くために今のセカンドライフを見に行ったんですけど……筆者は素直に思いました「目の前にいる、お前は一体誰だよ」と。

 画像を見ていただくとわかりますが、セカンドライフとして知られているアレ(超微妙なビジュアル)とは全く違った、実写的で高グラフィックな画像がそこには用意されていました。生まれかわっとる……!

 というか19年間運営が続いているのも今更知りました……おめーすっげーな!(悟○風)

■ セカンドライフは2003年にスタート

 セカンドライフは2003年6月23日より、サンフランシスコに本社を置くリンデンラボ社がサービスを提供しているメタバースとなります。

 仮想世界上で現実とは異なる生活を送れるというのがメタバースの基本的な構想になりまして、1999年に公開された映画マトリックスにおける仮想世界を実現した、と当時では宣伝されていた記憶がありますね。

 個人的にはマトリックスの仮想世界は本質的にディストピアなんじゃないのか?と多少疑問符を感じるわけですけど。そういや主人公のネオが勤めていた会社もメタ・コーテックスって名前だったんですよね。

 いまだにサービスが続いていることと、筆者のゲーム業界歴とほとんど変わらないことに今更ながら驚きました。

 2013年にいわゆる月のアクティブユーザー(MAU)が100万人を超えると発表されていましたが、その後は100万人を切ることがあるとのこと。それでも、10年前で100万人もユーザーいたんだなと、自分の勉強不足に目が落ちる思いになります。

■ 問題視されていた「リアルマネートレード」に風穴

 課金方式はLinden Dollar(リンデンドル・L$)を使用した仮想通貨が利用され、リンデンドルはカード購入などが可能ですが他のプレイヤーから買い取る、リアルマネートレードが公式に認められており、LindeX(リンデックス)という為替市場まで用意されていました。

 さらにペイパルなどを経由して現金化できる……これが割と最近のブロックチェーンやNFT界隈を賑わせている「なんだか儲かるらしいぞ」という認識につながっているんじゃないかな?と個人的には思います。

 余談になりますが……公式にリアルマネートレードを認めているケースはそう多くはありません。オンラインゲームの資産はゲーム会社に帰属するものになっており、プレイヤーはあくまで貸与されている、という状況。

 なので会社の資産となっているものを第三者が勝手に販売することは罷りならんということでリアルマネートレードは規約上NGが出るケースが多いんですね。セカンドライフの場合でも、リアルマネー化(現金化)する場合は必要な手続きがそれなりに用意されています。

 ただオンラインゲームの世界では、リアルマネートレード文化自体わりと歴史があります。筆者も取り上げました「ウルティマオンライン」などでは、住宅の販売は善意の第三者へお金を支払うことで譲渡してもらう、という行為が昔は大っぴらに行われていました。

 というか当時のウルティマオンラインは現在の日本みたいに深刻な土地不足という割と笑えない状況が続いておりまして、現金を支払ってでも家が欲しいというなんだか昨今の住宅事情のような世界でした。

 韓国産オンラインゲームなどではゲーム内のお金を現金販売する業者が多く現れ、現在でもソシャゲにおいて譲渡機能がついているものやアカウントごと販売するサイトなんかもあったりします。

 公式にリアルマネートレードを市場化したゲームなども存在していましたが全体で見ると主流は禁止方向。

 セカンドライフはそこに風穴をブチ開けた割と挑戦的なタイトル。そこから企業参入やメタバース内の建築業者なんかが生まれちゃったりして、割とカオスな宣伝合戦が行われることとなりました。

 ちなみに筆者の知り合いもこの時期セカンドライフ建築会社を立ち上げて見事に連絡取れなくなっちゃった人がいるのですが、大丈夫かな?元気にしてますか?

■ 日本でのピークは2007年~2008年かなぁ TV番組もあったよね

 メタバース内にはアダルト専用のワールドなんかもあったりして、オンラインゲームの見抜き文化はこっちに来たんだなあと思って感慨深かったりもしたんですけど、正直当時の技術力で作られたアバターが怪しい動きをしているのを見て、うーん……ってなったりした諸兄も多いのではないでしょうか?

 本作の日本におけるブーム自体は一年程度2007年~2008年くらいがピーク。そういや過去にどっかで番組やってたよなぁ、と思いだしプレスリリースをさがしてみたところ日本テレビが2007年に出した「デジタルの根性」という番組の、「世界初!3D仮想空間『セカンドライフ』内で番組を収録」というものを見つけることができました。出演者は千原ジュニアさん、矢部太郎さんなど。めっちゃなつかしい!

 と、ここまで大きくもりあがりましたが……大手広告代理店様が2009年には撤退したことを見ると一過性のブームで終わっちゃった印象が強いです。もう少し長くブームが続けば他のメタバースなども登場してきたんじゃないかなーとか思いますし、なんだか勿体無いなあと当時は思ったりもしておりました。

 ……そこから約10年以上の時を経てメタバースが再度燃えあがろうとしています。

 そしてちょっと前にとあるCEOが発表したメタバースサービスのスクショが大炎上したんですけど、割とあのスクショを見て「セカンドライフやん」と思った人も多いかもしれないですね。

 でもご安心ください、本場のセカンドライフは実に凄まじい進化を遂げて当時とは全く別物のグラフィックスを提供しており、正直ぶったまげること間違いなしです。

 今後様々な企業がメタバースサービスを展開していくとは思いますが……長年エンタメ業界を見てきた筆者としては「今度のブームは本当に成功するのか?」と思いつつ、注視していますね。

 読者の皆様もメタバースに対する思いや考えなどSNSなどで教えていただけますと幸いです。

<参考・引用>
セカンドライフ公式サイト
※画像は全て公式サイトのメディアキットを利用しております。

【上村健太郎:筆者プロフィール】
神奈川出身、東京在住。オンラインゲーム業界において長らくプロモーションやプロデュースなどを担当し、数多くのタイトルを立ち上げ、そして終了させてきた苦い経験の持ち主。
私生活では妻と二匹のビーグル犬よりも地位の低い生活を満喫中。

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 【オンラインゲーム千夜一夜】 第十回 メタバース? それならこれを語るしかないでしょう?