猫の咳、それは喘息?猫風邪?考えられる原因と受診の目安
猫の咳
猫が「ケホッ」と咳のような動作をすると、飼い主さんは「吐きたいのかな?」「毛玉かな?」と思うことが多いかもしれません。もちろん実際に吐き気や毛玉が関係している場合もありますが、呼吸器の病気が背景にあることも少なくありません。
しかも猫は犬に比べて咳を目立って出しにくい動物で、症状に気づいた時にはすでに病気が進んでいることもあります。
そのため、猫の咳は「たかが咳」と考えず、原因を大きく分けて考えることが大切です。今回は特に代表的な原因として、感染症由来の咳と、気管支の病気による咳についてみていきましょう。
猫の咳① 感染症由来
猫の咳の原因としてまず考えたいのが、呼吸器感染症です。いわゆる「猫風邪」と呼ばれる病気の中には、くしゃみ、鼻水、涙、目やになどを起こすものが多く含まれます。その代表的な原因のひとつが、猫ヘルペスウイルス感染です。
猫のヘルペスウイルス感染についての概要
猫ヘルペスウイルスは、主に鼻や喉、目などの上部気道に炎症を起こすウイルスです。感染すると、くしゃみ、鼻汁、結膜炎、目やに、発熱、食欲低下など、いわゆる猫風邪らしい症状が現れます。
特に子猫や高齢猫、体調を崩している猫では重症化しやすく、一度感染すると体内に潜伏し、ストレスや体調不良をきっかけに再び症状が出ることもあります。
ここで大事なのは、初期には「咳」そのものがはっきりしないことがある点です。鼻づまりや喉の違和感が先に目立つため、飼い主さんが咳と認識しにくいこともあります。
二次感染と下部気道への炎症波及について
猫ヘルペスウイルス感染で注意したいのは、ウイルス感染だけで終わらず、細菌などの二次感染が重なることです。もともと炎症で傷んだ粘膜に別の病原体が加わると、分泌物が増え、症状が長引いたり悪化したりします。
さらに炎症が強くなると、鼻や喉だけでなく、より奥の気道にまで影響が及ぶことがあります。そうなると、くしゃみや鼻水だけでなく、咳、呼吸がゼーゼーする、呼吸数が増える、元気や食欲が落ちるといった症状が見られることもあります。
特に子猫では、鼻づまりだけでも呼吸や哺乳に影響しやすいため、見た目以上に注意が必要です。
病院受診のタイミング
くしゃみや鼻水だけなら少し様子を見たくなるかもしれませんが、咳が出ている、食欲が落ちている、目やにや鼻汁がひどい、呼吸が速いといった場合は早めの受診が安心です。
口を開けて呼吸している、苦しそうに首を伸ばしている、ぐったりしている場合は緊急性が高いサインです。猫は呼吸器の異常を隠しやすいため、「まだ歩けるから大丈夫」とは限りません。
また、新しく子猫を迎え入れた場合など、複数頭飼育下で感染が蔓延するケースは多くあります。先住猫のワクチン接種など、環境変化への対応をかかりつけの動物病院でご相談いただければと思います。
猫の咳② 猫の気管支疾患
感染症とは別に、猫の咳で重要なのが気管支の病気です。その代表が、いわゆる猫喘息です。
いわゆる猫の喘息について概要説明
猫喘息は、下部気道である気管支に慢性的な炎症が起こる病気です。炎症によって気道の壁が厚くなり、粘液が増え、さらに気管支が収縮することで空気の通り道が狭くなります。
その結果、乾いた咳、ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音、呼吸数の増加、呼吸のしづらさが起こります。症状は軽いものから重いものまでさまざまで、普段は落ち着いていても、季節の変化やほこり、煙などの刺激で急に悪化することもあります。
猫の喘息というと人と同じような病気をイメージしやすいですが、猫では「咳が続く病気」というだけでなく、「突然苦しそうに呼吸する病気」として現れることもあります。
咳症状が出ない喘息症例がいることについて
実は猫喘息では、必ずしも咳が目立つとは限りません。咳よりも、呼吸が速い、お腹を大きく動かして呼吸する、ゼーゼー音がする、少し動くとすぐ息が荒くなる、といった変化が先に気づかれることもあります。
飼い主さんから見ると「たまに変な呼吸をする」「毛玉を吐きたそうに見える」と感じられる程度の場合もあり、典型的な咳として認識されないことも少なくありません。
つまり、咳がはっきりしないからといって、喘息を否定はできないのです。呼吸の様子そのものを観察することがとても大切です。
病院受診のタイミング
数日続く咳や、繰り返す咳がある場合は、一度呼吸器の評価を受けることをおすすめします。特に、夜間や興奮時に悪化する、ゼーゼー音がする、以前より呼吸が速い場合は注意が必要です。
さらに、口を開けて呼吸する、横になれない、呼吸のたびにお腹が大きく動く、苦しそうでじっとしている場合は、早急な受診が必要です。猫の呼吸困難は短時間で悪化することがあるため、早めの判断が重要です。
️まとめ
猫は犬に比べて、咳という症状そのものが目立ちにくい動物です。そのため、たまに見せる咳やえずきのようなしぐさを見逃さないことがとても大切です。
また、咳の背景が猫ヘルペスウイルスなどの感染症なのか、猫喘息のような気管支の炎症性疾患なのかで、治療の方向性は大きく異なります。感染症では原因病原体や二次感染への対応が重要になり、喘息では気道の炎症や収縮を抑える治療が中心になります。
「少し変だけど元気そうだから」と様子見を続けるのではなく、咳や呼吸の異常に気づいた時点で適切に受診することが、愛猫を守るための大切な初動です。
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