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このヘビは一つの胴体に二つの頭が並んでいる形をしており、しかもどちらの頭にも明確な生命反応が見られました。
呼吸をし、舌を出し入れし、周囲を見回す。そして刺激されると、片方の頭は明らかに怒りの反応を示すこともあるというのです。
しかし、その2つの頭の間には上下関係のようなものがありました。
ビバリウムのオーナーであるジョナサン・エンバートン氏によれば、食事をするのは決まって「支配的な頭(dominant head)」の方で、もう一方の頭は食べ物に興味を示すことはあっても、実際に食べようとはしないという。
おそらく非支配側の頭の食道は胴体の途中で閉じており、内臓器官を持っていないのだろうと考えられています。
こうした構造は、実は双頭の生物が生き残るためにとても重要なことです。
もしそれぞれの頭が異なる内臓系を持ち、二つの心臓や肺、胃などが競合するような体であれば、互いに生理機能を阻害し合ってしまい、長くは生きられないと指摘されているのです。
驚くべきことに、この双頭のヘビはすでに生後7カ月を迎えており、過去に同施設で観察された同様の結合個体の中でも、圧倒的に長寿だといいます。
イーストベイ・ビバリウムでは過去35年間で、2つの頭を持つヘビ、カメ、ヤモリなどが何例か生まれてきましたが、そのほとんどは数週間以内に亡くなっていました。
しかし今回の個体は順調に成長し、餌もよく食べ、脱皮もほとんど問題なく行えているという。
現在この個体は、施設のスタッフたちから「ジークとエンジェル(Zeke and Angel)」と名付けられ、飼育員の間でも人気の存在となっています。
ただ、どちらの頭がジークで、どちらがエンジェルかは、今も論争中なのだとか。
飼育施設がこの「双頭の白蛇」の存在を公表し始めたのは、今年3月になってからのこと。
あまりに珍しくデリケートな個体ゆえ、ある程度健康が確認されるまで公表は控えられていたといいます。
エンバートン氏は「もしこのヘビが2組の臓器を別々に持っていたら、おそらく今日ここで話題にすることもなかったでしょう。今ごろ標本としてアルコール瓶に保存されていたはずです」と語ります。
今後は1歳を迎えた段階で、ジークとエンジェルをより専門的に管理できる施設や研究機関への譲渡を検討する予定とのことです。
参考文献
Rare two-headed snake is surprisingly thriving
https://www.popsci.com/environment/two-headed-snake/
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部