恋人との良い関係に繋がった「5つの愛の言語」とは
毎晩「大好きだよ」とメッセージを送っているのに、恋人は皿洗いを代わった日のほうがずっと嬉しそうにしています。
同じ「好き」の気持ちでも、どんな形で伝えられると嬉しいかは、人によって違うようです。
恋愛の世界では、こうした愛情の伝え方の好みを「愛の言語(ラブランゲージ)」と呼ぶ考え方が広く知られています。
ただしこの考え方は、人気が高い一方で、学術的な研究で確かめられることはあまり多くありませんでした。
では、恋人が求める「愛の言語」で愛情を伝えることは、ふたりの関係や性生活の満足と本当に結びついているのでしょうか。
実際のカップルを調べた研究から、その手がかりが見えてきました。
研究内容の詳細は2024年10月15日に『Archives of Sexual Behavior』にて発表されました。
目次
- 恋人たちが使う「5つの愛の言語」とは?
- 満足しているカップルに見られた「ある一致」
- 触れ合いの「3つの型」と研究の注意点
恋人たちが使う「5つの愛の言語」とは?
「愛の言語」は、チャップマン氏が著書『The Five Love Languages(5つの愛の言語)』で示した考え方です。
彼は臨床の現場で見てきたことをもとに、恋人や夫婦が気持ちを伝え合い、相手に「一番愛されている」と感じてもらうためによく使う5つの伝え方をまとめました。
その5つとは、体に触れ合う「スキンシップ」、ふたりで過ごす「時間」、相手を認めてほめる「言葉」、相手のために動く「奉仕」、そして「贈り物」です。
「あなたの愛の言語は何?」と尋ね合えば、おたがいの好みを話し合う分かりやすいきっかけにもなります。
そこでモストヴァ氏らの研究チームは、この考え方を実際のカップルで確かめるため、男女のカップル100組を調べました。
参加者はまず、5つの言語それぞれで、自分がどれくらい恋人に愛情を表しているか、そして恋人からどれくらい受け取りたいかを答えました。
チームはそこから、「自分が受け取りたい形」と「恋人が実際に表してくれている形」がどれだけ合っているかを計算しました。
この一致の度合いは、0がぴったり一致、4がまったくの不一致を表します。
さらに各参加者には、ふたりの関係への満足度と、性生活への満足度も答えてもらいました。
はたして、愛情の「言語」が合っているかどうかは、ふたりの満足と関係していたのでしょうか。
満足しているカップルに見られた「ある一致」
まず参加者たちは、5つの言語のどれもが、愛を伝えるうえでも受け取るうえでも大切だと考えていました。
1〜5の5段階の評価で、平均は3.31から4.67の間に収まっています。
それでも好みには差があり、最も人気だったのはスキンシップで、すぐ後に時間が続き、その次が言葉、奉仕、贈り物の順でした。
男女の違いも少しあり、女性は奉仕を除くすべての言語で、より多くの愛情表現を受け取りたいと答えていました。
また女性は、一緒に過ごす時間を通して愛情を表しやすい傾向もありました。
とはいえ全体として見ると、男女の「受け取りたい形」と「恋人が表してくれる形」はよく合っていました。
ずれがある場合、女性は恋人が表してくれている以上に(特に時間を)求めがちで、男性は(奉仕を除いて)恋人が表してくれているほどは求めない傾向がありました。
奉仕と贈り物については、カップルは似た好みを持っていました。
一方でスキンシップや時間、言葉の好みが違っていても、カップルは相手が望む形でそのまま愛情を差し出すことで、うまく一致を保っていたのです。
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そして注目すべきなのは、この「相手が望むものを差し出す」ことが、関係への満足度とも性生活への満足度とも関連していたことです。
その関連は、スキンシップ、一緒に過ごす時間、ほめ言葉で特にはっきりしていました。
つまり、相手の「愛の言語」で話すことが、満足度の高さと結びついていたのです。
この研究を紹介したニコルソン氏は、結果がチャップマン氏の臨床での観察をおおむね裏づけたと述べています。
さらに同氏は、相手の言語で話すことは、相手の望みを満たすだけでなく、お返しに自分の望みも満たしてもらうことにつながると説明します。
おたがいに求めるものを伝え合い、与え合うこと、つまり「お返しし合う関係」こそが鍵だというわけです。
触れ合いの「3つの型」と研究の注意点
5つの言語の中でも人気の高かったスキンシップについては、別の研究からも手がかりが得られています。
それはオンライン調査で、恋人と6か月以上付き合っている大人336人に、過去1か月にどんな触れ合いをどれくらいしたかを24の行動について尋ね、満足度との関連を調べました。
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参加者の85.4%は性的少数者(LGBTQ+)で、男女のカップルだけでなく、同性どうしや多様な性のカップルも含まれていました。
分析の結果、参加者は「触れ合いが少ない型」「愛情表現が中心の型」「幅広く触れ合う型」の3つのタイプに分かれました。
そして触れ合いが少ない型の人は、ほかの2つの型の人より、関係にも性生活にも満足していない傾向がありました。
反対に幅広く触れ合う型の人は、ほかの2つの型の人より性生活への満足度が高かったのです。
なお、それぞれの型の分かれ方について、男女のカップルと、同性どうしや多様な性のカップルとの間に有意な差は認められませんでした。
もちろん、これらの研究には注意点もあります。
愛の言語の研究は男女のカップル100組を調べたもので、分かったのは一致と満足が一緒に見られるという関連であり、一致が満足を生むとまでは言い切れません。
以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(下ネタを笑い合えるカップルほど満足度が高い――下ネタを科学する研究)
触れ合いの調査も、一度のアンケートから関連を見たものです。
それでも、愛情はたくさん伝えればいいだけではなく、相手が受け取りやすい形で伝えることも大切なのかもしれません。
恋人の喜ぶ顔が見たいなら、まずは自分の得意な伝え方から一歩離れて、相手の「言語」に耳を傾けてみるのが近道になりそうです。
ちなみに、恋人の愛の言語が「贈り物」だと分かった瞬間、自分の財布の言語が「沈黙」に切り替わる人もいるかもしれません。
参考文献
Why Love Languages are Important—and Matching is Essential (Psychology Today)
https://www.psychologytoday.com/us/blog/the-attraction-doctor/202609/why-love-languages-are-important-and-matching-is-essential
元論文
Sexual and Affectionate Behaviors and Satisfaction for Adults in Romantic Relationships: A Latent Profile Analysis
https://doi.org/10.1007/s10508-024-03016-y
ライター
山下 浩介: むずかしい研究を、なるべく分かりやすく伝えたい。専門の言葉はふだんの言葉に置きかえて、身近な例で例える。それで「わかった」「楽しかった」と言ってもらえたら嬉しいです。
好きなのは、通学路や台所や日常の中にある科学。眠っているあいだに記憶が整理される話や、虫の鳴き方に意味がある話のように、読み終わったあとに誰かへ話したくなる研究を探しています。
編集者
ナゾロジー 編集部