なぜ猫は「ねこ」と呼ばれるのか。漢字の字音だったり、鳴き声だったり、動物にとってその由来はさまざまで、かつそれぞれに諸説あるわけですが、猫は恐らく「にゃーと鳴く子」という鳴き声から来た名前だという説が一番有力だと、個人的には考えております。牛を「べこ」というのは「ベーとなく子」だからロジックと同じですね。
そこから一歩想像を膨らませると、犬はなぜワンコではないのか、という疑問が浮かびます。調べてみると犬の鳴き声を「わんわん」と表記した最古の例は、室町末~近世初期の『虎明本狂言・犬山伏』に見える「いぬわんわんといふてかみつかふとする」という一文だそうです。古くから人間に親しい生き物だったわけですが、知らん人を怖がるのは、今も昔も変わらないのでしょうか。
ということは、多くの人にとって、犬を目前にしたときに耳にする鳴き声とは「ヴー」「ウー」「ヌー」といったうなり声になるはずでして、「ぬー」って鳴くやつが名前となり、いぬと転じた、なんて可能性もあるのではないでしょうか。
それは別に調べてみようと思いますが、猫に話を戻しますと、猫の鳴き声が「にゃー」だと認知された裏側には、人間を怖がらない猫が他の動物に比べて多かったのかもしれません。シャーとかフーとか言われることも少なくなかったとは思いますが、初対面の猫でも「にゃー」と鳴きながら人に寄ってくるのは珍しい話ではありませんし、そのおかげで多くの人にとって「ニャーと鳴く子」と認知せられた、といってもあながち間違いではないんではないかと思います。
本日の美人猫の、顔の迫り方をしげしげと見ておりましたら、そんな妄想が頭に浮かんだという次第です。
[Photo by Roberto Reposo on Unsplash]

情報提供元: 猫ジャーナル
記事名:「 本日の美人猫vol.354