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両親は、ジョセフくんが標準的な教育環境では満足できないと感じ、ネット検索を通じてメンサの存在を知り、支援を求めて問い合わせたといいます。
「このような成果は、本人の努力と能力によるものです。メンサへの入会が、将来、彼自身の誇りになることを願っています」と母親は語りました。
IQ(知能指数)と訳されるこの指標は、しばしば人間の知性を数値化するものとして扱われます。
メンサは、このIQテストにおいて上位2%(IQ132以上)に入る人のみが入会できる、世界最大の高IQ団体です。
1946年に創設されたこの非営利団体は、現在では世界で約14万人の会員を抱えており、「人種・宗教・政治・経済的な違いを超えて、すべての会員が平等な立場で交流する」という理念のもと活動しています。
ただし、IQという概念には長くて複雑な歴史があり、必ずしも純粋な科学的指標として使われてきたわけではありません。
もともとIQテストは、20世紀初頭にフランスの心理学者アルフレッド・ビネーによって「学習支援が必要な子ども」を見つける目的で開発されました。
テストでは、記憶力・言語的推論・視覚空間能力などが測定されます。
しかしその後、アメリカをはじめとした国々で、このテストが優生思想と結びついてしまいます。
IQスコアを「生まれつきの能力」と見なし、人種や社会階層を区分けする手段として利用されたのです。
ときに「低IQ」とされた人々は、不当に教育や就労の機会を奪われ、さらには強制不妊手術の対象にされたこともありました。
今日では、そうした過去の誤用から距離を置き、あくまで「特定の支援を必要とする子どもを識別するツール」としての役割が強調されていますが、それでもIQスコアをめぐる議論は尽きません。
一部の心理学者は「IQは知能のごく一部しか測っていない」として、感情知能・創造性・社会性・実用的な判断力など、他の重要な側面を軽視する傾向に警鐘を鳴らしています。
また、教育格差との関係も見逃せません。
裕福な家庭では、早期教育や知育玩具といったリソースが豊富である一方、経済的に恵まれない環境では子どもの潜在能力が適切に評価されない可能性もあります。
IQという数字は、一部の能力を可視化するうえで役立つ道具ではありますが、それだけが人間の知性のすべてを語るものではないのです。
参考文献
2-Year-Old Who “Loves A Challenge”Becomes Youngest Ever Member Of Mensa
https://www.iflscience.com/2-year-old-who-loves-a-challenge-becomes-youngest-ever-member-of-mensa-79401
Mensa welcomes youngest-ever member, Joseph Harris-Birtill, a toddler from the U.K. who “loves a challenge”
https://www.cbsnews.com/news/mensa-youngest-member-joseph-harris-birtill-toddler-from-uk/
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部