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サボテンには、小さな球状のものから巨大な柱のように高く伸びるものまで、さまざまなサイズの種類があります。
研究によると、サボテンのサイズも多様化の一因であることが分かっています。
特に、大きなサイズのサボテンは、さまざまな環境に適応しやすく、そのために多くの新しい種が生まれてきたと考えられます。
最後に、サボテンがどれだけ広い範囲に分布しているかも多様化に関わっています。
広範囲に分布するサボテンは、異なる環境に適応するために進化を遂げやすく、その結果、多様な種類が生まれるのです。
サボテンの分布範囲が広がることで、新しい環境に対応するために新しい種が生まれ、その多様性がますます広がっていきます。
興味深いことに、この研究で示された「多様化の要因」は、どれも極端な環境条件ではなく、むしろ中程度の環境条件であることが分かりました。
たとえば、気温が極端に高かったり低かったりする地域よりも、ほどよく変動する地域でサボテンの多様化が進んでいるのです。
サボテンと言えば極端に高温で乾燥した地域の植物という印象がありますが、実際にはもっと複雑な要因があったようです。
また、この研究で使用された手法の一つに「機械学習」があります。
機械学習とは、コンピュータが大量のデータを分析し、そこからパターンを見つけ出す技術です。
今回の研究では、サボテンの進化に影響を与える要因を特定するために、機械学習を使ってデータを分析しました。
その結果、先に挙げた5つの要因がサボテンの多様化に大きく関与していることが明らかになったのです。
これらの要因から多様化に必要な条件をまとめると以下の3つが大きく関わっていることが分かりました。
気候:気温の変化や降水量などの環境要因や地理的要因が影響しています。
土壌の特性:サボテンが育つ土壌の質や構造が重要です。
サボテン自体の特徴:サボテンの形や成長の仕方も、多様化に影響を与えています。
しかし、これらの条件だけでは全てを説明できず、進化の大部分はまだ謎のままです。
研究では、全体の約79%が未解明だということも明らかになっています。
研究チームは「XGBoost」という機械学習の技術を使って、サボテンの進化に影響を与える要素の関連性を調べましたが、その結果、すべての要因を完全に説明することはできませんでした。
さらに、祖先の影響を考慮しない場合には、進化の理解に誤りが生じることも示されています。
つまり、サボテンがどのように進化したのかを完全に解明するためには、さらなる工夫が必要だということです。
サボテンの進化に関する研究はまだまだ始まったばかりです。
今回の研究結果は、サボテンの多様化における重要な要因を明らかにしましたが、まだ解明されていない部分も多く残されています。
また、この研究は、サボテンだけでなく、他の植物や生物の進化にも応用できる可能性があります。
機械学習を使った手法は、進化の背後にある複雑な要因を解明するための新たなツールとなりつつあります。
この研究は、サボテンの進化をより正確に理解するための第一歩に過ぎません。
今後は、もっと詳しいデータを集め、進化を説明できる新しい方法を開発する必要があります。
サボテンは特に乾燥地帯や半乾燥地帯で見られる、非常に特徴的な植物です。
そのため、進化の研究対象としても注目されていますが、多様化を引き起こす要因を突き止めるのは難しく、この問題はサボテンだけでなく多くの植物に共通しています。
この課題に対処するため、今回の研究では膨大なデータを機械学習で効率的に分析し、多様化を促す5つの主要な要因を明らかにしました。
これにより、サボテンだけでなく、他の植物の進化にも新しい視点をもたらす可能性があります。
今回の研究では、サボテンの多様化が気候や土壌などの無機的な要因だけでなく、サボテン自身の大きさや分布範囲といった生物的な要因も大きく関わっていることが分かりました。
特に、極端な環境ではなく中程度の環境条件がサボテンの多様化を促進しているという発見は、私たちの進化に対する理解を深めることになりました。
サボテンという植物は、その過酷な環境に耐える姿が象徴的ですが、実はその背後には多くの進化のドラマが隠されています。
これからもサボテンの進化についての研究が進むことで、ますますその魅力が明らかになっていくことでしょう。
参考文献
The cactus family’s surprising evolutionary journey(New Scientist)
https://www.newscientist.com/article/2448468-the-cactus-familys-surprising-evolutionary-journey/
元論文
Identifying the multiple drivers of cactus diversification
https://doi.org/10.1038/s41467-024-51666-2
ライター
鎌田信也: 大学院では海洋物理を専攻し、その後プラントの基本設計、熱流動解析等に携わってきました。自然科学から工業、医療関係まで広くアンテナを張って身近で役に立つ情報を発信していきます。
編集者
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。