マッチングサービスでは、候補が多いほど理想の相手に出会いやすいと思われがちです。


しかし男女比が大きく偏った場では、その「多さ」がかえって利用者を疲弊させることがあります。


そこで米ジョージ・メイソン大学(GMU)の研究チームが、男性側の閲覧に制限を設けたところ、受け取った関心表明がマッチにつながる効率は72%改善しました。


この研究は2026年5月15日付の『SSRN』で発表されています。




目次



  • 男性側の閲覧に制限を設けると、マッチ成立率が72%向上する
  • 「多く届く」よりも「選びやすい」ことが重要だった

男性側の閲覧に制限を設けると、マッチ成立率が72%向上する


今回の研究が対象にしたのは、インドで使われているオンライン結婚相手探しプラットフォームです。


これは、気軽な恋愛相手探しというより、結婚を前提とした相手探しの場であり、家族の関与や地域・言語・社会規範の影響を強く受けます。


こうしたサービスでは、男性ユーザーが女性ユーザーを大きく上回ることがあります。


論文では、男女比が男性60:女性40から、極端な場合には男性90:女性10にまで偏ると説明されています。


男性側は、少ない女性ユーザーをめぐって激しい競争にさらされます。


その結果、多くの男性は相手との相性を細かく考えるよりも、「とにかく多く送れば誰かが反応するかもしれない」という形で、たくさんの関心表明を送るようになります。


一見すると、女性は多くの候補を得られて有利に見えます。


しかし実際には、条件に合わない相手からの連絡も大量に届くため、女性はそれらを一つずつ確認し、選別しなければなりません。


つまり問題は「出会いが少ないこと」ではなく、「関係の薄い候補が多すぎること」でした。


そこで研究チームは、女性プロフィールをすべての男性に見せるのではなく、年齢・教育・収入という条件を満たす男性にだけ表示する仕組みを導入しました。


たとえば、年齢差が大きすぎる男性や、教育・収入の面で初期条件に合わない男性には、その女性のプロフィールが表示されにくくなります。


一方で、女性側はこの初期設定を自分で変更できるため、希望すれば表示条件を広げることもできました。


実験では、言語や文化のまとまりがある2つの州別サブドメインを比較し、一方にだけこの仕組みを導入しました。


そして、介入前後のユーザー行動を比べ、女性が受け取る関心表明の数、受け取った関心表明がマッチにつながる効率、女性が自分から送る関心表明の数を分析しました。


結果として、女性に届く関心表明は6%減りました。


しかし同時に、マッチにつながる効率は72%向上し、女性が自分から関心表明を送る行動も増えていました。


ではなぜ、連絡数が減ったのに、マッチングの成果はむしろ良くなったのでしょうか。


より詳細な結果は次項で見ていきます。


「多く届く」よりも「選びやすい」ことが重要だった


この研究で重要なのは、女性に届く関心表明が減ったこと自体ではありません。


本当に注目すべきなのは、届く連絡が減ったにもかかわらず、マッチにつながる効率が上がった点です。


男性側の表示制限により、女性が最初に目を通す候補の質を整えたと考えられます。


その結果、女性は大量の連絡を処理するだけで手いっぱいになるのではなく、より関連性の高い相手に集中しやすくなりました。


実際、処置群の女性は、介入後に自分から送る関心表明を約75%増やしていました。


これは、女性が単に受け身で連絡を待つのではなく、自分の希望に合う相手を主体的に探しやすくなったことを示しています。


特に効果が大きかったのは、25歳を超える女性、高学歴の女性、収入が確認できる女性でした。


25歳超の女性では、マッチにつながる効率が103%向上し、自分から送る関心表明も113%増加しました。


こうした女性たちは結婚相手探しの場で注目を集めやすく、もともと大量の関心表明による選別負担を強く受けていたため、介入の効果も大きく出たのかもしれません。


また、男性ユーザーについても、主要な活動量やマッチング成果に大きな悪影響は見られませんでした。


研究チームは、条件に合わない相手への関心表明はもともとマッチにつながりにくかったため、男性側の実質的な機会は大きく減らなかった可能性があると考えています。


さらに、プラットフォームには多くの新規ユーザーが流入していたため、男性側の選択肢が大きく失われにくかったことも理由の一つとされています。


ただし、これらの結果はインドの結婚相手探しという文化的文脈に基づくものです。


日本のマッチングアプリや一般的な恋愛アプリに、そのまま同じ仕組みを当てはめられるとは限りません。


それでもこの研究は、マッチングサービスにおいて「選択肢を増やすこと」だけが正解ではないことを示しています。


大量の候補がユーザーを疲弊させるなら、必要なのは出会いを増やすことではなく、不要な出会いを減らす設計なのかもしれません。


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参考文献

Is ‘gender gating’ the secret to success in online dating?
https://phys.org/news/2026-06-gender-gating-secret-success-online.html

元論文

Gender Gating? Addressing the Impact of Congestion on the User Experience for Women in Online Matrimonial Matching Platforms
https://dx.doi.org/10.2139/ssrn.4899811

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

情報提供元: ナゾロジー
記事名:「 マッチングアプリで「男性側に制限」を設けると成立率が72%向上する