愛猫の「目が寄り気味」だと気づいたら…気になる3つの理由 治療は必要なの?
1.遺伝
猫が寄り目になる原因の多くは、遺伝的なものだと言われています。
その仕組みとしては、メラニン色素を抑える働きを持つ「サイアミーズ遺伝子」や「ダイリュート遺伝子」が影響しています。メラニン色素は、網膜の細胞から視神経の経路を決定していくのに影響すると考えられています。そのため、猫の発育過程でメラニン色素を抑えるサイアミーズ遺伝子が網膜に働きかけることで、目から入った情報を脳へと伝えるための視覚経路に異常が起きる結果、寄り目になるといわれています。
実際、サイアミーズ遺伝子を持つ「シャム(サイアミーズ)」に代表される「ポインテッド柄の猫種」や、ラグドール、チンチラ、ヒマラヤンというような猫種に先天的な寄り目が見られることがあります。
この場合、早くて生後6週間ごろから内側に目が寄った状態になり、自然に元の状態には戻りません。なお、子猫で外側に目が寄っているケースが多く見られますが、成長とともに通常の位置に戻っていきます。
先天性の寄り目は、室内で日常生活を送るのにさほど問題はなく、治療の必要はありません。
2.ケガ
ケンカや高所からの転落、事故など何らかの要因で頭にケガを負い、眼の筋肉や神経に異常が出ると後天的な寄り目が生じることがあります。
寄り目は主に内側に目が寄る「内斜視」が多いですが、ケガを負って外眼筋という筋肉が断裂すると、外側に目が寄る「外斜視」も見られます。
頭にケガをしてから寄り目になってきたという場合は速やかに病院に連れていきましょう。原因となったケガをきちんと治療して完治させると、寄り目も治る可能性があります。
3.病気
後天的に寄り目になるケースで頭にケガを負っていないようであれば、病気によって眼の周りの筋肉や神経に異常が起こっているかもしれません。
- 脳腫瘍
- くも膜下出血
- 脳動脈瘤
- 水頭症
- 腫瘍による交感神経麻痺
後天的に寄り目になる場合にはこのような病気が隠れている可能性があり、命にかかわることも十分にあり得ますので、すぐ病院で診てもらってください。
病気によって脳に異常が出ている場合、寄り目の他にもけいれんやひきつけ、ふらつきといった症状もみられます。獣医師と相談をしながら、適切な検査や治療を選択しましょう。
飼い主ができる対策
猫の目が寄っている場合、通常よりも視野が狭く奥行きを把握しづらくなります。
生まれつき寄り目の猫はこれらの弱点をカバーしながら普通に生活を送れますが、ある日突然寄り目なった猫はうまく歩けなくなり、ふらついたり物にぶつかったりするかもしれません。
原因にかかわらず、家の中で猫がよく行く場所ではなるべく障害物になりそうなものを置かない、家具の配置換えを極力しないなどの対策を取ってケガのリスクを回避しましょう。
また、ケガや病気により寄り目になった場合は根本的な原因の治療が不可欠です。自己判断で様子見ではなく、獣医師に猫の目の状態や考えられる要因などを伝えて診てもらってください。
まとめ
猫の目が寄る理由には、遺伝、ケガ、病気によるものがあります。
遺伝子の影響で生まれつき目が寄っている猫は日常生活にもさほど問題がなく治療は不要ですが、ケガや病気によって眼の神経や筋肉に異常をきたしている場合は根本原因の治療が必要です。
猫が寄り目になるのは多くが遺伝によるものとは言われていますが、もしかしたら命にかかわる理由が隠れているかもしれません。自己判断は危険ですので、少しでも猫に変化が見られたら念のために病院を受診しましょう。
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