ズラッと並べられた美味しそうなオムライス。大人気オムライス専門店の厨房の写真でしょうか。

 実はこれ、横幅が5cmほどしかないミニチュアの食品サンプル。しかし、なぜこんな大量に……。制作した広島県呉市の食品サンプル会社「ハンドワークス レナイン」代表の若松信也さんにうかがいました。

 若松さんによると、これは広島県呉市にあるクレイトンベイホテルとのコラボ商品で、2021年から販売しているそうです。

 クレイトンベイホテルには旧日本海軍の様々な艦艇の料理レシピがあり、このオムライスは戦艦大和で、当時高官のみが食べていたとされるものなのだとか。若松さん曰く「再現料理をミニチュア化した、日本初の海軍料理のミニチュア」とのこと。

 ツイートの写真では約50個のミニチュアのオムライスが並べられており、これまでに150個ほど作ったと言います。

■ 試食から始まった食品サンプル作り

 ミニチュアオムライスの食品サンプル作りは「80年ほど前の味を体験するところから始まりました」と若松さん。打ち合わせの時に、ホテルのオムライスを試食させてもらったそうです。

 しかし、今回は通常の1/1サイズの食品サンプルではなくミニチュア。実際のサイズからスケールダウンをしつつも映えるようにデフォルメし、なおかつ違和感が無いような形にするまでに何度も試行錯誤を重ねたとのこと。お皿も存在しないサイズだったため、1から作らなければならず、とても苦労したと言います。

 ちなみに業務用の食品サンプルは、工業製品というイメージが強い場合が多く、シルエットや出来映えを同じにするのが基本なのだとか。でも今回は「実際に料理をしたような表現にしていこう」と打ち合わせをしたため、トマトソースはひとつひとつ全て手作業でかけているそうです。

 その結果、固体の表情がそれぞれ出ており、「世界にひとつだけのオムライスになっているところが商品としてこだわった点です」と話していました。たしかに、よく見てみるとグリーンピースの位置も、それぞれ違ったりしています。

 他にも「リアル志向だけど可愛らしさもある」見た目にもこだわったとのこと。ボリューミーで卵のフワッとした感じと、トマトソースと一緒に食べたときの美味しさを見て感じてもらえるようなオムライスを目指し、色味は実物に近いと黒ずんで見えてしまうため、少し鮮やかに綺麗な色合いにしたと言います。

 クレイトンベイホテルとしても料理のミニチュアをグッズとして販売することは初めて。そのため「どうなることかとドキドキされたのでは?」と若松さん。しかし、発売以来、想定よりも早い段階で在庫が無くなってしまったため、とても喜んでくれたそうです。

 今回のツイートの写真は、新たに再生産したオムライスの食品サンプルを、クレイトンベイホテルに納品する前に撮ったもの。今後はオムライスだけでなく、様々な海軍料理の食品サンプルが並べられている写真も見てみたいですね。

<記事化協力>
食品サンプルのレナインさん(@hw_renine)

(佐藤圭亮)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 海軍料理をミニチュア化 戦艦大和のオムライスを食品サンプルで再現 制作現場は「忙しい厨房」状態?