平時に用意しておきたいもの

災害は予期せぬときに起こります。

猫用の避難用品は、ふだんから常備しておきたいものです。

その場合、避難所にもっていく物と、自宅で避難する場合の2種類用意しておくといいと思います。

自宅用

災害時にはどうしても、人の救助や避難が優先されます。

猫を自宅に残したまま、人は避難所へ避難するといったこともありうるわけです。

猫の場合は犬とは違って、そのほうが猫にとってもいい場合もあります。

避難所ではキャリーケースのなかで、しばらく生活しなくてはならないことも多く、猫は犬よりストレスが多いのではないかと思われます。

そこで、自宅で2週間くらいすごせるくらいの物を用意しておきましょう。

  • フード(ドライフード)、水
  • 食器を数個(数カ所にフードや水をいれて置いておくために)
  • トイレ、トイレ砂など

 トイレは災害時用に予備を準備しておくといいです。

避難所用

避難所へはたくさんの物は持っていけないので、最低限のものを用意しておきます。

  • フード、水
  • 食器
  • キャリーバッグ
  • ペットシーツ、オムツ
  • 排泄物処理用品(トイレットペーパー、タオル、ビニール袋)

災害時を想定して、猫を慣らしておこう

非常時には人だけでなく、猫もパニックになっていることがあります。

日頃からたまには、キャリーバッグやケージに入れて、狭い空間でも過ごせるように慣らしておくことが、いざという時には役立ちます。

キャリーバッグに慣らしておく

猫をキャリーバッグに入れるのは、動物病院に連れて行くときだけ、という方が多いのではないでしょうか?

飼い主さんとお話していると、「病院に早く連れていきたかったけど、最近キャリーバッグを見せると逃げるようになってしまって…」とおっしゃられる方がいます。

「キャリーバッグ=怖いところに連れていかれる」、というイメージを猫に植えつけてしまうと、いざという時に苦労しかねません。

そうならないためには、日頃からキャリーバッグの中でおやつを与えるなど、キャリーバッグに警戒心を抱かせないように慣らしておくことも大事だとおもいます。

また、猫を多頭飼育している方で、キャリーバッグを一つしか持っていない方がおられます。

動物病院に連れて行くためだから一つでいいとおっしゃられますが、避難所ではキャリーバッグが猫の居場所になるので、「頭数分は必要」になってきます。

ドライフードに慣らしておく

ここ数年、猫に手作り食を与えている飼い主さんが増えてきています。

猫の健康のためだったり、中には猫に食物アレルギーがあって、やむを得ず手作り食にしているといった方もおられるでしょう。

ただし、避難所には手作り食は置いてありません。

自宅に猫を置いて行く場合にも、手作り食をたくさん置いておくわけにはいきません。

腐ってしまうからです。

その場合に、ドライフードはとても便利です。

保存性に優れているドライフードは、災害時の強い味方となります。

フードでも缶詰などのウエットフードは、冷蔵庫がつかえないと残りを保存できません。

避難所に持っていって一回で使い切ったとしても、缶詰を使った食器は洗う必要があります。

ドライフードであれば、食器を洗う手間が省けます。

猫は犬よりも食性にうるさい生き物です。

普段まったく食べたことのないものは頑としてうけつけない、といったところがあります。

そのため、日頃からドライフードに慣れさせておくことは、災害などの非常時にはとても大切なことだと考えます。

普段の手作り食やウエットフードに少量混ぜるなどして、いざというときはドライフードも食べられるようにしておきたいものです。

これだけはやっておこう

災害が起こる前に猫に施しておきたいこと、今のうちに確認しておいたほうがいいことをお伝えします。

ノミ予防をしておこう

ネコノミは人にも犬にも移ります。

特にノミアレルギーの人や動物は、はげしいかゆみを伴います。

避難所でノミを広げないためにも、日頃から猫にはノミ駆除剤を投与して、ノミ予防をしておいてください。

マイクロチップの装着と飼い主情報の確認をしておこう

令和4年6月1日から、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬や猫には、マイクロチップの装着が義務化されました。

ただし、猫の場合は保護された猫を飼育している方や、知人から譲渡された猫を飼っている方も多いため、マイクロチップの装着率は犬ほど高くないようです。

マイクロチップを装着することで、飼い主と離れてしまった猫が保護された場合に、いち早く飼い主さんのところに猫の安否が届くようになります。

猫に首輪をつけてそこに名札をつけている飼い主さんもおられますが、名札が取れてしまったり、字が読めなくなったりしているケースもあります。

マイクロチップがはずれてしまうことはないので、飼い主情報の確保としてはより確実な方法だと思います。

ショップなどで購入し、マイクロチップを挿入していても、飼い主情報をまだ登録していない方がいらっしゃいます。

マイクロチップが入っていても、登録されていないと緊急時には役にはたちません。

今一度、マイクロチップにご自身の情報が登録されているか確認しておいてください。

引っ越したあとに変更登録をされていない方もおられるようです。

マイクロチップは副作用のほとんどない安全なものと考えられています。

災害時のことを考えると、まだ装着していない猫には入れておいたほうが安心といえます

まとめ

災害対策として用意しておくといい物、慣らしておいたほうがいいこと、をお伝えしました。

物はすぐ準備できますが、慣らすほうは日頃から少しづつやっておく必要があります。

猫は犬とはちがって、なかなかしつけができない動物です。

それでも、食べ物やキャリーバッグなど、少しづつ慣らしていくことは可能かと思います。

災害時における、他者とのトラブルの一つに、ペットの排泄物のニオイというものがあります。

その対策の一つとして、猫にオムツを履かせるということがあります。

ただ、これも簡単なようでいて、いざ猫にオムツを履かせようとすると、案外手こずるものです。

平時に飼い主さんがいろいろ練習しておくといいと思います。


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情報提供元: ねこちゃんホンポ
記事名:「 【獣医師が解説】災害時における猫の避難対策