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今回の研究では、そうした隠れた意識を発見するための新たな手法として、スリープスピンドルが有望な指標になる可能性を示しました。
研究チームは、今後さらに精度の高い診断技術を確立するため、AIを活用したEEGデータ解析にも取り組んでいます。
今回の研究成果を活かせば、スリープスピンドルを指標として、回復の可能性が高い患者に積極的なリハビリを提供することが可能になるかもしれません。
現在、EEG(脳波測定)を活用した診断法の標準化が進んでおり、これにより重度の脳損傷患者の意識状態をより正確に評価し、適切な治療の選択が可能になることが期待されています。
また、この傾向を逆に利用して、意識不明患者のスリープスピンドルを増強する治療法が開発される可能性もあります。
たとえば、経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いたスリープスピンドルの誘導や、個別最適化された神経刺激プログラムなどで、意識回復を促進できるかもしれないのです。
意識不明の患者が実は我々の目からは「隠れた意識」を持っているかもしれない——。
この発見が、今後の医療にどのような変革をもたらすのか、注目が集まります。
参考文献
Sleep patterns may reveal comatose patients with hidden consciousness
https://www.sciencedaily.com/releases/2025/03/250303141706.htm
Sleep Brain Waves Linked to Consciousness in Coma
https://neurosciencenews.com/consciousness-sleep-spindles-28453/
元論文
Sleep spindles as a predictor of cognitive motor dissociation and recovery of consciousness after acute brain injury
https://doi.org/10.1038/s41591-025-03578-x
ライター
相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。
編集者
ナゾロジー 編集部