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もちろん、タバコそのものが体に良いわけではありません。
肺や心臓にとって喫煙は大きな害であり、むしろ潰瘍性大腸炎以外の多くの病気のリスクを高めます。
今回の発見が意味するのは「タバコを吸った方が良い」ということではなく、「タバコに含まれる物質や細菌の変化をヒントに、新しい治療法を開発できるかもしれない」という点にあります。
例えば、タバコの煙に含まれる有害物質を使わずに、腸内細菌や代謝産物を調整する方法が開発されれば、禁煙後に症状が悪化する患者を助けられる可能性があります。
さらに、この知見は潰瘍性大腸炎だけでなく、他の腸の病気や免疫系の病気にも応用できるかもしれません。
参考文献
喫煙による潰瘍性大腸炎の症状緩和の成因を解明-喫煙が腸内環境に与える影響を明らかに-
https://www.riken.jp/press/2025/20250826_1/index.html
元論文
Smoking affects gut immune system of patients with inflammatory bowel diseases by modulating metabolomic profiles and mucosal microbiota
https://doi.org/10.1136/gutjnl-2025-334922
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部