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結婚生活には多くの要因が絡んでおり、どんな夫婦にも困難な時期は訪れます。
愛情が冷める、経済的問題、育児の負担、浮気など、離婚に至る理由はさまざまです。
しかし、ある人は問題があっても関係を続ける一方で、別の人は離婚を選ぶのはなぜでしょうか?
これまでの研究では、離婚の原因として 「結婚の満足度」「性格の不一致」「外部ストレス(仕事や家族関係)」 などが挙げられてきました。
しかし、これらの研究は「離婚の理由」を提示するものの、「離婚を予測する要因」については明確な答えを示していませんでした。
近年、心理学者や社会学者たちは、離婚の決定における 「価値観」の影響 に注目しています。
価値観とは「何を大切にするか」という個人の根本的な考え方のことです。
たとえば、独立性を重視する人と、家族のつながりを重視する人とでは、結婚生活への考え方が異なります。
今回の研究では、こうした価値観がどのように離婚に影響を与えるのかが調査されました。
本研究では、55カ国以上、10万人以上 の参加者を対象に、結婚や離婚に対する価値観を調査しました。
研究者たちは、過去の3つの大規模調査のデータを分析し、個人の価値観・文化的背景と離婚の関係を明らかにしました。
具体的には、以下のポイントを調査しました。
調査の結果、次のことが明らかになりました。
実際に、アメリカや北欧諸国の離婚率は、日本を含むアジア諸国よりも高い傾向があります。
つまり、「個人の価値観」と「社会の文化」が相互作用することで、離婚の可能性が大きく左右されるのです。
今回の研究は、個人の自由を尊重する人や社会では離婚率が高く、伝統を大切にする人や文化では離婚率が低いことを示しました。
これは世界的に離婚率が上昇している理由を説明するものとなります。
これまでの調査で、1960年代後半から1970年代にかけて、多くの国で離婚率が上昇し始め、その後も増加傾向が続いていることがわかっています。
現代では、個人の自由を尊重する文化が世界的に広まりつつあるため、こうした価値観の個人的・社会的な変化が離婚率の上昇につながっているのかもしれません。
参考文献
Divorce can be predicted by interactions between cultural and personal values, study finds
https://phys.org/news/2025-02-divorce-interactions-cultural-personal-values.html
元論文
Cultural and personal values interact to predict divorce
https://doi.org/10.1038/s44271-025-00185-x
ライター
千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部