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この用語は、1979年に占星術師Richard Nolle氏が独断的に定義したものであり、彼によると、スーパームーンとは、「地球に最接近(90%以内)した新月または満月」のことです。
しかし新月では、地球から見て月と太陽が同じ方向にあり、地球上から月が見えなくなっています。
そのため現代では、スーパームーンという言葉を「満月」にのみ使用することがほとんどです。
Nolle氏の「月が地球に最も近づいた近地点の90%以内」という定義を考慮すると、スーパームーンは年に数回観測されることになります。
ただし、Nolle氏は「90%以内」という数字を定めた理由を説明していません。
そのためスーパームーンの定義自体が曖昧であり、日本などではこの言葉を、「今年見える満月のうち、最も大きなもの」として使用しています。
こうした背景を考えると、スーパームーンという言葉は、文脈によっていくらか意味が異なる場合がありますが、一般的な理解としては普段より大きい月という理解で問題はないでしょう。
(※この記事では、スーパームーンを「今年最大の満月」の意で使用します)
ここまでは、スーパームーンの定義について考えてきました。
では、どうして1年のうちに月のサイズが大きくなったり小さくなったりするのでしょうか。
月の直径は約3470kmと一定です。
では、どうして地球から見た月の大きさは変化するのでしょうか。
それは、実際の大きさに限らず、近くにあるものほど大きく、遠くにあるものほど小さく見えるからです。
これは当たり前の効果ですね。
そして月と地球の距離がその時々で異なるので、地球から見た月の大きさも変化します。
この距離の違いを生じさせているのは、月の軌道です。
月は地球の周りを公転していますが、この軌道は円形ではなく楕円形です。
そのため月と地球の距離は、月が地球に近づく「近地点(地球から約35万7000kmの距離)」から、月が地球から遠ざかる「遠地点(地球から約40万6000kmの距離)」まで変化しています。
これが、月の大きさが異なって見える理由であり、近地点の時に最も大きく見えます。
そして月が、約29.5日ごとに訪れる「満月」の状態で、なおかつ近地点付近にある時、非常に大きな満月を見ることができます。
満月は毎月1回は見ることができますが、その満月の中でも1年で最も近地点に近くなるものが、「スーパームーン」と呼ばれているのです。
では、2024年で最大の満月となる「スーパームーン」はいつでしょうか。
2024年のうち、地球から最も遠い満月「マイクロムーン」は2/24に見られました。
そして地球から最も近い満月「スーパームーン」が見られるのは、10/17の夜です。
2/24の満月に比べると、今夜の満月は約14%も大きく見え、明るさも約30%アップします。
これだけでも普段より十分大きく見えますが、実は、スーパームーンをもっと大きく見る方法があります。
それは人間の錯覚を利用する方法です。
私たちは、空高くにある満月よりも、地平線近くにある満月を大きく感じます。
なぜなら地平線近くの満月を見る時、私たちの視界には、木や建物、山などが一緒に入り込むからです。
脳は、「建物・山」が「夜空」よりも近くに存在するものだと知っているので、建物や山の背後にある満月を、より近く、大きな存在として錯覚してしまうのです。
この錯覚効果を利用するなら、今夜のスーパームーンを一層楽めるかもしれません。
今夜の月の出は16時49分(東京)となっています。
スーパームーンが地平線付近にあるうちに、例えば、仕事帰りに、もしくは帰宅してからすぐに出かけて、夜空を眺めてみると良いでしょう。
特別な機材は必要ありませんが、もし望遠鏡を持っているなら、細部までしっかりと楽しめるはずです。
ぜひ今夜は2024年で最大のスーパームーンを楽しんでください。
参考文献
October’s Supermoon Is The Largest of 2024 – Here’s When to See It
https://sciencealert.com/octobers-supermoon-is-the-largest-of-2024-heres-when-to-see-it
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部