独身でいるかどうかは「性格」で予測できると判明
親戚の集まりで「いい人はいないの?」と聞かれ、笑ってごまかしながらお茶をすする場面は、よくある光景です。
「独身なのは、たまたま縁がなかっただけ」と考える人は少なくないでしょう。
では、その人の「性格」は、独身でいることとどう関わっているのでしょうか。
今回、長い期間にわたる調査データを使った研究で、性格と独身の関係が詳しく分析されました。
研究の詳細は、2026年10月3日付で学術誌『Journal of Personality』に掲載されました。
目次
- 性格と独身の関係を「長い時間」で追いかけた研究
- 独身と結びついていた「意外な性格」とは?
性格と独身の関係を「長い時間」で追いかけた研究
一方で、その人のもつ性格も、何らかの形で関わっているのではないかという見方があります。
そこで研究チームは、同じ人たちに何度も調査を重ねた長期のデータ「Pairfam(ペアファム)」を使いました。
研究チームが調べたのは、2種類の性格の物差しと「独身である確率」との関係です。
1つ目は「ビッグファイブ」です。性格を開放性(新しい体験や考えへの好奇心)・誠実性・外向性・協調性・神経症傾向(不安や落ち込みの感じやすさ)の5つの面から捉える見方です。
2つ目は「ダークトライアド(暗い3つの性格)」です。マキャベリズム(目的のために人を操ろうとする傾向)、サイコパシー(冷淡で衝動的な傾向)、ナルシシズム(自己愛)という、いわば“腹黒さ”に関わる性格の面です。
さらにナルシシズムは、「自己愛的賞賛」(自分を売り込み、称賛を集めようとする面)と「自己愛的競争」(他人を見下し、ライバルを退けようとする面)という2つの側面に分けて調べています。
この研究の工夫は、性格の影響を2つに分けて見たことです。
1つは、人と人とのあいだにある「ふだんから続く性格の違い」です。
もう1つは、同じ人の中で、調査のたびに性格が少し上下する「揺れ」です。
チームは統計の手法でこの2つを切り分け、それぞれが独身であることとどう結びつくのかを調べました。
では、どんな性格が独身と結びついていたのでしょうか。
独身と結びついていた「意外な性格」とは?
まずビッグファイブで見ると、ふだんから開放性が高い人ほど、独身である確率が高い傾向がありました。
この傾向は、特に女性ではっきりしていました。
反対に、誠実性、外向性、協調性が高い人ほど、独身である確率は低くなっていました。
このうち外向性の影響は、男性でより強く表れていました。
また神経症傾向が高い人は、男性では独身である確率が高かったものの、女性ではその関係は見られませんでした。
つまり同じ性格でも、男女で独身との結びつき方が違っていたのです。
次にダークトライアドでは、さらに意外な結果が出ました。
マキャベリズムが高い人ほど、独身である確率はむしろ低かったのです。
一方で、サイコパシーと自己愛的賞賛が高い人ほど、独身である確率は高くなっていました。
自己愛的賞賛の影響は、特に女性で目立っていました。
そして自己愛的競争は、主に男性で、独身である確率の高さと結びついていました。
では、同じ人の性格が調査のたびに揺れた時はどうだったのでしょうか。
こちらの影響は、ほとんどの場合、はっきりした差とまでは言えないものでした。
研究チームは、この結果について、性格の「人どうしの順位」(たとえば誰が誰より外向的か)が時間がたっても変わりにくいことと矛盾しないとしています。
ただし、性格の揺れと独身との結びつき方は、人によって大きくばらついていることも分かりました。
研究チームの結論はこうです。性格は主に「ふだんから続く性格の違い」を通して、独身かどうかを予測している。性格の揺れは一部で、しかも人によって異なる形で関わっている。
なお、今回示されたのは性格と独身の結びつきであり、性格を変えれば恋人ができるという因果まで確かめたものではありません。
独身かどうかは、長く続く自分らしさと静かにつながっているのかもしれません。
そしてそのつながり方は、男女でも、一人ひとりでも違っていたのです。
次に「いい人いないの?」と聞かれたら、「性格の問題なので研究中です」と答えてみるのも一つの手です。
参考文献
The Role of Personality in Predicting Singlehood Status: Differential Effects of Big Five and Dark Triad Traits Over Time (Journal of Personality)
https://doi.org/10.1111/jopy.70102
元論文
The Role of Personality in Predicting Singlehood Status: Differential Effects of Big Five and Dark Triad Traits Over Time
https://doi.org/10.1111/jopy.70102
ライター
山下 浩介: むずかしい研究を、なるべく分かりやすく伝えたい。専門の言葉はふだんの言葉に置きかえて、身近な例で例える。それで「わかった」「楽しかった」と言ってもらえたら嬉しいです。
好きなのは、通学路や台所や日常の中にある科学。眠っているあいだに記憶が整理される話や、虫の鳴き方に意味がある話のように、読み終わったあとに誰かへ話したくなる研究を探しています。
編集者
ナゾロジー 編集部