「たくさんの子どもたちを笑顔にしたい!」やる気に満ち溢れて保育士デビューをするも、あまりの慌ただしさに、どうして良いか途方に暮れた経験のある保育士さんは少なくないはず。
 
 また複数で子どもを保育する「乳児担当」と1人担任制の「幼児担当」では、仕事内容が異なることも。今回は保育士である筆者がみてきた、「幼児担当」の新米保育士あるあるをまとめました。地域や環境によって違いはあると思いますが、ひとつでも共感してもらえるとうれしいです。

■ いきなり20人を見ることも!?

 乳児クラスの場合は、同じクラスに配属された先生に教わりながら保育することができます。

 一方、幼児クラスは基本1人ということもあり得ます。慣れるまで2人体制の保育園もありますが、初日から20人の子を1人で保育しなければならないことも……。当然のこととはいえ、経験の浅い保育士にとってキャパオーバーになることがあるかもしれません。

 ちなみに上記であげた20人に1人という割り当ては、保育士の配置基準によるもの。3歳児は子ども20人に対し保育士1人、4歳児以上に対しては子ども30人に1人、という最低ラインが定められており、20人に1人は少ない……と思うかもしれませんが一応範囲内。自治体によっては3歳児は15人に1人、など独自に定めている場合もあります。

■ 大きな声を出しすぎて喉が枯れる

 クラス担任になると、子どもたちの声に負けないくらいの大きな声を出さなければいけない場面も。

 はじめのうちは喉が枯れることもあるでしょうが、繰り返すうち、大声を出さなくても子どもに声が届くようになっていきます。

■ 子どもから「家庭の事情」を聞いて動揺する

 子どもは何でも話してくれます。どこかに遊びに行ったこと、昨日食べた夕ご飯、パパやママの話など。微笑ましいエピソードである場合がほとんどですが、時には「そんなことを私に……」といったような家族の秘密を知らされることも。

 心では動揺しても、子どもの前では平静さを保ち、もちろん秘密は誰にも言いません。

■ エプロンのポケットがパンパンになる

 ティッシュ、ペン、メモ帳といった日用品をはじめ、子どもからのプレゼント(絵やお手紙など)も、全てエプロンのポケットの中に詰め込んでいくと、気付いた時にはずっしりとした重みが……。

 意識して整理しないと、あっという間にパンパンになってしまいます。

■ 「先生」と呼ばれるのはうれしいけどプライベートでも「先生」と言ってしまう

 たくさん勉強して、研修してやっとなれた保育士。出勤初日に、子どもから「先生」と呼ばれると、気恥ずかしくもあり、うれしくもあり。

 しかし、そんな環境が当たり前になってくると、友人と話していても、つい自分のことを「先生」と呼んでしまうように。保育士が板についてきた証拠でしょうか。

■ 給食は5分で完食できるように

 給食中は、床に落ちた食べ物を片づけたり、おかわりの対応をしたり、苦手な食べ物を食べられるよう促したり。

 ゆっくり食べる時間がないため、自然と早く食べられるようになります。子育て中のママパパと同じですね。

■ 子どもの体力についていけない

 たとえ体力に自信があっても、子どもの底なしの体力には及びません。途中で体力の限界を感じ、遊びを離脱することも。

 また、リレーやドッジボールなどではつい本気をだしてしまい、翌日には筋肉痛に悩まされることもしばしばです。

■ 発表会やお遊戯会は、子どもより緊張

 たくさんの練習を重ねた発表会やお遊戯会。子どもたちの前ではいつもどおりに振る舞いながらも、実は自分が一番緊張しているかもしれません。

 ピアノを弾く手が震えてしまい、練習通りにできないことも。終わった後は、子どもたちと一緒になって、やり遂げた喜びを分かち合います。

■ 卒園式は涙が止まらない

 みんなの成長と、毎日会えなくなる淋しさとで胸がいっぱいに。

 新人で担任することの少ない年長クラスですが、担任ではなくても、卒園式には涙腺が崩壊します。「保育士になって良かったな」と思える1日でもあります。

■ 実践しながら一人前になっていく

 試行錯誤しながら、子どもと一緒に成長していく新米保育士。1年経つごとに、驚くほど成長した自分に出会えるはず。

 とても大変ですが、やりがいのある素敵な仕事です。

(一柳ひとみ)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 大変なこと以上にやりがいもたくさん「新米保育士あるある」【幼児担当編】