「ボッチプレイ」が長い10代ほど大脳皮質の表面積が小さい傾向
「ごはんだよ」と呼ぶと、「あとちょっとだけ」と返ってくる。私の場合は「セーブするまで待って」でした。
脳の表面にあるしわだらけの層が、大脳皮質(だいのうひしつ)。考える、覚える、感じる、話すといった働きを担っています。
10代の前半には、この層が自然に薄くなっていきます。回路が効率よく整理されていく時期です。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームは、ゲームをする時間が長い10代ほど、大脳皮質が薄く、表面積も小さい傾向があったと報告しました。
対象は、米国の10代5,686人、平均14.2歳。
一時点のMRIとアンケートを突き合わせた解析で、ゲームが脳を変えたと言える研究ではありません。
差は小さいものの、前頭葉から後頭葉まで、脳の広い範囲に散らばっていました。
参加者がゲームに使う時間は平均で1日3.1時間、81%が何らかのゲームをしていました。
研究チームは時間の長さだけでなく、一人用か複数人用か、成人向けかという遊び方の違いにも目を向けました。
では、遊び方や中身によって違いはあるのでしょうか。
研究内容の詳細は2026年9月1日に『NeuroImage』にて発表されました
目次
- 「一人プレイ」に関連、複数人プレイでは有意な関連は見られず
- 皮質が薄くなるのは「思春期の普通の変化」でもある
「一人プレイ」に関連、複数人プレイでは有意な関連は見られず
参加者は、ふだんの平日と週末に、一人用と複数人用のゲームをそれぞれどれだけ遊ぶかを答えました。
成人向けのレーティング(暴力や強い言葉を含むことが多い区分)のゲームを遊ぶ頻度も尋ねています。
脳の構造は、MRIで測った皮質の体積・表面積・厚さ。
年齢や性別、家の収入、体格、ゲーム以外の画面を見る時間などの影響は、統計で考慮して調整しています。
関連がゲームに特有のものかを見るためです。
一人用のゲームの時間が長いほど、言葉の処理や他人の気持ちを読むこと、感情の調節に関わる領域の表面積が小さい傾向がありました。
複数人で遊ぶゲームには、統計的な関連は見られませんでした。
成人向けのゲームをよく遊ぶ10代は、注意や、他人の社会的・感情的な合図を処理する回路で皮質が薄い傾向でした。
研究を率いたジェイソン・ナガタ氏は、どれだけ遊ぶかに加えて、どう遊ぶかも関わるかもしれない、と話しています。
薄いことは、悪いことなのでしょうか。
皮質が薄くなるのは「思春期の普通の変化」でもある
皮質の表面積や厚さが減ること自体は、思春期の発達で普通に起きることです。
今回の差が普通の発達の幅を外れるものかどうかは、長く追う研究で確かめる必要があると研究チームは述べています。
どちらが先かも決められません。
ゲームが差を生んだのか、もともと脳に違いのある子がゲームに引かれるのかは、一時点のデータでは区別がつかないためです。
ゲームの時間は本人の申告で、画面を見ている時間は見誤りがちです。
アクションかパズルかといったジャンルの違いも、今回は調べていません。
ゲームと脳の構造の研究は以前から少人数のものが多く、結果も食い違ってきました。
ゲームで脳が薄くなるのか厚くなるのか、順序が逆なのか。答えより先に、問いが「どう遊ぶか」へ広がりました。
親の小言のほうは、追跡研究を待たずに続くでしょう。
参考文献
More time spent playing video games is linked to a thinner cerebral cortex in adolescents (PsyPost)
https://www.psypost.org/more-time-spent-playing-video-games-is-linked-to-a-thinner-cerebral-cortex-in-adolescents/
Positive Association of Video Game Playing with Left Frontal Cortical Thickness in Adolescents (PLoS ONE)
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0091506
元論文
Associations Between Video Gaming Behaviors and Cortical Morphology in Adolescents
https://doi.org/10.1016/j.neuroimage.2026.122196
ライター
天道銀河: 科学、歴史、心理、宇宙、生き物、テクノロジーなど、気になるものにはジャンルを問わず首を突っ込む雑食系ライターです。ひとつの分野を深く極めるというより、さまざまな知識を広く集め、意外なつながりを見つけるのが好きです。専門家ほど深くはなくても、好奇心の広さなら負けません。「こんな世界もあるのか」と思えるような、面白くてわかりやすい話題を届けていきます。
編集者
ナゾロジー 編集部