猫に『生(なま)で与えてはいけない食べ物』4選 加熱すればあげても大丈夫?
1.生魚
猫といえばお魚のイメージがあると思いますが、生の魚は与えないようにしましょう。生の魚には寄生虫感染のリスクがあります。
とくにサンマ、アジ、イワシなどの青魚に寄生している「アニサキス」は危険です。これは人間も同じですが、アニサキスが寄生している魚を猫が食べてしまった場合、きわめて激しい腹痛に襲われる可能性があります。
ほかにも以下のような症状が見られるかもしれません。
- 食欲不振
- 元気消失
- 嘔吐
- 下痢
アニサキスは、60度で1分以上の加熱で死滅します。また70度以上で予防できるといわれています。猫に魚を与える際には、しっかりと加熱したものを与えるようにしましょう。
ただし、魚の種類に注意すれば、お刺し身であれば猫に与えることができます。とはいえ、絶対に安全とは言えません。たまの楽しみ程度に少量を与えるだけにするのが良いでしょう。
2.生のエビ・カニなどの甲殻類、イカ、タコ
生のエビやカニなどの甲殻類やイカ、タコには「チアミナーゼ」という、ビタミンB1を分解する酵素が含まれているため、猫に与えてはいけません。
猫がチアミナーゼを摂取すると「ビタミンB1欠乏症」を引き起こす可能性があります。ビタミンB1欠乏症は重症になると命にかかわる場合もあるため注意が必要です。
猫がビタミンB1欠乏症になると以下の症状が見られます。
- 食欲低下
- 歩行障害
- ふらつき
- 麻痺
ただし、チアミナーゼは加熱すると分解され活性を失いますので、十分に加熱したものであれば猫にも与えことができます。
とはいえ甲殻類やイコ・タコは消化不良の原因にもなりやすいので、与えないほうが安心でしょう。
3.生の貝類
生の貝類も、甲殻類やイカ、タコと同様にチアミナーゼが含まれているため、ビタミンB1欠乏症を引き起こす可能性があります。
またアワビやサザエなどには、光線過敏症の原因となる「ピロフェオホルバイドα」という物質が含まれています。
ピロフェオホルバイドαは加熱しても毒性はなくなりません。光線過敏症では、紫外線が当たった場所に以下のような症状があらわれます。
- 発疹
- 炎症
- 強いかゆみ
- 壊死
耳の血管内にピロフェオホルバイドαが辿り着くと、紫外線と反応して炎症を起こし、耳が取れてしまうことがあります。猫が「アワビを食べると耳が落ちる」といわれる所以でもあります。
貝類も加熱することで食べられるものありますが、消化不良を起こすため、なるべく与えないようにしましょう。
4.生肉
肉の生食については賛否ありますが、現状ではデメリットの方が大きいと考えられています。そのおもな理由が次の3つです。
- 寄生虫への感染
- 食中毒
- 人間へのリスク
牛肉は有害な菌が少なく比較的安全だと言われていますが、体調によっては食中毒の原因になります。豚肉は寄生虫のトキソプラズマがいる可能性がありますし、鶏肉にはカンピロバクターやサルモネラ菌が潜んでいる場合があり危険です。
とくに免疫力の弱い子猫や老猫は、重篤な症状を引き起こす可能性もあるため、与えないようにしましょう。
また、これらの寄生虫や菌は糞便を通して人間に感染するリスクもあります。
生肉食のメリットとして、生きた酵素が含まれているので健康に良いという説があります。しかし酵素は、消化液によって構造が変化し、アミノ酸として体内に吸収されます。そのため生肉を与えても生きた酵素は摂取できないのですから、あまり意味はないでしょう。
まとめ
今回は生で与えると危険な食べ物を4つ紹介しました。
どれも加熱することで安全に与えることができる食べ物ばかりです。与える際は必ず加熱して与えるようにしましょう。
ただし消化不良を起こしやすい食べ物に限っては、なるべく与えないことをおすすめします。
基本的に総合栄養食のキャットフードを与えていれば、あえて食べさせる必要のないものばかりです。与える際にはリスクを理解した上でよく検討してからにしましょう。
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