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保育園には様々な保育士がいます。園長先生、担任の先生の他、延長保育のみの先生や休憩対応の先生など。
今回はその中から障がいのある子を担当する「加配の先生」についてお話します。加配保育士ってなんだろう?どんな子に加配保育士が付いているの?子どもへのメリットは?そんな悩める方に、保育士目線・ママ目線から解説していきます。
加配保育士とは、障がいのある子の受け入れが可能な認可保育所・認定こども園などで、特別な支援が必要な子のサポートをするために追加で配属される保育士です。
子どもの特性に寄り添った保育で、園での集団生活をスムーズに行うことができるように手助けをします。
加配保育士の配置基準は自治体によって様々ですが、1~3人の子どもを1人で担当します。障がいの程度によってはマンツーマンな場合もありますし、その年に障がいのある子が園に1人しかいなければ、1対1で保育してもらえることもあります。
子どもの発育が気になったら、まずは自治体の保育課などへ相談しましょう。それぞれの自治体で「療育手帳を持っていること」「医師の診断書があること」「集団生活ができるかどうか」などの基準があります。基準は自治体によってかなり違いがあるようなので、まずは聞いてみることが大切です。
すでに保育園に通っている場合は、担任の先生に聞いてみても良いでしょう。保育園から提案されることもありますが、保護者から聞いてもらえるとスムーズです。
診断も出ていない状態で、園から「障がいがあるかも知れない」と保護者に伝えるのは簡単なことではありません。ママが心配性なだけだったといったケースも多いので、心配ごとを減らすためにも気兼ねなく聞いてみましょう。
加配保育士が付くと、子どもの特性に合った手厚いサポートが可能になります。
障がいのある子にはそれぞれに特性があり、好きなものやこだわりも様々です。子どもがストレスなく生活できるよう、その子に合った保育をすることができます。
例えば、言葉では理解できなくても絵や図、文字なら理解できる子。その子には、言葉で絵や文字を用意して、先生が言ったことを理解できるように促します。イレギュラーなイベントや、生活の順番の変更でパニックになる子がいます。その場合は何日も前からタイミングをみて伝え続け、順応できるようにします。
この積み重ねで子どもの心が安定し、楽しい園生活を送ることができます。たくさんの園児を保育する担任の先生だけでは できないきめ細やかな保育を受けることができます。
基本的には他の子たちと同じ行動を促しますが、どうしても無理なこともあります。
中断することを極端に嫌う特性の子には、お片付けの時間がきても、遊びの区切りがつくまでやらせてあげたり、気分転換が必要な時には一緒にお散歩したりと、やりたいことを全て我慢させるのではなく、許容しながら保育をすることができます。
障がいがある子の中には、お友達のおもちゃを横取りしたり、作ったものを壊したり、危害を加えてしまう子もいます。そんな時には加配保育士が間に入って仲良く遊べるように促します。
何度も繰り返し伝えることで、子どもたちだけで仲良く遊べるようになることもあります。加配保育士がいることで、他のお友達との交流がスムーズになります。
手厚いサポートは子どもへだけではありません。障がいのある子の保護者の悩みの中には、第三者には理解してもらえないこともあります。その子ならではの悩みを共有したり、できたことを喜びあったり……。保護者の悩みに共感し、一緒に子どもの成長を喜ぶことができます。
実際に、加配保育士と障がいのある子のママは周りの保育士が入れないほどの強い絆で結ばれていることが多いと感じます。保護者にとっても、唯一無二の存在になるはずです。
また、保護者の希望を柔軟に聞くことができるのも、加配保育士がつくメリットと言えます。
集団生活を重視したい、反対にのびのび育てたいなどの要望から、この時間には必ずトイレに誘導してほしい、パズルが得意だから伸ばしたいなど園生活でのあらゆる希望を伝えることができます。加配保育士と保護者とで相談し、その子のベストを探りながらよりよい方法を見つけていきます。
自分の子が障がいがあると、他の子どもたちに迷惑がかかるのではないかと心配するママもいます。また、他のママから心無い言葉を掛けられることもあるかもしれません。でも、加配保育士がいるクラスには、メリットがたくさんあります。
加配保育士といっても、障がいのある子だけの保育をするわけではありません。他の子たちへの保育もできる限り手助けし、担当する子が自然と馴染めるようつとめます。子どもたちにとっても、保育士の区別はないので、担任の先生がふたりいる感覚になります。
また、子どもたちは障がいがある子、ない子の区別はなく、驚くほどすんなりと受け入れます。「なんかちょっと違う遊びさせてもらってるな」「お話苦手なのかな」程度の感覚です。特別扱いになるのを懸念される人も多いですが、園児の間はその考えは無用だと感じています。
加配保育士は、保育の専門知識と、その子独特の特性やこだわりを掛け合わせて、試行錯誤しながらベストを見つけていってくれます。
それだけでなく、保護者の気持ちに寄り添い共感することで、保護者の不安や葛藤を軽減する役割も担っています。障がいのある子どもが楽しく生活でき、保護者も安心して預けることができる。加配保育士はその手助けをするエキスパートです。
【一柳ひとみ:筆者プロフィール】
都心にあるシティホテルで、サービススタッフ、宴会担当や婚礼担当(ウエディングプランナー)として、10年以上勤務。現在は3児の子をもつ母であり保育士。結婚式の仕事やライター業も行っている。