野性味溢れる魅力の「リンクスティップ」

イエネコの中には、オオヤマネコのようにワイルドな風貌が魅力の猫たちがいます。中でもわかりやすいのが、耳の先端に飾り毛を持っている猫たちです。長くてわかりやすい飾り毛やあまり目立たない短い飾り毛の猫もいます。

この飾り毛には、「リンクスティップ(Lynx tips)」という名前があります。リンクスとは、ボブキャットやユーラシアオオヤマネコなど、オオヤマネコの総称で、ティップとは先端という意味です。

リンクスティップは、別名「イアータフト(Ear tufts)」とも呼ばれています。耳の内側に生えている房毛を「イアーファーニシング(Ear furnishings)」といい、よく混同されるので気を付けてください。

イアーファーニシングには、ゴミの侵入防止といった役割があると容易に想像できますが、リンクスティップについては、あまり役に立っていなさそうに見えます。しかし名前がついているということは、なんらかの役割を持っているということです。

今回は、このリンクスティップの役割や、リンクスティップを持っている猫種についてご紹介したいと思います。

猫の「リンクスティップ」の役割

では、猫の耳の「リンクスティップ」には具体的にどのような役割があるのでしょうか。

猫の耳にゴミを寄せ付けない

実は、イアーファーニシングだけではなく、『リンクスティップにも耳の中にゴミを寄せ付けないようにする役割がある』といわれています。

必要な音を耳に収集する

リンクスティップを持つ猫にとって、最も重要な役割が、必要な音を耳に収集して届けるということでしょう。

リンクスティップは、ほんの僅かな風の動きやごくかすかな物音にも敏感に反応するため、獲物を見つけるために大いに役に立っていたと考えられています。

体を大きく見せる

もう一つの役割として、相手に自分の体を大きく見せる効果があるとも考えられています。

猫には、不要な争いを極力避けようとする習性があり、相手を威嚇する際に、被毛を膨らませたり尾を弓なりに上げたりして、体を大きく見せようとします。リンクスティップも、体を大きく見せることに一役買っているだろうと考えられています。

「リンクスティップ」を持つ猫種

では、「リンクスティップ」を持つ猫種にはどのような猫種が該当するのでしょうか。

メインクーン

リンクスティップを持っている猫種の代表格が、「メインクーン」です。

長毛種の大型猫種で、頭の高いところに大きな耳がついており、その先端にはリンクスティップが見られます。

メインクーンならすべての猫にあるというわけではありませんが、多くの猫に立派なリンクスティップが生えているのが、メインクーンの特徴のひとつです。

体が大きくて番犬のようなイメージの風貌をしていますが、とてもやさしい性格で、健康で飼いやすい面もあり、日本でもとても人気のある猫種です。

アメリカンカール

外側に反り返っている耳の形が特徴の「アメリカンカール」ですが、よく見ると耳の先端にリンクスティップのある猫が散見されます。これは、もともと繁殖に使われていた猫にリンクスティップがあったからだといわれています。

長毛種と短毛種の両方いますが、アンダーコートが少なくもつれづらい毛質なので、長毛種でもお手入れが楽です。頭が良く明るい性格なので、大抵のご家庭によく順応してくれるでしょう。

ノルウェージャン・フォレスト・キャット

「ノルウェージャン・フォレスト・キャット」は、長毛でエレガントながらも、たくましい体型の大型猫種です。リンクスティップが生えている猫も散見され、また豊富なイアーファーニシングも目立ちます。

この猫種は好奇心が強く人が大好きですが、しつこくじゃれついてくることはありません。飼い主さんに愛情を注いでくれますが、木登りが得意であるなど、都会よりも自然が残る環境の方が適しているかもしれません。

ピクシーボブ

「ピクシーボブ」は短尾が特徴の大型猫種で、かつリンクスティップを持っている猫種です。

基本は短毛種ですが、長毛種もいます。ボブキャットと多指のイエネコとの混血という説もありましたが、DNA鑑定で野生の血は入っていないことがわかりました。

とても頭が良く、社会性も高く他の動物や子どもとも仲良くできます。一方、嫉妬をしたり、誰よりも自分を愛してもらいたがる傾向も持っています。

サイベリアン

「サイベリアン」は長毛種の大型猫種で、リンクスティップを持つ猫種です。成長が遅く、成熟に5年もかかるといわれています。

一方で健康で頭がよく、社交的な性格の猫です。ロシアは猫のサーカスが有名ですが、そこで活躍している猫種にはサイベリアンが多いといわれています。

アメリカンボブテイル

短尾が特徴の大型猫種の「アメリカンボブテイル」にも、リンクスティップがあります。これは、近親交配を防ぐために、メインクーンとの交配が正式に認められているからでしょう。

また、ヒマラヤンとの交配もあり、短毛種と長毛種の双方が存在します。穏やかな性格で頭もよく、環境の変化にもよく順応できる猫種です。

まとめ

今回は、猫の「リンクスティップ」について解説しました。

今回ご紹介した猫種であれば、すべての猫にリンクスティップが見られるというわけではありません。また長毛種の大型猫種はリンクスティップがわかりやすいですが、短毛種の場合はよく観察しないとわかりづらいかもしれません。

今や自力で狩りをしなくても生きていけるイエネコにとって、あまりリンクスティップは実用的ではなくなってしまったかもしれません。

しかし、リンクスティップが生み出すヤマネコ風のワイルドさに魅了される飼い主さんは、少なくないでしょう。


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情報提供元: ねこちゃんホンポ
記事名:「 ヤマネコ風のワイルドさが魅力!猫の『リンクスティップ』役割やよく見られる猫種をご紹介