小さな子どもの迷子や飛び出しなどの事故防止対策に用いられる「子ども用ハーネス」。外出時に子どもと常に近い距離でいられることから、非常に高い有用性が認められながらも、見た目の印象から使用に否定的な声もあり、今日まで様々な議論がなされてきました。

 安全のために使いたいけど、やっぱりまわりの目も気になる。そんな方もこのハーネスなら気にしなくても良くなりそう。ツイッターに投稿された、「工事用ヘルメットをイメージしたリュック付きハーネス」に、大きな反響が寄せられています。これなら安全対策で使用していることが一目でわかりますね!

 今作を発案したのは、漫画家の西野みや子さん。コロナ禍での出産を経験したママで、現在夫と自宅保育中の2歳のお子さんと共に山口県で生活。SNSを中心にエッセイ漫画や育児漫画を執筆しています。

 西野さんが子ども用ハーネスの存在と、寄せられる批判的な意見を知ったのは妊娠中に見ていたツイッターがきっかけでした。どうすれば安全対策で使用している、という目的を伝えられるか……と思案していたところ、デザインを工夫すれば良いのでは?と閃き、早速今回の「工事用ヘルメットをイメージしたリュック付きハーネス」をイラストに描き起こしてツイッターに投稿しました。

 イラストには2万件もの「いいね」に加え、多くの賛同の声が寄せられたことから、実際に作れないかと工事用品を取り扱う企業やハーネスを製造する企業に連絡を取ってみましたが、いずれも良い返事はもらえず。諦めかけていたところ、クラウドファンディングや商品開発事業を展開するCAMPFIREから連絡があり、商品化へ向けて制作が開始されました。

 後日、サンプルとして西野さんの自宅に届いた作品は、まさにイラストがそのまま飛び出してきたかのようでした。背中のリュックは外側が柔らかい生地になっており、子どものおやつやハンカチなども入れられそうです。

 また、ハーネス部分には反射材が取り付けられており、ロープには工事現場でお馴染みの黒と黄色の縞模様があしらわれているなど、西野さんのアイデアが完全再現されています。これなら見た目のかわいらしさはもちろんのこと、実用性も非常に高く、安全目的の使用であることがより明確に伝わりそうです。

 2歳の息子さんも、このハーネスを見て大喜び。使いやすさを調べるために実際に使用して公園にも行ったそうですが、着替えの前から背負おうとしたり、家の中でもずっとつけていたりするくらい気に入っていたとのことです。

 商品は現在も開発中となっており、2022年内(12月頃)を目途に、CAMPFIREでのクラウドファンディングを予定しています。西野さんは「ハーネスとしての役割はもちろんなのですが、子どもの体に触れるところには工夫をいくつかしています。ぜひ今後のSNSでの続報を楽しみにしておいてください」と、商品への自信を語っています。

 優先されるべきは、「子どもの安全」か「見た目」かは、子を持つ親の立場からすれば、本来議論するまでもないところではありますが、こうしたアイデアや努力が広く認められる世の中であって欲しいところです。

<記事化協力>
西野みや子さん(Twitter:@miyakokko61 / Instagram:@miyakokko61

(山口弘剛)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 漫画家考案の子ども用ハーネス 安全対策としての使用がより伝わるデザインに