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その結果、男性は紀元前1370〜1010年の間(縄文時代晩期)に瀬戸内海でサメに襲撃されたことが予測されました。
傷の分布から、襲撃時はまだ生きていたことがうかがえ、左手は防御のために差し出したことで、サメに噛みちぎられたと考えられます。
また、歯形の特徴と分布から、イタチザメかホオジロザメの可能性が高いとのこと。
地元の墓地に埋葬されたことから、男性は襲撃直後に仲間に救助されたと見られます。複数人で釣りをしていたか、泳いでいたのかもしれません。
男性は右足も失っており、左足は胴体にもたせかけるように安置されていました。
研究チームは、論文内で「縄文時代の日本人は、さまざまな海洋資源を利用していました。
この男性が意図的にサメを仕留めようと狙っていたのか、あるいは他の魚の血やエサでサメが寄ってきたのかは定かでありません。
いずれにしても、この発見は先史時代の劇的なエピソードを再現できただけでなく、古代日本の生活に新たな視点を提供するでしょう」と述べました。
瀬戸内海では、1992年に潜水夫の男性がホオジロザメに襲撃されて死亡した事件が報告されており、今もサメの目撃情報が相次いでいます。
日本の海でも決して安心はできません。
参考文献
Researchers find 3,000-year-old shark attack victim
https://phys.org/news/2021-06-year-old-shark-victim.html
元論文
3000-year-old shark attack victim from Tsukumo shell-mound, Okayama, Japan
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2352409X21002777?via%3Dihub
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部