龍谷大学は、上司と部下の関係性や世代間ギャップについてのアンケート調査を実施。部下に対して踏み込みづらさを感じている「片想い上司」と、上司に話しづらさを感じている「仮面部下」の実態が明らかになりました。

 立場や年齢、生まれ育った時代背景などの違いにより、上司の44.8%、部下の51.6%※がギャップを感じているという結果が出た今回のアンケート調査。※「とても感じている」「やや感じている」の合計。

 しかし、変えることが難しいものだけでなく、「思い込みなどにより、コミュニケーションにすれ違いがあるから」など、改善ができそうな理由もありました。

 自由回答では、上司は具体的に「不服の顔を見せるが意見を言わない」など反応のうすさに困惑しつつ、「仕事の範囲に線引きをしている」など部下の割り切る姿勢に「踏み込みづらさ」を感じていることが分かりました。

 一方、部下の意見としては「会話のテンポ」や「話し方の違い」など、上司との「話しづらさ」を感じており、「オンオフの切り替え」や「ワークライフバランスに対する考え方」など、仕事とプライベートの境目が曖昧な上司に違和感を持っているようです。

 それでも「上司・部下を理解したいと感じているか」という質問には上司の75.0%、部下の62.0%が理解したいと前向きな回答をしつつも、部下や上司の考えていることが分からずに困惑しているという人も多数いました。

 昭和の時代から続く「飲み二ケーション」については上司・部下ともに、必要と感じていると回答したのは4割程度。コロナの影響も後押しになったのか、今後も減りそうな兆しをみせています。

 その他にも、部下の51.8%が「書類のコピーや会議の調整などの雑務的な事前準備は部下がするべき」と答えるなど、上司よりも13.2%高く、部下の方が仕事への気配り意識が強いという興味深い結果が出た項目も。

 今回の調査結果を受けて2023年4月開設予定の龍谷大学心理学部の水口政人教授(2023年度就任予定)は、組織の良好な関係構築には良質なコミュニケーションが不可欠とし、「人間に対するスタンス」を考えることが大事であると説明。「『人はこういうものだ』という認識がまず必要」とのこと。

 まず「あきらめる」ことでイライラから解放され、これからの環境に目を向けられると言い、「あきらめ」をバージョンアップさせて、「前向きなあきらめ」にすることが課題解決の第一歩と語っています。

 具体的に今日から出来ることとして、上司には週1回、部下と10分間「『い・ざ・か・や』ミーティング」をし、関係の構築に取り組むことを提案。これは「い:意見しない」「ざ:遮らない」「か:解決しない」「や:8 分以上は部下が話す」の頭文字を取ったもの。

 部下の話を遮って自分の意見を言ったり、問題を解決しようとしたりせず、部下のことを受け入れる姿勢が大事とのこと。このミーティングをすれば「3か月で劇的に変わる」と言います。

 部下の今日から出来ることについては、「飴と無視」という方法を提案。これは最初に「上司のどの言動や態度を増やしたいか」を具体的にリストアップ。

 その後、上司から自分にとって嬉しかったり、好意的なアクションがあったりした時には、笑顔や感謝などの反応(飴)をし、増やしたくない言動にはスルー(無視)するというもの。これは行動心理学的にも効果があるとのことです。

 「心理学は、これからの時代を生きる必須スキル」と水口教授。心理学的なアプローチを実際に行うことで、「上司と部下の関係性が良くなっていくことを期待しています」と語っていました。

※訂正:初出時「龍谷大学心理学部の水口政人教授」と記載しておりましたが、正しくは「2023年4月開設予定の龍谷大学心理学部の水口政人教授(2023年度就任予定)」でした。訂正してお詫びいたします。

情報提供:学校法人龍谷大学

(佐藤圭亮)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 龍谷大学が上司と部下に1000人アンケート 世代間ギャップを埋める方法は「いざかや」と「飴と無視」?