NHK Eテレにて放送中の乳幼児向け教養番組「いないいないばあっ!」。番組の中でワンワンやおねえさんと共に欠かせない存在と言えば、黄色い体に、頭のマラカスがトレードマークのキャラクター「うーたん」です。

 2003年4月から番組に登場し、その明るくも時々やんちゃな一面を持つ性格で、多くの子どもやママパパの心を鷲掴みにしてきたうーたんが、登場20年の節目を迎えるはずだった今年、突如として番組の卒業を発表。この一報を受け、ネットには驚きの声や別れを悲しむ声が相次いで寄せられています。

■ うーたんは育児の戦友

 小学生2児の父である筆者にとっても、うーたんはいわば子どもの乳幼児期の育児を共に過ごしてきた、戦友的な存在。今では番組はめっきり見なくなってしまいましたが、卒業の知らせを聞いた時は、「辞める時がくるんだ……」と、やはりショックを受けました。

 うーたんの前任には「くぅ」や「ダーダ」、「ペンタ」といったキャラクターがいましたが、その任期はいずれも1年から6年ほど。以来20年という長期にわたる起用はもはやワンワンと同じく、半永久的に続くものと勝手に思い込んでおり、そこにいて当たり前の存在でしたから、なんだか心にぽっかり穴が開いてしまうような、そんな感覚でした。

■ うーたん卒業には子どももびっくり

 筆者の娘たちもうーたんのことは大好きで、よくぬいぐるみやおもちゃを購入していたもの。そのかわいらしいビジュアルに加え、番組内における立ち位置が、ワンワンやおねえさんたちと比較して乳幼児に近く、子どもにとって自己を投影しやすいキャラクターだったことも、人気の理由のひとつでしょう。

 また、大人たちにとっては操りパペットという特性が成せる、瞬間移動も見どころのひとつでした。画面手前から奥の台の上に、端から端に一瞬で移動する様子は、仕組みが分かっているからこそ思わずクスッとしてしまうシーン。「うーたん、速いね!」と子どもと一緒に笑いながら見ていたものです。

 学校から帰宅した娘たちにうーたん卒業のニュースを知らせると、「え?本当に?」と、やはり驚きを隠せない様子。が、次の瞬間には、「その後は誰になるの?」と早くも後任が気になっているようでしたけどね。

 しかしながら、「またうーたんが見たくなった」と、過去に録画した番組を見始めたり、明日以降の放送回の録画を頼まれるなど、子どもたちなりに思い入れがあった模様。別れを惜しむ、という考えが子どもたちにも芽生えているとは……あれからずいぶん大きくなったものです。

■ ネットにはうーたんへの感謝の言葉が続々

 うーたん卒業のニュースは、ネットでもすぐに取り上げられ、ツイッターでは瞬く間にトレンド入り。「マジで無理なんだけど……」「さすがにショックがデカい」と、うーたんロスに多くの方が衝撃を受けている一方で、子どもの乳幼児期に思いを馳せ、感謝の気持ちを述べるツイートも多数。うーたんの存在がいかに大きいものであったか、その影響力は計り知れないものがあります。

 現役のママパパから、すでに子育てを終えた父母、そして幼少時に見ていて今は大人になった方も、多くの方の記憶に刻まれているであろううーたんの、最後の登場回は3月31日。ありがとう、うーたん。さようなら、うーたん。長い間共に育児を行ってきた戦友の最後の姿、私もぜひ見てみようと思います。

 ちなみに、全国各地で開かれるステージショー「ワンワンわんだーらんど」への出演は継続し、一緒に番組を担当し、同じタイミングで卒業する「はるちゃん」も共に登場するとのこと。テレビでのレギュラー回では見納めとなりますが、全国の子どもたちに元気を届けるうーたんの役目は、まだまだこれからも続きそうです。

(山口弘剛)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 うーたん、長年ありがとう 子どもたちの人気者であり親たちにとっては「育児の戦友」 どれだけ助けられたか感謝しかない