どうせ飼うなら、小さい子猫が欲しい、子猫から飼った方が早く慣れてくれるよね?そう思っている人が多い日本は、先進国では珍しいかも知れません。



街のペットショップを覗くと、手のひらに乗ってしまいそうな子猫や子犬ばかり。確かに可愛らしいですが、実はペットにしてみると、それはとても残酷な環境かも知れません。



幼い子犬や子猫を販売目的で生まれた環境から引き離す時期が、海外では明確に決められています。



欧米先進国では、ペットの販売年齢には「8週齢規制」が常識です。8週齢、すなわち生後56から62日前の子犬や子猫を販売することは禁止されているのです。



その理由は一体どういうことなのでしょうか。



 

■子猫に多い問題行動




懐かない猫、怒りっぽい猫、周りとうまく付き合えない猫、そんな猫がいたら、子猫の時期に問題があったのかも知れません。



アメリカのペンシルベニア大学のジェームズ・サーベル教授が行った研究によると、



「ペットの分離時期は7~9週齢が最適で、6週齢だと悪影響が出る。10~12週齢は9週齢と比べるとさほど違いはない。生体販売を8週齢と決めるのは安全の妥協点と言える。」



と指摘しています。2017年、ヘルシンキ大学の研究チームも、



「問題行動を起こす確率は、8週齢よりも前に分離された猫の方が12~13週齢で分離された猫よりもかなり多い」



という論文を発表しています。



 

■愛着障害とは






この問題行動は、専門用語でいうと愛着障害と言います。幼児期に適切な愛情を注がれて育たなかった場合、大きくなって他者との関係がうまくいかない場合が多いのです。



人間の子供の場合、3歳までに特定の養育者と適切な関係性を持てなかった子供は、



・誰にでもついて行ってしまう

・感情の起伏が激しい

・自分を大切にすることができない

・他人に愛情を持ちにくい



などの問題行動が見られることがあります。この愛着障害は目に見える障害ではなく、性格や行動に問題が出るため、「扱いにくい子供」「問題が多い子供」と行った目で見られ、虐待されることが多いと言われています。



これは猫も人も犬も同じです。猫の性格形成は生まれたときから生後8週齢でほぼ完成してしまうと行っても過言ではありません。





いかがですか。もし猫を飼いたいなら、そして自分と相性の良い猫と暮らしたいなら、子猫よりもむしろ成猫の方が失敗が少ないかも知れません。



猫は嫌な記憶は忘れないと言います。特に幼い頃の経験は一生忘れられない記憶としてその猫の性格に影響を与えてしまうでしょう。



見た目は可愛くて甘えん坊に見える子猫。日本では2012年の動物愛護法改正時、8週齢規制に対し、繁殖業者の74.2%が「生産コストが増加する」、ペット店の79.6%が「売り上げが減少する」と訴えて反対しました。



猫と幸せに暮らしたいなら、私たちはどうしたら良いのか。ペットショップで子猫を欲しがる人がいる限り、日本には不幸な猫が減らないかも知れませんね。
情報提供元: 猫壱
記事名:「 子猫が欲しい?実は怖い子猫に多い「愛着障害」を知っておこう