人間も猫も、生理現象として目やにがでます。
目やにとは、基本的には目の保護をしている粘液に目のごみや老廃物が混ざったものを指します。
体の代謝によるものなので、猫も目やにが出て当たり前なのですが、中には猫の目やにが病気のサインになっていることもあるようです。
猫の目やにの原因とは何かと共に、猫の目やにから考えられる病気をご紹介します。

1.
猫の目やにの原因

◆生理現象による目やに

冒頭でも説明しましたが、猫の目やには目を保護している粘膜と目に溜まった老廃物が混ざり合って出てきたもので、体の代謝により自然に排出されるものです。
そのため、猫の目やにが少量で、猫の目の色に変化がなければ、体の代謝による生理現象の目やにです。
病気のサインである可能性は低いため、心配しなくても大丈夫でしょう。

大抵猫が顔を洗っているときに自分で取っていることが多いようですが、目やにが残っている場合や気になるときにはガーゼやティッシュなどで優しく猫の目やにを取ってあげましょう。

◆心配な目やに
猫の目が開きづらいくらい目やにが出ているときや、猫の目やにの色が黄色や緑などの色がついている場合は、猫が目の病気や炎症を起こしていることも考えられます。
目やにの出る原因にもよりますが、そのまま放っておくと失明につながる病気の場合もあります。
目やにが多く、色や量もおかしいと感じたら、動物病院を受診しましょう。


2.猫の目やにから疑われる病気

◆猫風邪
猫風邪と聞くと、人間のように熱を出し、くしゃみや咳をするイメージを持つかもしれません。
もちろん、猫風邪の一症状として、くしゃみや鼻水、発熱などが出ることも多いです。
くしゃみや鼻水とおなじくらい、猫風邪になると目やにをだす猫も多いと言います。

猫風邪は軽い症状だと自然治癒することもあるようですが、目やにが出るような時には、目薬や抗生物質の投与が必要です。
猫風邪の症状がひどくなる前に病院を受診しましょう。

◆結膜炎



猫の結膜炎はアレルギーやウイルス異物が目に入ったことで起こります。
猫は結膜炎になると目やにが出るだけでなく、白目が充血するのが特徴です。
また、猫が目をかゆがるように気にするそぶりを見せることもあります。
目のけがや異物による結膜炎や細菌性結膜炎の場合は、感染している方の目だけに目やにが出ることもあるようです。
アレルギーが原因で猫が結膜炎になっている場合は、両目とも目やにがでる、猫の両目から涙が出てくるといった症状がみられます。

猫が結膜炎になると、目が気になってしまい猫が触ろうとしてしまいます。
しかし、結膜炎になった目を猫が触ってしまうと悪化する可能性もあります。
猫が目に触ってしまわないよう、エリザベスカラーを付けるなどの工夫をし、早めに病院に連れて行ってあげましょう。

◆角膜炎
角膜とは目の表面を覆っている透明な膜のことです。
角膜がウイルス感染や目のけがなどで炎症を起こし、発症します。
猫風邪をひくと、結膜炎に加えて角膜炎を併発する事例もあるようです。

角膜炎が重症化すると、目が白く濁ることもあります。
早めの治療が必要なので、すぐに病院を受診しましょう。

◆アレルギー
人間のハウスダストや花粉症など、アレルギー症状で目やにや涙が出ることはあると思います。
猫も同様に、アレルギー症状の一つとして、目やにが出ることがあるようです。

目やにと同時にくしゃみをしている、鼻水が出るなどの鼻炎のような症状があれば、目薬や内服薬などでケアをすることも可能ですので、一度動物病院を受診しましょう。

◆猫クラミジア
猫クラミジアになった猫は、結膜炎を発症します。
最初は片目がぐじゅぐじゅと水っぽい感じから始まることが多いようですが、徐々に両目に症状が出始め、膿のような黄色い目やにを猫が出すようになります。

猫クラミジアはワクチンで予防することができ、かからないようにすることが何よりも大切なので、毎年ワクチンを接種するように心がけましょう。



3.猫の目やにで病院に行くタイミングは?

体の代謝の目やに程度なら、病院に連れて行かなくてもよいでしょう。

・目が開かないくらい猫の目やにがひどい
・猫の白目も赤くなっている
・目やにだけでなく風邪のような症状も見られる
・目やにの色が黄色やみどり

上記のうち一つでも当てはまるものがあれば、猫を病院へ連れて行くようにしましょう。

4.
目やにの治療法は?

猫の目やにの治療法は、目やにの原因により異なりますが、大抵の場合は点眼薬、いわゆる目薬が処方されることが一般的なようで、状況により、内服薬も併用することがあります。

5,猫に目薬をさすときのコツ


我が家の猫も保護当時、猫風邪をひいており、目やにが出ていました。
子猫だから、ということもあったかもしれませんが猫に目薬をさすのは本当に苦労しました。
猫の目薬をうまくさせないと困っている方は、意外と多いみたいなので、我が家でも実践した、かかりつけ医に教えてもらった猫の目薬のさしかたをご紹介します。

Step1.猫を落ち着かせる
目薬をさすときに猫が興奮しているとうまく猫に目薬をさすことができません。
猫に目薬をさすときは、猫がリラックスしている時を狙いましょう。
膝の上に乗ってくれるねこであれば、お膝に猫が乗っている時が目薬チャンスかもしれません。
Step2.猫を後ろから支える
いよいよ猫に目薬をさしましょう。
猫に目薬を差すときは、正面か目薬をさすのではなく後ろから、が基本です。
猫を膝の上で後ろから抱きしめるか、机や床などに座らせ後ろから抱きしめましょう。

Step3.猫の顔を上に向け素早く目薬を入れる
猫のあごの下を持ち上げるように少し上に持ち上げます。
この時にはもう利き手に目薬をいつでもさせる状態で準備しておいてください。

猫の顔を少し上に向かせたら、あごを支えている手の空いている指で猫の目を開かせます。
猫は上瞼のみ開かせれば、目を閉じることはありません。
上瞼を優しく上に開かせましょう。
この時点で抵抗を見せる猫が多いと思うのですが、猫の目を開かせた瞬間に目薬を差しましょう。

猫の目にちょっとでも目薬が入れば成功です!

もし目薬が猫の目から垂れてくるようであれば、優しく拭いてあげましょう。

いかがでしたか?
目薬をどうしてもさすことができない猫ちゃんも中にいると思います。
目薬をささないと目やにや目の病気はよくならないばかりか、悪化することもあります。
少しかわいそうかもしれませんが、暴れることができないように猫の顔以外をタオルでくるみ、抵抗できないようにして目薬もさすと、上手に猫に目薬をさすことができますよ。
その子その子に合う点眼方法は、かかりつけの獣医師に相談し、教わっておくといいかもしれません。

【監修 小禄獣医師】

情報提供元: 猫壱
記事名:「 【獣医師監修】猫の目やにの原因とは?症状・疑われる病気・対処法