夜、ベッドに入ってから恋人に「おやすみ」を送り、少しだけ意味深なスタンプを添えようとして、送信ボタンの前で指が止まることがあります。


恋人や夫婦のあいだで、スマホを使ってエッチなメッセージや画像を送り合うことがあります。


いまや多くの人にとって、エッチなメッセージのやり取りは恋愛のありふれた一場面になりつつあります。


では、こうしたやりとりはふたりの仲を深めるのでしょうか、それとも逆にこじらせてしまうのでしょうか。


トロント・メトロポリタン大学とオタワ大学の心理学者たちが、その手がかりとなる研究結果を報告しています。


研究内容の詳細は2026年7月7日に『The Journal of Sex Research』にて発表されました。




目次



  • 「きわどいメッセージ」を心理学で調べる
  • エッチなメッセージで満足している人とそうでない人、分かれ目はどこに?
  • 「別れたくないから」送るときに気をつけたいことと、研究の限界

「きわどいメッセージ」を心理学で調べる


「きわどいメッセージ」を心理学で調べる / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

研究チームが調べたのは、「テクノロジーを介した性的なやりとり」と呼ばれるものです。


これは、自分で作った性的な内容を、スマホなどの通信機器を使って相手とやりとりすることを指します。


たとえば、きわどいメッセージを送り合うことや、親密な写真を見せ合うこと、電話越しの性的な会話などがここに含まれます。


こうしたやりとりは、決して一部の人だけのものではありません。


10年以上前のアメリカの調査でも、参加者の88%がエッチなメッセージのやり取りをしたことがあると答えていました。


また、約75%の人が、決まった恋人とのあいだでエッチなメッセージのやり取りをしたと答えています。


とはいえ、よくある行動だからといって、それが恋人との関係にとって「良いこと」だとは限りません。


そこで研究チームは、2回の調査を通して、恋人とのこうしたやりとりについて参加者に尋ねました。


1回目の調査には269人、2回目の調査には459人が参加しています。


参加者は、エッチなメッセージのやり取りの頻度を「一度もない」から「この1年で1日に1回より多い」までの9段階で答えました。


あわせて、画面越しと対面それぞれでの性的な満足度や、パートナーへの性的な欲求についても答えてもらいました。


2回目の調査では、恋人との関係への満足度や、人生そのものへの満足度も調べています。


そして研究チームが特に注目したのが、「なぜエッチなメッセージを送るのか」という理由でした。


たとえば「相手ともっと近づきたいから」という前向きな理由もあれば、「ケンカや相手のがっかりを避けたいから」という後ろ向きな理由もあります。


こうした理由の違いは、ふたりの関係とどうつながっていたのでしょうか。


エッチなメッセージで満足している人とそうでない人、分かれ目はどこに?


エッチなメッセージで満足している人とそうでない人、分かれ目はどこに? / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

まず1回目の調査から、エッチなメッセージを送る理由は大きく3つのタイプに分けられることが分かりました。


1つ目は、親密さを深めたい、快感を分かち合いたいといった「接近」の理由(良いことを手に入れようとする動機)です。


2つ目は、罪悪感やプレッシャー、不安から、ケンカや相手のがっかりを避けようとする「回避」の理由(悪いことを避けようとする動機)です。


3つ目は、自分が相手にとって魅力的かどうかを確かめて安心したいという「確認」の理由でした。


また、性的な満足や欲求も、画面越しのものと対面でのものとで、別々のまとまりに分かれました。


つまり、画面越しの満足や欲求は、対面でのものとは別のものである可能性が示されたのです。


次に研究チームは2回目の調査で、理由の違いと満足度との関係を、統計の方法でまとめて分析しました。


すると、エッチなメッセージのやり取りが多い人ほど、「接近」の理由も「回避」の理由も、どちらも多く持っている傾向がありました。


つまり、回数が多いというだけでは、その関係がうまくいっているかどうかは分からないのです。


ところが、この2つの理由は、満足度とのつながり方が正反対でした。


「接近」の理由でエッチなメッセージを送る人ほど、パートナーへの性的な欲求が強い傾向がありました。


そしてその欲求の強さを通じて、性的な満足度、恋人との関係の満足度、さらには人生の満足度の高さとも結びついていたのです。


反対に、「回避」の理由でエッチなメッセージを送る人ほど、パートナーへの性的な欲求が弱い傾向が見られました。


そしてその欲求の弱さを通じて、性・関係・人生のどの満足度も低いことと結びついていました。


論文の題が言うように、大事なのは「何をするか」ではなく「なぜするか」だったわけです。


「別れたくないから」送るときに気をつけたいことと、研究の限界


「別れたくないから」送るときに気をつけたいことと、研究の限界 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

筆頭著者のエリン・リー・コーティス氏は、別れを防ぐためにエッチなメッセージを送るような場合、その行動と理由の両方が強まってしまう一方で、満足度全体は悪くなっているのかもしれないと述べています。


ただし、今回分かったのはあくまで「関連」であり、エッチなメッセージを送る理由が満足度を変えたと言い切れるわけではありません。


また、参加者はアメリカの大学に通った若い異性愛の女性にややかたよっていたとされ、すべての人や文化に当てはまるとは限りません。


さらに、集団全体で見られた傾向が、ひとりひとりにそのまま当てはまるとも限りません。


3つ目の「確認」の理由については、さらに調べる必要があると研究チームは述べています。体の見た目への意識や自己肯定感(自分を大切に思える気持ち)が、エッチなメッセージのやり取りの受け止め方に影響するかもしれないからです。


画面に並ぶ言葉が同じでも、それを送る指先を動かしている気持ちまで同じとは限らないのです。


もし送る前に手が止まったら、それが「近づきたいから」なのか「嫌われたくないから」なのかを、少しだけ自分に聞いてみてもいいかもしれません。


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参考文献

Sexting Could Be Good For Your Relationship, But Research Suggests There’s A Catch (IFLScience)
https://www.iflscience.com/sexting-could-be-good-for-your-relationship-but-research-suggests-theres-a-catch-84765

元論文

It’s Not What You Do, it’s Why: Motives and Outcomes of Technology-Mediated Sexual Interactions in Romantic Relationships
https://doi.org/10.1080/00224499.2026.2692952

ライター

山下 浩介: むずかしい研究を、なるべく分かりやすく伝えたい。専門の言葉はふだんの言葉に置きかえて、身近な例で例える。それで「わかった」「楽しかった」と言ってもらえたら嬉しいです。
好きなのは、通学路や台所や日常の中にある科学。眠っているあいだに記憶が整理される話や、虫の鳴き方に意味がある話のように、読み終わったあとに誰かへ話したくなる研究を探しています。

編集者

ナゾロジー 編集部

情報提供元: ナゾロジー
記事名:「 エッチなメッセージを送り合うカップル、満足してる人に見られた「ある傾向」 」