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これら2つの分析結果を踏まえ、チームは今回、約6000人の参加者を対象としたオンライン調査を行いました。
1つ目の調査では、参加者に「半年にわたり、1日あたり一定の自由時間が与えられる状況」を想定してもらいます。
この際の一定の自由時間は、1日15分(少ない)・1日3.5時間(適度)・1日7時間(多い)の3つに分けられ、どれかがランダムに割り当てられます。
参加者にはそれを考慮した上で、「娯楽、幸福、満足度をどれだけ体験できるか」を報告してもらいました。
その結果、1日15分(少ない)と1日7時間(多い)は、1日3.5時間(適度)に比べて、幸福度が低いと報告されたのです。
データを調べたところ、1日15分(少ない)では「ストレス度が高まる」と報告され、1日7時間(多い)では「生産性が低くなる」と報告されていました。
2つ目の調査ではまず、それぞれの参加者を1日3.5時間(適度)・1日7時間(多い)のどちらかに振り分けます。
その上で、自由時間の過ごし方について「生産的な活動(趣味や運動、ランニング)」か、「非生産的な活動(テレビやネットサーフィン)」のいずれかを指定し、それに応じた幸福度を報告してもらいました。
その結果、「非生産的な活動」では、自由時間が多いほど幸福度が低下するのに対し、「生産的な活動」では、自由時間が多くても、幸福度が「1日3.5時間(適度)」のグループと同じであることが示されたのです。
要するに、自由時間が長くても、自分に有益な活動であれば幸福度も落ちない、ということでしょう。
研究主任のマリッサ・シャリフ氏は、次のように述べています。
「私たちはよく、忙しすぎることに不満を持ち、もっと自分の時間が欲しいと言います。しかし、ただ自由時間を増やすことが幸福につながるとは限りません。
また、定年後や離職中に過度の自由時間がある場合は、目的を持った有意義な活動をすると良いでしょう」
コロナ禍でおうち時間が増えている今こそ、時間の有益な使い方を見直す良い機会かもしれません。
※この記事は2021年9月に公開のものを再掲載しています。
参考文献
Too much free time can be just as depressing as no free time — if you’re wasting all of it
https://www.zmescience.com/science/too-much-free-time-can-be-just-as-depressing-as-no-free-time-if-youre-wasting-all-of-it/
Too much free time may be almost as bad as too little
https://www.apa.org/news/press/releases/2021/09/too-much-free-time
元論文
Having too little or too much time is linked to lower subjective well-being.
https://psycnet.apa.org/doi/10.1037/pspp0000391
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。