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2. グリップ: 肩幅より少し広めにバーベルを握ります。
3. スタートポジション: バーベルを肩の上に持ち上げ、腕を伸ばします。
4. 下ろす: 息を吸いながら、バーベルをゆっくりと胸の高さまで下ろします。
5. 押し上げる: 息を吐きながら、バーベルを元の位置まで押し上げます。
ベンチプレスは肩や肘の関節を動かし、その周囲の筋肉に刺激がかかります、そのため、ベンチプレスを続けることでこれらの筋肉(大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋)が大きくなると言われています。
ただし、筋トレ愛好者のほとんどは、ベンチプレスだけでなく他の種目も行っているため、その逞しい上半身がベンチプレスそのものによって得られたのかどうかを判断するのは難しいです。
そこで、ランザ助教らの研究グループは、運動習慣のない健康的な男性24名のうち、半数の12名にベンチプレスだけを週3回、10週間行ってもらう実験を行いました。
具体的なトレーニング内容は、1回しか挙げられることのできない重量の50-55%(50-55%1RM)を使い、12回(1回につき3秒)を3-4セット、セット間の休息時間は3分、というものです。
ベンチプレスだけしか実施しないというユニークなトレーニング実験で、果たしてどこの筋肉が成長したのでしょうか?
この研究では、MRI画像を用いて、筋を輪切りにした際の面積である筋横断面積をもとに、筋肉の成長度合いを評価しました。
評価対象になったのは、大胸筋、小胸筋、上腕三頭筋、三角筋上部、三角筋中部です。
結果を見ると、当たり前ですが、トレーニングをしなかった人たちは、12週間経っても、筋肉は何も成長していませんでした。
一方、週3回のベンチプレスを12週間続けた人たちは、三角筋中部を除く全ての筋肉で成長が認められました。
具体的には、大きくなった順に、大胸筋(平均19.9%)、三角筋前部(平均14.9%)、小胸筋(平均11.5%)、上腕三頭筋(平均11.5%)です。特に、大胸筋の増加の程度は、小胸筋や上腕三頭筋よりも統計学的に著しく、ベンチプレスで逞しい胸が作れるということが証明されました。
なお、ランザ助教らは、三角筋中部の筋肥大が起きなかった理由について、ベンチプレスにおいて、三角筋中部は直接関節を動かすためではなく、動作を安定させる役割を果たすため、他の筋肉に比べて刺激が少ないことと、このトレーニング実験ではスミスマシン(バーベルがレールに固定されている器具)を使用したことも影響していると考察しています。
今回の結果は、ベンチプレスが胸(大胸筋、小胸筋)、肩(三角筋前部)、腕(上腕三頭筋)を同時に鍛えることができるという、トレーニング現場でよく言われていることを裏付けるものです。
そのため、筋トレ愛好者の中には、「やっぱりそうだよね」と感じた人もいるかもしれませんが、このように、当たり前に思える見解も、研究として調べて見ると違うことも多々あるため、今回の結果を踏まえて、より根拠を持ってベンチプレスに取り組めます。
一方、普段はジムで有酸素運動しか行わない人にとっては、ベンチプレス1種目だけを取り入れても、胸、肩、腕と上半身をしっかりと鍛えられることが示された事実は興味深いものでしょう。
ベンチプレス以外にも、1度に複数の筋肉の成長が見込めるコンパウンド種目としては、プッシュアップ、ラットプルダウン、ベントオーバーロー(ここまでが上半身)、スクワット、ランジ、デッドリフト、レッグプレス(下半身)などがあります。
筋トレ愛好家はもちろんのこと、有酸素運動をメインにしたい人も、これらの種目を積極的に取り入れることで、少ない時間でメリハリのある体を作ることができるでしょう。
参考文献
Bench press muscles worked: Here’s what happens when you lift that barbell
https://www.livescience.com/bench-press-muscles-worked
元論文
Muscle hypertrophy response across four muscles involved in the bench press exercise: randomized 10 weeks training intervention.
https://doi.org/10.1016/j.jbmt.2024.07.054
ライター
髙山史徳: 大学では健康行動科学、大学院では体育学・体育科学を専攻。持久系スポーツの研究者として約10年間活動。 ナゾロジーでは、スポーツや健康に関係する記事を執筆していきます。 価値観の多様性を重視し、多くの人が前向きになれる文章を目指しています。
編集者
ナゾロジー 編集部