実は猫の嗅覚が鋭いことを示す3つのヒミツ ヘビと同じ仕組みを持つって知ってた?
猫の嗅覚が鋭いとわかる3つのヒミツ
ニオイを感じ取る仕組みは人間も猫もだいたい同じですが、猫の鼻の奥は、ちょっと変わった独特な構造をしています。嗅覚が鋭い秘密は、ここにあるのです。
1.ニオイを捕らえる組織の面積が大きい
ニオイのもとである化学物質をキャッチする部分を「嗅上皮(きゅうじょうひ)」といい、鼻の中の上側に位置していて、頭部を断面で見るとグルグルとまるで迷路のような形をしています。
嗅上皮は大きければ大きいほど、ニオイを捉える面が大きいため、ニオイに対する感度が高くなります。
人間の嗅上皮の面積は2〜4㎠ほどで、ニオイ物質を受け取る嗅細胞が約500万個も集まっています。
一方、猫の嗅上皮の面積は約20㎠で、嗅細胞に至っては最大2億個が存在するといわれています。
嗅上皮の面積比からもわかるように、頭の小さな猫の鼻はとても複雑に入り組んでいます。このことによって、猫は非常に微細な香りや遠くのニオイを感知しているのです。
2.ヤコブソン器官の発達
愛猫がほかの猫のおしりを嗅いだり、飼い主のスリッパや靴下を嗅いだりしたときに、口を半開きにして「変顔」しているのを見たことはありませんか?
この変顔は「フレーメン反応」と呼ばれています。
猫には、第二の鼻と呼ばれる「ヤコブソン器官」があります。この器官でフェロモンや微細なニオイを感知するとフレーメン反応を引き起こします。
猫が口を開けた上顎(上前歯の裏側あたり)には、2つの小さな穴があり、そこから嗅いだニオイはヤコブソン器官へ送られます。フレーメン反応で猫が口を半開きにしているのは、口に空気を送り、その穴からニオイを吸い込むためなのです。
実はこのヤコブソン器官は猫だけでなく、イヌやウマなどの哺乳類、ヘビなど一部の爬虫類にも存在しています。
ヘビは、舌にニオイの受容体があるため、舌をチョロチョロ出し入れしてヤコブソン器官へ空気を送るのだそうです。猫とヘビに、共通する仕組みがあるとは驚きですね。
3.ニオイ受容体の数が多い
現在わかっているだけでも、猫には約677種類の嗅覚受容体があります。このニオイ物質を受け取る嗅覚受容体の種類が多いほど、いわゆる「ニオイのマップ」が詳細になります。
ニオイ物質と猫の嗅覚受容体の組み合わせは、数十万種類にも及びます。食べ物のニオイ、テリトリーの境界、仲間の個体差など、多くのニオイの違いを嗅ぎ分けることができるのです。
自然界にいた頃の猫は、獲物をみつけたり、自分のニオイで縄張りを確立したりするために、嗅覚を使う必要があり、そのために嗅覚受容体の進化が進み、現代の飼い猫まで、この機能はそのまま受け継がれています。
ニオイを判断する仕組み
ニオイの正体は空気中にある化学物質です。ニオイ物質は、目に見えないほど小さい低分子と呼ばれる状態で飛んでいます。
そして、ニオイを感じるには、次のような過程をたどります。
- 1「鼻の嗅上皮(きゅうじょうひ)という粘膜でニオイ物質を感知」
- 2「嗅覚神経細胞で電気信号を生成」
- 3「嗅球(きゅうきゅう)でニオイ情報を処理」
- 4「大脳でニオイを認識」
起きているときの猫の鼻が濡れているのは、ニオイの粒子を吸着しやすくするためといわれています。その鼻先の補助を受け、鼻から入ったニオイ物質は鼻の奥にある粘膜に溶けこみます。
粘膜にある受容体がニオイ物質に反応すると、電気信号を生成します。
電気信号はニオイ分別用のマップで照合されます。ニオイの「種類」や「濃度」などの情報ラベルがつけられて大脳へ伝達されると、ようやくニオイを感じられるようになるのです。
猫の嗅覚が進化した理由
猫の優れた嗅覚は、猫特有のコミュニケーション方法と薄明薄暮性の特性に関係しています。
野良猫を含め、自然界の猫たちは排他的なテリトリーを持って生活しているため、違う個体同士がお互いに目で見たり、耳で聞いたりするコミュニケーションを取るチャンスがあまりありません。
そのため、マーキングや排泄物などのニオイから相手の性別や健康状態、テリトリーなどの情報を得るようになりました。
また、猫が薄明薄暮性になったことも理由のひとつです。猫は捕食動物が活発になる明け方や夕暮れの時間帯になると行動をはじめます。
薄暗い環境では視覚が制限されるため、嗅覚や聴覚を駆使して狩りをするようになりました。そのため、食べ物の状態もニオイで判断し、食べられるかどうかや嗜好性を確認して安全を確認するようになったのです。
家の中で飼われている猫が、新しい物や食事をクンクンとチェックしているのも、先祖から引き継いだ習性といえるでしょう。
まとめ
今回は「猫の嗅覚が鋭いとわかる3つのヒミツ」を紹介しました。
鼻で嗅いだニオイを感知する過程は、どの動物でもあまり違いはありませんが、嗅覚の鋭い猫は嗅覚器官に特徴があることがわかりました。
鼻の奥にあるニオイをキャッチする部位の面積はひときわ大きく、微細な香りや遠くのニオイを感知します。
特にヘビの嗅覚と同じ仕組みを持つ第二の鼻とも呼べるヤコブソン器官は、人間にはわからない猫同士のフェロモンの違いまでわかるほど優秀なのです。
もしかしたら、帰宅直後にクンクンしてくる愛猫には、ほかの猫を触ったことがバレているかもしれません。ヤキモチを焼かれないようご注意くださいね。
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