致死率が高い『猫の感染症』5選 危険すぎる病気、防ぐための予防法も
1.猫伝染性腹膜炎(FIP)
少し前までは不治の病と言われていた猫伝染性腹膜炎。最近では効果が期待できる治療法も見つかり、治る可能性のある病気になりつつあります。とはいえ、治療費は高額ですし、未治療の場合の致死率はほぼ100%です。
猫伝染性腹膜炎は変異し、強毒化することで発症します。ウエットタイプとドライタイプの2種類があり、おもな症状は以下となります。
- 元気消失
- 食欲低下
- 体重減少
- 発熱
さらにウエットタイプでは、胸膜炎・筋膜炎・血管炎が見られ、腹水や胸水などが見られるのが特徴です。ドライタイプでは、肝臓や腎臓など、さまざまな臓器に肉芽種を作ります。
猫伝染性腹膜炎が発症する明確な原因はわかっていませんが、ストレスがかかわっていると考えられています。そのため、適切な飼育環境でなるべくストレスをあたえないようにすることが予防につながります。
2.猫白血病ウイルス感染症(猫白血病)
猫白血病ウイルス感染症(以下猫白血病)に感染した猫の50〜70%は2〜5年以内に死亡すると言われています。とくに子猫は発症しやすく注意が必要です。
猫白血病のおもな感染経路は、唾液・尿・涙・母乳・血液のほか、胎盤を通しての垂直感染もあります。また同じ食器の共有、体を舐めあうなども感染の原因になります。
猫白血病には特有の症状はありませんが、免疫力が低下するため、ほかのさまざまな病気にかかりやすく、治りにくい状態になります。
母猫からの垂直感染を予防することはできませんが、生後は4種以上の混合ワクチンで予防ができます。
また猫同士での感染を防ぐためにも室内飼育を徹底し、白血病の猫がいる場合は生活空間を完全に分け、食器やベッドなどの共用を避けましょう。
3.猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
猫免疫不全ウイルス感染症(以下猫エイズ)は、潜伏期間を経て発症してしまうと、免疫不全を引き起こし、最終的にはすべての猫が亡くなります。
ただし猫エイズは潜伏期間が長いため、感染しても発症せずに寿命をまっとうする猫も多く、猫エイズに感染していない猫と比べても、平均寿命にはほとんど差がないとの報告もあります。
猫エイズの感染経路は猫同士のケンカが多く、母猫がエイズに感染している場合は垂直感染のリスクが否定できません。
猫エイズは初期の段階では目立った症状は見られませんが、発症すると本来は問題にならない細菌やウイルスに感染し病気になるリスクが高まります。
いちばんの予防法は、室内飼いの徹底です。猫エイズの予防接種は、すべての猫に推奨されているわけではありません。必要に応じて単体で接種します。
4.猫パルボウイルス感染症(猫汎白血球減少症)
猫パルボウイルス感染症は、猫パルボウイルスの感染によって引き起こされる、命にかかわる感染症です。とくに幼い子猫の致死率は「75〜90%」とされており、とくに注意が必要です。
パルボウイルスは環境中での耐性が高く、体外に排出されたあとも数ヵ月〜数年にわたって生存し、高い感染力を維持します。
感染力は、感染した猫がいる部屋で使用していた物に触れたり、感染した猫に触れた手でほかの猫に触ったりするだけでも感染することがあるほどです。
猫パルボウイルス感染症のおもな症状は、高熱や元気がない、食欲不振などで、下痢や嘔吐などの消化器症状も多く見られます。
猫パルボウイルス感染症は、定期的に予防接種をおこなうことで予防が可能です。またほかの感染症同様に室内飼育を徹底し、感染の機会を減らすことも重要です。
5.重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
重症熱性血小板減少症候群(以下SFTS)は、SFTSウイルスを保有しているマダニに噛まれることで感染する人畜共通感染症です。
人間における致死率は20%ほどですが、猫はそれよりもずっと高く、致死率60〜70%と言われています。6〜14日ほどの潜伏期間を経て発症します。
猫におけるSFTSのおもな症状は以下です。
- 元気消失
- 食欲消失
- 発熱
- 黄疸
- 嘔吐
- 白血球減少
- 血小板減少
重症化すると多臓器不全をおこして命を落とす場合もあります。現在、積極的な治療法はなく、感染した場合には対症療法をおこないます。
SESTウイルスに感染させないためには、猫の室内飼いとマダニ予防を徹底し、とにかくマダニに噛まれないようにするしかありません。
まとめ
猫の命をおびやかす怖い感染症はたくさんあります。今回はそのような感染症のなかから、よく見られるものを5つ紹介しました。
母親からの感染など防ぎようのないケースもありますが、多くは予防接種を受ける、室内飼いを徹底するなどで予防が可能です。わからないことがあれば、獣医師に相談し適切に予防をおこないましょう。
また感染症では、早期発見・早期治療が重要な病気も多いです。とくに免疫力が低い子猫や老猫は注意が必要です。愛猫の様子に異変を感じたら早めに動物病院を受診しましょう。
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